宇宙戦艦の艦橋
敵戦艦の艦橋で偉そうに指示を出している敵ボス。そんな艦橋の眼の前に主人公操るロボットが現れて艦橋を見る(グポーン)。慌てふためく艦橋員。艦橋に攻撃を加え、ロボットはすぐに離脱する。艦橋をやられただけなのに船として破壊される敵戦艦。
もう、これ、やめません?
いや、演出として優秀であることは認めるけどさ。昔の作品ならいざ知らず最近の作品でもこれやってるよね。あまりにビリーバビリティがないからやめようよ。
まず宇宙戦艦に艦橋がなぜあるのか。これは現実の戦闘艦にも艦橋があるからだということは分かるし納得は出来る。けどさ、現実の船とは違うんだよ。宇宙で艦橋は基本いらない。
なぜ現代の船に艦橋があるのかの理由はたくさんあるけど、主に視界が高いため、遠くまで見えるし、船上の様子も伺いやすい、というのがある。これ宇宙戦艦にはほぼいらない。せいぜい宇宙ドッグに入るときや入った後で船の周りの様子を目視するためぐらい。
あと現代では高い位置からの方が通信やレーダーなどの電波関連の装置は基本的に優位である点。逆に言えば上下という概念が存在しなくなる(はずの)宇宙空間には高いという概念はなくなり、艦橋はただのでっぱりとなる。
宇宙戦艦の敵となるロボットの存在。別にロボットでなくても急接近でき、その場に留まれる能力があるものの存在。この際宇宙での相対速度などは考えないものとする。それ考えてしまうと非常に難しいし、一般人では把握も難しいものになってしまうし、現代とはまったく違うものになってしまうのでビリーバビリティは実は下ってしまうから(把握できないためそれが現実であるとは理解できない)。
まあ簡単に言ってしまえば大きな火力を持つ敵ロボットが目の前に現れて攻撃されるかもしれない場所に重要な部分を晒すか?という話。まともな人であれば隠そうとするでしょ。実際現代の戦闘艦では、現実として艦橋があった方が優位であるし、そこに司令部があった方がいいので艦橋はまだある、けど万一の時のために第二の司令部を艦内に持っていることも多い。急接近しその場に留まれる戦闘兵器がない現代においても、だ。
ちなみにヘリコプター程度の速度では艦橋に近づくこともほぼ出来ないので考慮に値しない。今後ドローン兵器がもっと高速小型化し威力が上がってくればあるいは、といったレベル。
あと艦橋もそうだけど対空兵器の少なさ。現実においても十分とは言えなかったけど、飛行機が勢力を増していくたびに戦艦の対空兵装はすごいことになっていった。……正直そんな現実よりももっとたちの悪いロボットが相手なのに対空がしっかりしている、と思えるものを見たことがない。
ロボットが急に出てきた「機動戦士ガンダム」では対応しきれない事情も分かるので、いいんだけど続編の「機動戦士Ζガンダム」以降の作品でも対空火器の少なさには辟易する。いや普通に防げているならいいけど、大体は艦橋グポーンだからね。
演出上分かってやってるならいいんだ。けどアニメを見てアニメを作り出した人たちなんかはなんの疑問も感じずにこれをやっている気がするんだよねぇ。これはもう艦橋グポーンだけの話じゃなくなってくるけど。
ともかく戦艦一隻につきどれほどの費用、資源、時間、人員がかかっているのか想像もつかないものなのに、一人乗りの機動兵器ごときにぽんぽん沈められては戦艦の意味がないのよ。それこそまさしくそういった理由で投入されたロボットであるガンダムはいい、としてそんな理由は何一つない、そもそもロボット兵器である意味すらない、という作品が多すぎる、と思っている。
まあロボットがかっこいいとかは分かるので、ロマンだ、と言い切るのもありだけど、ならこれは「リアル」だなんて言わないでほしい。
2025年春アニメのある作品をたまたま見て「うへぇ」となったのでさっと書いてしまったもの。一度中断し、ボツにしようと思ったけど、せっかくなので公開してしまった。
まあその作品では別にリアルだなんて言っている人いないと思うけどさ。確かに大物食いとして不可能ではないし、現実でもあったんだけど、それをいいことにやりたい放題しているよなぁ、とも思ってしまったので。