第11章:ベールのこだま
夜明けの最初の光がようやく地平線を貫いた頃、アルカードは図書館の下にある魔術師の隠された部屋に戻った。
地下室の静寂は今や一層重く、彼の心の端を掻きむしる秘密で満ちていた。
「彼女と対峙する前に」とアルカードは低く、落ち着いた声で言った。「知りたい――なぜこれらすべてを知っている?なぜ『アライメント』、『書き換え』、そしてあの高次の力についてそんなに確信を持って話せる?そして、なぜ私の元の世界について…そして私がここに召喚されたことを知っている?」
老いた悪魔の魔術師の白濁した目が、使い古された椅子に落ち着くと、かすかに光った。
「見たからだ。凡庸な目ではなく、ベールのひだを通して。」
彼はテーブルに開かれている古の書物――鱗に覆われ、囁くような呪文が込められた本――を軽く叩いた。
「私は忘れられた道の預言者、最も古い魔王たちよりも古くからある知識の最後の守護者の一人だ。私の教団は、世界間の境界を見守り、その向こうに潜む狂気から守ることを任務としていた。」
アルカードの興味は一層研ぎ澄まされた。
「境界だと?」
「ベールだ」と魔術師は囁くような声で言った。
「現実の間の薄い膜だ。『黒き空の出来事』が起こったとき、ベールに小さな裂け目ができた――決して開くべきではなかった開口部だ。その裂け目を通して、古く恐ろしい力が滑り込んできた。」
彼は一瞬止まり、書物のページにあるルーンをなぞった。「エリシアの台頭は偶然ではない。彼女はこれらの力に触れられ、選ばれ、あるいは利用されたのだ。彼女の力は、かつてのものと今まさに生まれつつあるものの間の橋なのだ。」
魔術師の視線が暗くなった。「お前に関しては、お前の到来はずっと昔に予言されていた。」
彼はページをめくり、色褪せた文字と星図が現れた。
「お前が召喚される何世紀も前、我々の予言は『深紅の王』――忘れられた世界から来た、影と炎から生まれた戦士が、領域の間を歩む運命にあると語っていた。我々は、お前の魂の断片がこの領域に渡り、その運命を再構築したことを知っていたのだ。」
アルカードは拳を握りしめた。
「つまり、この予言は私の世界のこと…そして私がここに来ることを知っていたのか。」
「そうだ」と魔術師は静かに答えた。
「我々の記録――忘れられた書庫に隠されている――は、お前の過去の断片を魔法と記憶の中に保存している。お前は世界の間の支点であり、書き換えがその周りで回転する糸なのだ。」
アルカードはゆっくりと息を吐いた。
「ならば、私はこの世界のためだけに戦っているのではないのだな。私は、かつてあったすべて、そしてこれからあるかもしれないすべてのために戦っているのだ。」
外では、風が古びた石の回廊を囁きながら通り抜け、遠くの歌のかすかなこだまを運んできていた――ベールそのものに波紋を起こすかのような旋律だ。
魔術師は慎重に書物を閉じた。
「注意しろ、アルカード。女王がお前を待っているが、彼女は単純な支配者ではない。彼女はこの宇宙的な狂気の重荷を背負っている――そしておそらく、高次の力そのものの断片も。」
アルカードは立ち上がり、新たな決意が燃え上がった。
「ならば、私は開かれた目で彼女と対峙しよう。」
彼が目覚めつつある街に戻ると、太陽は完全に地平線から昇っていた。世界は瀬戸際にあった。そして真の戦いは始まったばかりだった。