続き
周りの動きが停まっているーーーー。
運転席で持つハンドルに力の入っている私は愕然としたまま状況がうまくつかめなかった。
はっ、と思い出した私はすぐに車の扉に手をかけた。
(カケルーっ)
そう、後ろのチャイルドシートに座っているカケル。
まだまだ一歳十ヶ月で、あどけない私の大事な大事な子供。
よくわからない現実離れした今の状況の中でも、母というものは不思議なものだ。危機的状況の中だというのに、我が子を今すぐにでも抱きしめたいのだ。だからこそというべきか。
助手席の扉を開けた瞬間、私はガクンというような異様な感覚に襲われた。
(めまい?!なにこれ??まるで、身体がひっぱられるようなー?!)
??「ふぉーぅ、ふぉっ、ふぉっ。
人とは不思議なものじゃ」
静まる空間の中で老人の声がした。ただその姿はみえない。
??「契約違反をしているものを助ける義理なんかあるかね?」
「だれ?!契約違反ってどうゆう事?!さっきからの状況といい、よくわからない!」
??「そちが呼んだのであろう。3回唱えたではないか、神様助けて と」
「神様って事…ですか…?!ありがとうございます!!!そうなんです、助けてください!!」
??「助けたいのはやまやまだが、そちは契約違反をしておるからの〜さぁて、どうしたんもんか…とりあえず異世界転生させとくかの、フォッフォッ」
(さっきからよくわからない、契約違反って、ていうか異世界転生ってどゆこと?!!!まってその前にカケル)
私はまわらない頭の中で必死に考えをめぐらせ、とにかくこの状況下の救世主の神?に助けを求めるとした。
「お願いします、お助け下さい神様!!!カケルをカケルさえ、私のカケルさえ無事だったら、それで、ぜんぶいいからっすみません、お願いします」
言いながら感極まって私は涙をたくさん流していた。
全ての停まっている異様な空間、その中で目の前にはぶつかりそうな白線を割ってきている対向車。
そう私達は対向車と追突事故を起こす手前で、死の直前でなぜかはわからないが、全ての時間が止まり神が現れたのである。
ーーーーこのままでは、カケルが息子が死んでしまう。かわいい、まだあどけない、私のかわいい息子がっーーーーー
??「そちの魂を異世界転生するというのはではためかね?」
(異世界転生ーーーー?ってよくある最近のやつ??!!ダメダメ戻って来れないじゃん???!!)
私は一瞬顔を歪ませた。息子の事は助けたいが、欲をいえば息子の事を助けた後も息子を育てたい。
異世界で人生をリスタートなんて考えていない。なんなら、残ったクソ旦那だけでカケルをしっかり育てられるなんて思えない。
(正直に言ったら助けてもらえるのすらも無くなっちゃうかな、どうしよ)
??「あらら?最近のものは異世界転生というと喜ぶんじゃがね〜、なんじゃ異世界嫌か?」
「すみません、欲を言うと、息子も助かって、息子の事育てたいので、転生はちょっと…ほんとすみません。でも、究極それしかないなら、息子助かるならそれでも…」
??「ふぉーっふぉ、そうじゃな。でもそちは契約を一度破棄しかけてるからなぁ。では異世界共存とさせていただこう。2つの魂たすけたくば、2つの魂救い、ワシとの契約を遂行してもらおう!!」
(???!!どゆこと?!なんか理解追いつかないし、一度契約って全然身に覚えない)
私が色々考える前に、光とともに全身が引っ張られる感覚がした。
そしてその一瞬で私は異世界へと転移し、
異世界″共存″?というミッションをにとばされたのであったーーーーー。