ダークスポット
気分を害す可能性があります、死について気悲観がある方にはお勧めできません。
ダークスポット
生まれる場所を自分で決められない、死ぬ場所くらい自分で決めたい。その時を見誤りたくない、その時に決断できるかどうかは分からないが、せめて場所くらいは決めておきたい。
そしてその場所を見つけた。
毎年北海道で釣りをするのを楽しみにしている。今年も一週間休みを取り北の空港に到着した。今年で20年目の節目になるがまだまだ行きたい場所は多く、あと何年来れば満足するのか先はまだ長そうだ。
行きの機長のアナウンスで到着地の天候と気温が知らされると機内がざわつくのを、毎年面白く思う。東京は残暑で30度を超えているのに、約半分の気温と言われるので驚くと思うがみんなの服装の準備は大丈夫かとこちらが心配になる。
羽田空港で預けた荷物を受け取り、航空会社各社の検査済みシールが異常に沢山貼られたロッドケースを持ち歩くと、同じ趣味と思われる人たちからの視線が熱い。
北海道のみならず日本全国釣り歩いているので、自分の身長と同じ長さの円柱のケースに色とりどりのシールが貼られている。今は無い会社のステッカーも有り自慢にしていたが、最近は貼る場所が無い為肩掛けベルトに貼られてしまい数が増え無いのが残念だ。
今回利用した空港のレンタカー会社は他の場所の様に送迎バスで営業所に向かうタイプでは無く、車は空港駐車場に停められておりそこに案内される形のものだった。
何かいつもより車が古くないか・・と思いながらいつもの車体チェックを終え、シートポジションとミラーの調整をした後、ナビを設定すること無くいきなり出発する。
すでに全道の空港は丘珠空港を除き全て何度か利用しており、方向も分かっているので特に問題なく走行する事ができる。
毎年思うが東京で生まれ東京に住居を構えている人間が北海道に降り立つと、空気が全くの別物でとても美味しい。これだけ違うのだから東京はどれだけ汚れているのかを実感する。日本全国を回り全県制覇し離島にも行っているが、なぜか北海道だけは別格に感じ、その度に東京に帰りたくなくなる。
車内に差し込む日差しが空気が綺麗なせいか知らないが、東京のものより痛く感じる。昔に比べればやはり北海道も気温が上がっており、今日はとても暑くなる予報だ。
北海道ではよく目にする逃げ水を追い、目的地に到着すると早速荷物をバラして支度をし、儀式を行う。友人に何その性癖と言われた事があるが、性癖とは失礼だなと言われたことを思い出しながら、目の前の水を舐めて味見をする。もちろん清潔な水かは分からないので舐める程度で済ます。全国を旅する中でふと思いついた、北海道の最北端と本州の最南端の海水の味は同じか?の疑問に実際に試してきた実績からの癖だ。
<結果、宗谷岬の最北端モニュメント裏で舐めた海水と、九州は佐多岬近くの田尻海岸で舐めた海水の味はまったく違った。(どう違うかは教えません、ちなみに佐多岬の南端で味見したかったが下りるのが大変だったので近くの海岸で試した)
さらに北海道の最南端白神岬でも本州最北端大間崎でも本州最東端近くの浄土ヶ浜海浜でも味見済です(味の違いはお試しあれ)、あとは九州最西端の魚釣崎だけだが、近くの九州本土最西端の魚見崎で味見済なので行くかは不明>
釣りをしていると、大物が掛かった。ばれないように捌くが予想以上に大きくこっちが走り回る。魚が逃げる方向にあった流れ込みを飛び越えどうにか釣りあげる事ができた。過去最大級の魚で心臓の鼓動がうるさい。写真に納め、やっと一息付き荷物が置いてある場所へ戻ろうとしたが、景色がおかしい。先に自分の荷物があるのは見えているが、目の前に支流の流れ込みがあり、飛び越えた事は覚えているが、これほどの幅では無かったはず。飛び越えて来たのだから飛び越えて戻ろうとチャレンジするが、途中で無理だと躊躇して立ち止まってしまう。飛び越えないと大廻りで帰る事になるので覚悟を決め倍以上の助走で思いっきり飛んだが案の定見事に着水、下半身がびしょ濡れになりながらようやく戻れた。
このような事を何度か経験済みなので対処したが、とても危険な事をしたと思う。過去にも軽く飛び降りたのに、帰ろうとして上を見るととんでもない高低差だったり、逆に飛び上った所を見ていた友人からおかしいほどの跳躍だったと後に言われた事がある。
大物を掛けた興奮状態のアドレナリン??脳内麻薬??そのせいかと思うが、リミッターが外れる時があるようだ、自分で制御出来ないのでいつか大きな怪我をしそうで恐ろしい。コントロールできる力があれば新しい道が開けただろうが、もう夢みる年ではないので、今後怪我が無いよう祈るばかりだ。
ちょっと怖い思いをしたが一日釣りを楽しんだ、羽目を外して遊んでしまうせいかリミッターが外れたせいか宿に着くころにはヘロヘロで駐車場からフロントに歩いているとき足が上がらずつまずいてスッ転んだ。見ていた従業員に心配され恥ずかしながらチェックインを終えた。これで三度目だ、しかも別の宿の違う場所でだ、恥ずかしい思いをしないよう気を付けようと思い横になりしばらく休む。
風呂に入り夕食を食べ、小便の疲労物質出まくりの色にビックリし、水をたくさん飲み21時には寝る。翌2日目は1日目より毎回なぜか体が動くので思いっきり遊ぶ。日の出から日の入りまで1日目のような大物は釣れなかったがしっかり遊び尽くした。毎年この時は大人になって久しく全力で遊ぶと決めているのでとても心地いい疲労感を味わえる。風呂と夕食を済ませ、また小便の色に驚き、寝ようとしたが流石に早すぎるなと思いテレビを付けた。
パワースポット特集なる番組がやっていたので見た、どこぞのここがいい等眉唾ものだが、テレビ越しにもそこはまずいのではという場所が写っていた。そういった場所を紹介する人たちを何と呼んでいいのか知らないが、その人は有名なパワースポットから離れ自分が見つけた場所を紹介し何かを感じるような仕草をしていた。その場所が写された瞬間、なぜか「あぁこの場所はダメだ」と思い、パワースポットとはいったい何かと考える。人に対していい働きを期待していて、もちろんそういった場所もあるとは思う。しかし写された場所は詳しくは説明できないが、明らかに人間を寄せ付けて無いように見え、この人は大丈夫だろうかと心配になった。その後日本中のパワースポットが紹介されていたが、もう一か所ダメだと思う場所が写された。両方に共通する条件は橋だ。一方は橋の下、もう一方は橋のたもとが紹介されていた。橋というものは境界を繋ぐものであり、そこに渦巻く力は浴びて取り入れようとするものでは無いと思う。パワースポットと呼ばれている見えない力が集中している場所はあるだろうが、それは人間に良い方向へ作用するものばかりではないはずだ。
全国を旅して気付いた事がある、自分は北の方角が良い様だ。南(西)に行くと必ずと言って良いぐらい不快な目に遭う。よく呼ばれて向かうと良い事があるというが、実際呼ばれた気がして向かうと宝くじで高額当選したことがあり、その場所は東北だった。北に向かうと天候に恵まれるが、南(西)に向かうとなぜか天候が悪くなる。九州の有名な各地の景勝地に行った時、佐多岬以外全滅したのは逆にいい思い出になった。どうやら九州は自分に遭わないらしい。沖縄に行った時は快晴だったのに不思議だ。
ひとは占いにもあるように吉兆方向が確かにあるように感じる。そのような物に左右されるくらい人間は影響されている、ましては見えない力が集まった場所などどんな影響を受けるか怖くて近づいてはいけないはずだ。その見本が全国にある禁足地であり分かりやすく結界が張ってある。感じやすい人がその場所を見つけ安易に伝えるのはとても危険な行為に思えた。
<パワースポットと耳障りの良い流行りはとても危うい、もしその地に向かいたいのであれば、計画段階で吉兆が判断できるので参考にしてもらいたい。行きたいと思い立ったあとで体調不良や気分が滅入る事があったら、その場所に向かうのは中止した方が良いと思います。逆に良いことがあった場合は呼ばれているので是非向かって下さい。>
昨日の番組を見て少し不愉快な思いをしたが。3日目の釣果はなかなか良いものでとても満足して宿に戻ってきた。4日目は疲労が出て来たので今後のために新ポイントを開拓しようと車を走らせ見て回る事にした。
窓を開けて走り、澄んだ空気を浴びながら走っていると、2車線の道路の先にスノーシェードではないトンネルが見えた。
トンネルの手前に車が縦に3台程度停められるスペースがある。
休憩するつもりも無かったのになぜか車を停めた。
車を停めた左手に土手の上に向かう10段程度の階段がある、呼ばれているかのように階
段を上るとそこには一面に広がる花畑があった。
・・・・「ここで死にたい」・・・・と 思った。
別に自殺願望が強いとかいう話では無く、本当にその場所に立った時に自然に思いついた事だ。死に場所については若い時から自分で決めたいと思っていたので「あぁここだ」と確かに思った。その時の精神状態は自分の趣味を全力で楽しんでいる最中であり、最近も特段悪いものでは無かったので安定していたと思う。
その場所は何の変哲もない休憩所で、テニスコートの半面のサイズ、よくある陶器の白い1人掛けの椅子が4つ、その上をパーゴラ?蔓性の植物を育てる棚がある。地面は茶色のタイル貼りでそのタイルの継ぎ目から伸びた枝の先に小さい白い花が咲いている、
ただ地面一面に足の踏み場が無いくらい咲き誇っていた。
視線を上げると原始の森になっており休憩所から入れるように人の身丈くらいの穴が開いている。なぜ穴と表現したかというと、快晴の空に対しその穴は真っ暗で数メートル、いや数センチ先も見えない位黒かった。
恐ろしいと思う気持ちはまったくなかった、将来ここで死のう!と前向きな気持ちで、景色を忘れない為に写真を撮った。
死に場所を見つけられた時に備え、昔からいろいろ準備はしてきたつもりだ。すでに家族の縁は切れているし、友人との関係も清算済みで完全に独りで暮らしている。
こう言うといろいろ問題があると思うが、確実にその場所で死ぬには自〇しか思い浮かばない。その方法は通常の死に比べ他人に迷惑を掛ける方法なので本音は避けたいのだが仕方ない。
今回見つけた場所は理想的で、車を停めてすでに30分はここにいるが、下の道に車が一台も通らない。北海道の田舎道では珍しい事ではないが、発見が遅れる事を期待しているのでこの点のポイントは高い。休憩所が丁度人の目線の上に存在するのも高ポイントだ。そして一番期待するのが奥の深淵だ。自分の体をあの穴が引きずり込むのを幻視できた。別におとぎ話では無く、北海道と言えば野生の大型生物がいる、そしてあの穴の奥にその存在を確かに感じる。うまくいけば自分を誰にも迷惑を掛けずに消すことができる、そんな理想の場所だ。
獣葬を望むなら北海道は理想的だ。毎年何人も行方不明者が出る。なぜ行方不明の処理になるかと言うとほぼ何も残らないからだそうだ。身元が確認できる場合のみニュースになる。
死ぬ場所を常に探していた訳ではないが、候補の北海道中央部と東部の確認はしてきた。<出没中>の看板が掲げられている所ではなく、<生息域・車から下りないで下さい>の看板がある所を見てきたが、今回のようなインスピレーション的な場所の出会いは無かった。
理想的な場所を見つけられた事に気分が高揚している自分がいる。人生で決めなくてはならない事の一つが決まり、すでに決行日の事を考えている。
20台前半には将来死ぬタイミングと死ぬ場所は自分で決めようと誓っていた。何も難しい話では無く、ただ自分の意思で終わりを決めたいと思っただけの事である。当時売れていた「完全自〇マニュアル」を購入しその方法を決め、いつでも実行出来るようにお勧めの太さのロープも準備済みだ。
今は自分が満足出来る状態になるまで全力で遊んでいる最中で、すでに計画の8割を消化している。目的には十分間に合うはずだ、憂いなく今後の人生を楽しもうと思う。
人生に絶望している訳ではない、さすがに苦しいと思う時期は確かにあったが、その時に終わらせようと思った事はない。楽しい事は有り、これからも楽しみたいことがまだある。
一番の心配事は体が動かせないような事態になる事、事故・病気等あの場所へ向かえなくなるのが問題だ。決行のためにはやはり五体が満足な状態でなければならない、そうなるとやはり思うより早く事を起こすしかないだろう。死に場所を見つけた事でこれから先の人生がさらに具体的になった。事を見誤らないように更に注意しなければならない。
・・・しかし今はまた宿の前でスッ転ぶくらい遊ぼう、残りの日も思う存分遊んで帰ろう。
<翌年>
今年も北海道に来た。計画は順調に消化している。あの場所の写真は目立つ所に飾り、毎日見ているが実際に行って早く確認し安心したい・・・・。
無い、辿り着けない。
去年と同じ空港でレンタカーを借り、まっすぐやって来たが目的の場所がどうしても見つからない。
見つからないというより、あのトンネルがある道路が無い。
それでもしらみつぶしに探す。前年に通った道も含めその周辺、周辺の周辺と範囲を広め探し回り、4日目で全ての道を走破したが、見つからない。
あの記憶はなんだったのか?、そしてあの写真は何なのか・・・・。
<数年後>
今自宅にて写真を見ている。確かにその場所はそこに記録されている。当時はまだiモードの時代で携帯電話のカメラの画質は悪く、専用機のデジタルカメラで写真を撮っていた。
今ならスマートフォンで写真を撮れば座標を残せるのでそこから探せたのにと思う、結局あの時は残りの休日も探し回り、一度も釣りをせずに帰ってきた。
それ以来北海道には行っていない。今でも仕事の昼休み中グーグルアースで探したりしているが見つからない。そもそもあの地域は地形的にトンネルは無いようだ、一体どういう事なのかさっぱり解らない。
理想の場所が消えた。
自殺させない為?なんて考えるが、それは無いだろう。もしかしたらあの時がそのタイミングだったのだろうか?、その方がしっくりくる。そうだとしたら取り返しのつかない失敗をしてしまった、8割の人生の満足度で我慢するべきだった。
しかし計画に変更は無いし別に方法は一つではない、あそこまで明確なビジョンが浮かんだ場所ではないが、あそこから南側にここでもいいかと思った場所がある。とても残念であるがそこで別の方法を行おうと現在は計画している。
あの場所が消滅してから計画はいよいよ9割を超えた。
すでにもういいかと思えるような精神状態だ。
だが期待してしまう。またあのような体験を逃さないよう常に準備を怠らずにしている。
もし再度その時がきたら計画の残りがあっても決行する。
・・もう少しだ・・
この話は実際に起こった私の体験談に、私の個人的な考えを混ぜたお話です。
流行りのパワースポット巡りについて思うところがあり、注意喚起のため書かせていただきました。内容について不快に感じる方が多いでしょうが、私個人の決め事なのでご勘弁下さい。
ありがとうございました
ありがとうございました