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帰宅


 馬車に乗っているとバルボが、落ち着き無くソワソワしていた。


「どうしたんだ?さっきから落ち着きがないが」


「どうも馬車に乗るのが慣れなくてな、俺にとっての馬車は護衛する物であって、乗るもんじゃ無かったからな、今こうして乗っていても癖が抜けないんだよ」


 確かにバルボ程の実力になると護衛の任務も多いんだろう。


「ちなみにどんな人達の護衛をしていたんだ?」


「そうだな、一時期は王様やその家族の護衛をしてたこともあったが…」


 王族の…確かに父さんが知っている中で一番強いと言っていたし、王族の護衛は不思議じゃあ無いな。


 そうしてバルボと駄弁っているうちに家の近辺に着いた、すると見覚えのある2つの人影が近寄って来た。


「アルベルトお前どこ行ってたんだ?夜には帰るんじゃなかったのか?」


「お前の母さんが心配してたよ」


 こいつらは俺がこの世界に来て始めてつくった友人のメッセとビサだメッセはこの地域の大きい地主の息子で昔からよく家族ぐるみでの交流があった、ビサは元々メッセと仲が良かったから自然に俺も話すようになった。


 俺の家では将来の側近を見つけるために子供の時から市民の中の有力者の子供と交流するようにしてあるらしいが、当の本人達はそんな事を気にしないで昼夜遊び歩いている。

 俺にとってはこの世界を知るために一緒に遊んでいるだけだが、意図しないでこいつ達とも交友を深めている。

 決して体が小さくなるにつれ遊ぶのが楽しくなり遊んでいる訳では無く仕方がなく遊んでやってるだけだ。


「剣術師範の所に行っていたら遅くなってしまったから駐屯地に泊まってきたんだ」


「そーなんだ、でそのおっさんは誰なんだ?」


「駄目だよメッセそんな言葉で喋ったら、アルベルトと一緒に乗っているから多分偉い人だよ」


「おっさん…おっさんかぁ~」


 横でショックを受けているバルボをよそにメッセ達はさらに話を続けた。


「そーいえばさ、おまえの家になんかお客が来てたぞ、えっと何だっけ」


「魔術師範だよ」


「ああそうそれ、まじゅつしはん?が来ていたからアルベルト早く帰ってこないかなって」


 魔術師範だと!もう着いていたのか、ならば早く帰らなくては。


「メッセとビサもじゃあな、バルボ早く馬車を出してくれ」 


「おっさん…」


 まだショック受けているよ。


 ――家に着くとピッツがものすごい速さで飛び出してきた。


「おかえりアル、その人は?」


「この人は剣術師範のバ…」


「剣術師範!じゃあ強いのね!

 師範なら早速稽古をつけてもらいましょ」


 と言うやいなやピッツはバルボを引っ張って行ってしまった。

 

 

 家に入るとすぐに奥からアルンが出て来た。


「おかえりなさいアルベルト様、昨日帰って来なかったので心配しましたよ、一体何があったんですか?」


「すまんな、駐屯地でを出るときには既に遅くなっていてな、泊まってきたんだ。

 あと急で済まないけど、今日から剣術師範がこの家に一緒に住むことに成ったから」


 それを聞くとアルンは驚きと憤りが混じった顔をした。


「今日から?

 いつもあれ程言っていますが何かしらするのなら一言、私か他の使用人にお願いしますこちらにも準備ご色々有りますから」


「すまん」


 しかし年上と言ってもせいぜいアルンも十数才だ、前世では中年の強面のオッサン共に罵声を浴びせられ続けた俺の敵では無いはずだが…


 幼い頃から世話をされている身ではアルンには頭が上がらない、そしてたまにこうして叱られる。


「すまんじゃあ無いですよ!」 


 しかし、今回に限っては俺も知らなかったしそんなに怒んなくて良いのでは?


「私は剣術師範さんの部屋を用意しなくてはいけないからもう行きますね!」


 そう言い残すとアルンは足速にこの場を去っていった、何処かその足取りには怒りがこもっているように思えた。


 怒れられて俺が肩を落としていると後方から声が聞こえてきた。


「あちゃー、盛大に怒られちゃったね、アルベルト君」


 その声の元には変わった服装ている黒髪で黒い瞳の齢二十前半程と思われる女性が立っていた。


「挨拶が遅れたね、私は君の魔術師範のアスカ・タドコロだ宜しく」


「よろしくアスカ」


 するとアスカは俺の身体をジロジロと眺めてきた、その手には巻物らしき物に棒の先に沢山の毛を付けた物にインクらしき物でメモをしていた。


 「ふむ、身体は特に平均から逸脱したものはなしっと」


「なっ何をしているんだ!」


 そう聞くとアスカは不思議そうに答えた


「何って検査だよ魔力には身体の成長も関係が深いからね。

 だがそうか…この国ではまだ一般的では無いのか…」


 そう呟くとアスカはぶつぶつと何かを考え始めた。

 しかしなんだこの国?確かにアスカの風貌は俺がこの世界に来てから見たことない、もし他の国の生まれならこの世界のことをもっと知れるかもしれない。


「そう言えばアスカは何処の生まれなんだ?

 詳しく聞かせてくれ!!」


 するとアスカは考えるのを一旦辞めた。


「ああ私の生まれ故郷か、しがない極東の島国だよ。

 私の家は私が産まれて間もない頃戦いで国を追い出されてしまったらしいんだ、今の私と故郷との繋がりはこの服くらいだ」


「そうですか…」


 どうやらあまり詳しい事は聞けないようだ。


「よしじゃあ身体検査もこれくらいにして、そろそろ魔力検査に入るか!」

 

 

 




 


 

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