帰宅
その後父さんと話し合った結果、剣術と魔術を半々で行うことが決まった。
ちなみにバルボに聞いた話だと、父さんがあんな感じになるのは極稀だが有るらしい、道理で対応が早いと思った。
たが、大将としてどうなんだ?
そして今日は父さんの対応で遅くなったため、駐屯地に泊まったあと朝一番で帰ることになった。
駐屯地の設備は思ったよりもしっかりしていた。
風呂も大きくしっかりとした石造りだ。
だがそんな事を気にする余裕は無いらしく、どの人も入って来たと思ったら目にも止まらぬ速さで身体を洗い上げると出ていってしまう。
この世界ではまだ風呂は貴重で一般家庭には無いのが普通だ、しかし駐屯地では訓練などの疲れを取るために設置しているようだ。
だがあんなすぐに出ていってしまうのならば別に風呂が無くても変わらないのではないか?
後に聞いたことだが、訓練兵時代は皆時間に追われて生活しておりその時の名残りであんなに行動をするようになったらしい。
そして晩御飯は兵士達の当番制で作られているらしい、ちなみに今日の献立は黒麦のパンとチーズだ、駐屯地では調理が早く済むものが多いのでよく出されるらしい。
チーズの味は少し塩辛かった、しかも量はこの体だと半端じゃなく多く食べていると飽きてくる、しかし1日中汗を流し続けていると塩味が欲しくなるんだろう。
寝室は普通の兵士は三人一組で相部屋らしいが、俺は今晩に限っては父さんと一緒に寝ることになった。
部屋に入ると父さんが待っていた。
「アルベルト今日はお疲れ様、すまんなあんな情けない父さんで、しかし俺はお前のためを思って剣術と魔法両方を習わせようとしているんだ。
今後必ず魔法の地位は上がる、そして発展も凄まじい、軍事面ではまだ実用化には程遠いが将来必ず大規模に軍事転用される、それに対応するには魔法も知っていなくては駄目だ。
魔法の師範も近々到着するだろう、しっかりやれよ?
母さんの血を引いているお前なら俺みたいに魔力が無いって事は無いはずだ」
「分かりました、しっかりと両方物にして見せます!」
それを聞くと父さんは満足そうに頷いた。
「よろしくな。
さぁもう寝よう、母さん達も心配してるだろうから明日朝一番で帰れよ。
じゃあおやすみ」
そう言うと父さんは、枕元にあった蠟燭を消した。
――翌朝起きると既にバルボが馬車の準備がをしていた。
「アルベルト!昨日は災難だったな、いやー俺もあのタイミングで大将の発作が起きるとは思いもしなかったもんでな」
発作…
「まぁ、そんなことより早く出発するぞ!」