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父の秘密


「しかし大将、どうせ毎日俺が剣術を見るんだったら、アルベルトをこの駐屯地に住まわせたほうが良いんじゃないか?」


「いやそれは出来ない、こいつには剣術だけではなく、魔術も教える、そのための人材も呼んである」 


「大将それは本気で言ってんのか?

  剣術を一人前にするにしても長い時間がかかることは知っているだろ?

 それに加えて魔術もやらせたら、どっちつかずに成っちまうぞ!」


 俺もそう思う、だからさっさと魔術だけの方針に切り替えて欲しい。


「いや大丈夫だ、こいつは頭がよく回る、さらに俺の息子だ!出来るに決まってる」

 

「しかしなぁ大将、あんたを馬鹿にするつもりはないが…こいつの父親であるあんたはなんの魔法を使えるんだ?」


 確かに聞いたことがない、この国では剣術を選んだものは殆ど魔術に触れないが、軍人は何らかの攻撃魔法を使える人も居るらしい。


 ちなみに母さんはとても強い風魔法を使える、俺も赤ん坊の時によく空に飛ばされていた。

 そしてこの国の国軍大臣を務める父さんはさぞかし強い魔法を使えるんだろう。


「…えない」


 しかし父さんは、ボソボソと喋るばかりでよく聞こえない。


「大将、自分の息子にいい格好したいのは分かるが、ちゃんと言ったらどうなんだ?

 俺は魔法を使えないって」


「え?」


 父さんが、魔法を使えない?嘘だろ?


「父さん?今の話って本当?」


「ああ、本当だよ!俺は魔法を使えない、悪いか!?

 ああ確かに言われたよ、10歳になると同時に魔力検査を受けた時にな、魔力が無いって!

 でも、俺はがんばったんだよ!どうにかして魔法を使えるようにしようって、だけどいくらやっても駄目だったんだよ!

 悪かったな!こんな父親で!!」


 そう言うと父さんは、部屋を出ていき自分の部屋に籠もってしまった。

「わかった、分かったら一回落ち着け、俺が悪かった大将。

 だからそんなに拗ねないでこの扉を開けてくれ」


 ――その後駐屯地にいる人を総動員して父さんを褒めることになった。


「大将、みんなあんたのことを尊敬している、そうだろみんな!」


「「そうですよ大将!俺達全員貴方の事を誇りに思ってます」」


「本当にそう思ってる?」


「「勿論です!」」


 ――そうして長い時間が過ぎたあと父さんは満足したのか部屋から出てきた。


「そうか〜、お前ら俺のことをそんなに尊敬していてくれたんだな!

 そんなにお願いされちゃあ仕方がねーよな。

 お前ら俺が居ないと何も出来ないもんな」


「そ、そうだぜ大将、アンタが居ないと俺達困っちまうよ」


 そうやって父さんが部屋から出てきた頃にはみんな心ばかしやつれたような気がした。

  

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