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報告

その日の夜になると久し振りに家族四人で食事を囲ぶ事になった。


 普段父は非常時に備え軍の基地で寝泊まりしているのだが、今日は俺の10歳の誕生日と言う事で家に帰って来ていたのだ。


 誕生日を祝われるなんていつぶりか、前世では軍学校に入ってから、家族からの祝も無くなってしまった…

 

 そう言いえば同期で祝ってくれる物好きもいたな。

 まぁそいつも戦争が始まってから挺身突撃隊の指揮官になって死んでいった…


 この国の武家では10歳になると魔術か剣術のどちらかを学ぶかを決める事になっている。


 そして今日自分がどちらにするかを家長に報告するのだ。

 無論俺が選ぶのは魔術だ、何故なら剣で近距離で戦うなんて将来大将になる俺がやるべきことじゃない。


 前線で殺し合うのは一兵卒の仕事だ。


 その点魔術はアウトレンジで攻撃出来るから俺好みだ。


 今日のパーティの場で父さんに伝えよう、そして早く魔法を教えて貰おう。

 この世界に来て魔法の存在を知ってから使ってみたかったんだ。

 しかしながら誰に対してどうやって頼んでも10歳になってないからと断られ続けた、しかし今は違う俺は今日10歳になったのだ。

 

 ――俺が食堂に行くとアルンが食器を並べていた。


「あららアルベルト様どうかしましたか?お食事はまだですよ?ガマン出来なくなっちゃいましたか?もうそろそろ準備が終わるので待っててくださいね〜」


 確かに少し早いな、少し急ぎすぎたか。

 恐らく父さんまだはピッツと稽古をしているのだろう。 

 

 ピッツもよく飽きないもんだ、毎日、視界の中に入った人に稽古を申し込んでいるのに…

 先日はメイドのアルンにも手を出し始めた。


 すると廊下から最早聞き慣れた足音が聞こえてきた。


「あ〜おなかすいたわ、アルン、晩御飯はまだかしら?」


 ピッツの方を見ると泥だらけになっていた、父さんにやられたのだろう、あの父親は自分の子供だろうと手加減せずにやってくる。

 少し前に半ば無理矢理稽古させられて、身体中に痣ができ、この若い体を持っていても3日間の筋肉痛に襲われてしまった。


 そうして俺の中で剣術は無理矢理外に出され、ボコボコにされるもととなった。


 あれ以降俺は何かしらの理由をつけ剣術稽古を逃れている。


 いたしかなかなかろう、俺はあのおかしな、武人という生き物ではなく人間なのだ。

 

 すると父さんもピッツと一緒に帰ってきた、物凄く満足そうな顔をしている。


「いや〜、ピッツはまた一段と強くなったな、このままではすぐに負けてしまうな」


「フフン!!当たり前でしよ、私は天才なんだから!!

 アルベルトも私を見習いなさい!!」 


 この武人親子は…


 するとピッツはこれでもかと言うほどのドヤ顔を俺に向けてきた。


「あらあら、何か騒がしいと思ったら、もうみんな揃って居たのね、呼んでくれたら良かったのに」


 こうして母さんが来たことで全員が揃った 


 そして家族全員が集まるとパーティが始まった。


「そう言えば父さん、魔術と剣術の選択のことですが…」


「ああ、そうだったな、アルベルトお前には言って無かったが…お前には魔法と剣術両方の稽古をしてもらう」


「はえ?」

 

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