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「ただいまー」

 男が被っていた中折れ帽を帽子掛けに掛けながら幸造とアイラのいる部屋に入ってきた、幸造はまだ気絶しているようだ。

「所長! なんなんですか、この人は? 破廉恥マンです、変態です~」

 アイラはお帰りなさいを言うのも忘れて幸造を指差しながら不満をぶつける。幸造に抱きつかれてキスされそうになったのを思い出したのか耳まで真っ赤にしてモジモジしている。そういった事にまったく免疫が無い子なのだろう。

「え? どうしたの? 彼は目を覚ましたのかい?」

 そう言いながらソファに転がっている幸造を見る、その顔は半目で白目をむいて殴られた跡があった。

「あちゃ~、まいったなぁ」

 所長と呼ばれた男は頭を掻いていたが言葉とは裏腹に楽しそうな表情をしている。アイラに殴られて再び気絶したのを察したのであろう。

「まあまあ、アイラちゃん落ち着いて。離れていれば大丈夫だから」

 アイラは両拳を胸の前で握りながら『むー』とほっぺたを膨らませている。


「おいキミ、大丈夫か? 起きられるか?」

 男が幸造を揺さぶって起こす。

「うぅ……痛たたた……」

 痛む頬を手でさすりながら幸造が目を覚ます。

「アイラちゃん水を持って来てくれるかな?」

 コクリと頷き素直に応じる。

「ゆっくり飲んで」

 男はアイラから受け取った銀色のタンブラーを幸造に手渡す。

 口の中が少し沁みたが落ち着いた。

「ここは……一体?」

「ここは俺の探偵事務所だよ、まあ探偵とは名ばかりの便利屋なんだけどね」

 男は軽く笑いながら答える。

「探偵……」

「ああ、俺はリチャード・ヒッグス。よろしくな」

 暗めの茶髪で横と後ろを短く刈り上げ頭頂部はゆるやかなオールバック、蒼眼、細身だがしっかりとした体躯、アゴに不精ヒゲを生やしている。30代半ばだろうか。おしゃれなサッカー選手といった風貌だ。薄い生地の白いトレーナー、ゆったりとした黒いカーゴパンツ、黒のショートブーツ。ラフな格好をしている。


「坂井幸造です、よろしくお願いします」

 2人は握手をした。

 自分の手を見た幸造は違和感を覚えた、手のシワというか肌の張りが若い気がする。

 銀色のタンブラーに自分を映して確認する。ぼやけてはいるが20代前半頃の自分だ、服装もその頃に良く着ていた黒のジャケット、白Tシャツ、古ぼけたブラックジーンズ、履き古したバスケットシューズ。

 若返っている!?


「彼女はアイラ。もう知っているかな?」

 リチャードは大体何があったのか分かっているらしく笑っている。

「アイラ・ロクストンです」

 紹介されたからしぶしぶといった感じで挨拶をする。

「坂井幸造です……どうも」

「折角知り合ったんだ、2人共仲良くしてくれよ」

「イヤです、変態破廉恥マンなんかと仲良くなんて出来ません!」

 フンッとそっぽを向くアイラ。

「なんだよ変態破廉恥マンって、そこまで酷い事してないだろ! 未遂だったんだし」

「未遂だろうと初対面の女の子にいきなりキスしようとするなんてダメなんです~、変態破廉恥マン!」

 『いーだ』って顔で両手をばたばたさせている。

「キスくらいでそんなに怒るなよ、いい年してファーストキスでもなかろう」

 幸造にそう言われたアイラは一気に顔が真っ赤になった、頭から湯気が出そうなくらいに。

「キーーッ! あ、あんたなんか、もう、もう、れ、廉恥マンなんだからーー!」

「レンチマン!? やめろよ、そんなキン○マンに出てくる弱っちい超人みたいな名前!」

「うるさいうるさいー、役立たずのレンチマンー!」

「はあ? おまえレンチ舐めるなよ! 世の中にどんだけの種類のレンチがあると思ってんだ、すげーんだぞ」

「大量のレンチマンがいるなんて考えただけでもキモいですー!」

「もう怒った、俺は進化するぞ! 進化してモンキーレンチになってやる! 今にみてろよ!」

 幸造とアイラはギャーギャーやっている。


「どうやら仲良くなったようだな、良かった良かった」

「よくないだろ!」

「よくないです!」

 幸造とアイラが同時につっこむ。

「まいったなぁ」

 リチャードは頭を掻いて言うが困ってなんかいない、嬉しそうな笑顔だ。

読んで頂きありがとうございます。

頑張って更新していきますので宜しくお願いいたします。

感想等々ご自由にどうぞ


アイラちゃん可愛い、書いていて楽しい子。

行間をもっと開ける方が読み易いでしょうか……。

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