第9話 闇の修行……?
「【ダークウェア】!」
俺の全身に黒い膜が纏う。ただ、非常に薄い。黒くて透明なビニールを被ってるみたいだ。当然疑問は……
「なぁ、こんなんでさ、防御力あんの?」
「うーん……ここまでの薄さは初めて見ますから、何とも言えないですね。ちょっと失礼しますね」
そう言ってエマは俺の腕をとり、しっぺをする。
「ちょっ!?そうやって試すの!?」
思ってたよりも、試し方が直接的だなおい。
「どうですか?」
「いや、何ともないな……」
一応効果はあるみたいだ。
「ならお次は!」
エマはスーパーボール程度の【黒弾】を作り出す。え……まさか……
「おい!? 流石にそれは!? 待って! 心の準備が!?」
「待ってても準備は出来ないと思うので、放っちゃいますね」
【黒弾】がセンに向かって飛ぶ。センは咄嗟に腕でガードし、直撃する。衝撃で後ろに仰け反り、倒れそうになる。
「前に受けた時は吹き飛んでましたから、多少は衝撃を和らげていますね。痛みはありました?」
「前ほどではないものの、結構痛かったよ!」
ドッジボールで、男子が全力で投げたボールが当たった感じ。でも、青あざはできてない。
「よしじゃあ次は刃物で!」
そう言うと、エマの手から黒いオーラが現れ、棒状に集まっていき、大きな鎌ができた。柄は槍ぐらいあり、刃物は草を刈るどころか、大木を両断できそうな大きさだ。
「じゃ、腕を出してください」
「俺の腕を持っていく気?」
「大丈夫ですよ。浅く切りますから。怪我をしたら回復魔法の練習ができるので、問題ないです!」
「その過程が問題だわ!?」
エマは鎌を上から下に振り下ろす。
そしてセンの腕にスパッと切り込みが入る。「痛ぁ!熱っ!」
「やっぱダメでしたか。刃物相手は【ダークウェア】にあまり頼らず、避けるようにした方がいいですね。致命傷は避けらても、重症は避けられないでしょう。じゃあ次は治しますか」
「やっぱわかっててやったのか」
ちょっとエマの闇を見た。
「怪我がなきゃできませんからね……再生魔法は【リボーンス】です。傷口に闇のエネルギーを集めて、元に戻るイメージでやってみましょう」
「全く……【リボーンス】!」
傷が黒いオーラに覆われて見えなくなる。
元に戻る元に戻る、そうだ、傷なんてない、ないんだ。それに俺はインドア派だった。傷なんてもの、俺には無縁だ!
そんなことを思っていると、いつの間にか痛みが消えてる。傷口の方に目を向ける。黒いをオーラが晴れると、傷もなくなっていた。
「おおおお!やった!!初めてまともに一発成功できた!!」
今まで何かしら不具合があったため、無事成功したことを盛大に喜び、ガッツポーズを取る。
少なくとも、怪我を負っても治せるから、いざって時に重宝するはずだ。超嬉しい。
「おめでとうございます!やりましたね!」
エマも自分のことのように喜んだ。