表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/78

第8話 闇の力の美談

「ふぅ、それじゃお昼休憩にしましょう」

 森林地帯にて、午前中の訓練を終え、ドサッと座り込む。昨日の疲れもあり、なかなか応える。全身筋肉痛だ。


ただ、訓練の成果もあり、手のひらで同時に1ずつ【黒弾】を出せるようになった。【バスターク】も適切にだが、使えば使うほど平常時の筋力や体力も上がっていくとのこと。いつの日か、俺もセイバぐらい動ける日がくるのかもしれん。


 バックから軽食を取り出し、食べ始める。ギルド集会所に戻って食べないのは、さっきみたいに鉢合わせるのを避けるためだ。


にしても、エマが変身した師匠の姿、綺麗だったなぁ。どんな人なんだろうか……命の恩人って言ってたし、ちょっと聞いてみよう。


「そういや、エマの師匠のことなんだけどさ」

「……また見た目のことですか?」

セクハラ発言する上司に、釘を刺す目をしている。


「違うって、エマと1番最初に会ったときに、闇の力で命を救われたって言ってたじゃん?で、それで助けてくれたってのが、変身したあのお姉さんの姿なんだろ? エピソードが気になってな……悪い奴らに襲われていたのを颯爽と助けたとか?」


「いえ、でも命を救われたというのは言葉通りです。私は心臓の病気だったんですよ。ベッドの上でしか生活できなくて、身体はどんどん衰弱し、10歳も生きられないと医者に宣告されていたんです」


エマにそんな過去が……


「そんな私を助けてくれたのが、お見せした姿…マリアさんなんです。闇の力で、創造と再生の魔法を駆使し、私に新しい心臓を与えてくれました。それからは毎日楽しくて、普通に生きられることが幸せで仕方なかった…だから私はこの力で、多くの人を助けたい」


 思ってたよりもいい話で、涙腺が緩む。マリアさん……お宅の子はスクスクと育ってますよ。


「グスッ……でもそうなると、なんでエマは命を救うというより、初心者冒険者のサポートすることにしたんだ?」


多くの命を助けられ、闇の力を貢献するなら、そういう医者的なポジションの方がウケもいいと思うのだが。


「それは、闇の力を使う者、治された者は、定期的に闇の力を使わないと心身に不調をきたします。そのため、無理矢理に闇の力を使わせることになってしまうんです。私は構わなかったんですが、考えは人それぞれです。だから、どうしてもっ! という時以外は闇の力で治したくないんです」


 永続的に闇の力を使うのを強制させるってことか。なるほどねぇ、ちゃんと考えて……ちょっと待てよ?


「なぁ、それって俺も使ってないと体調崩すのか?」

「えぇ。あ、あれ?最初に説明していませんでした?……」


いや、聞いてないっす。


「最初の勧誘に漏れがありますよ、エセさん。訴えられますよ」

まぁ【エニウェイドア】とか老後に便利そうだからいいけどさ。


「そんで結局、そのマリアさんってのは今どこにいるんだ?」


ごめん、これが1番の目的。頼む!生きていてくれ!


「連絡してるわけじゃないですが……今もきっとどこかで旅をしていると思いますよ。私も出会えたのは偶然なので」


いよっし!望みはある!


「そんじゃ、いつか会ったときに、あなたが救った子のおかげで、人生助かりましたと言えるよう、修行に励みますか!」


「ふふっ期待していますね!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ