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第5話 完敗の余韻

 セイバは木剣を下ろし、センに手を差し伸べる。

「なかなか面白い戦いだった」

「いえいえ、完敗です」

その手を掴み、ゆっくり立ち上がる。


ちゃんと考えて上手くいったが、これは完敗だな。まぁ触れらただけマシと思う。


「特に最後のは見事だ。本来なら、自ら武器を手離すのは愚かだが、あえて顔に投げることで、しゃがませて上段からの攻撃を封じる。後は攻撃に合わせて身を低くく滑り込み、足を狙う。相手の行動を制限して、確実に次の攻撃を当てるいい妙技だ」


いや、転ばせたかったから、ジャンプさせないようにしただけなんだけど。それに剣で弾かれたら、引き返す気満々だったし……だから、一か八かの勝負だった。

でも、評判いいし、これからも使ってこ。


「ただ、鍛練がまだまだ足りないな。もう少し力があれば、私は倒れていただろうに。」


 強化した身体に、スピード乗った蹴りを受けて、微動だにしないのは最早ずるい。


「1つ質問だ。手洗いに行くと嘘をつき、一体何をしたのだ?」


あ、やっぱバレてたか。でもちゃんと嘘は用意しといた。そしてトイレは嘘じゃない。


「実は最初、重りをつけてたんです。連れの……エセさんに鍛えてもらってるので。普段着けるよう言われてたんです。ですけど、本気でどこまで通用するか、試したくて」


これなら、動きが変わった言い訳としても通用するだろう。それにまさか重りを見せてくれなんて言わないだろうし……言わないよね?


「なるほど、焚き付けてしまったか」

セイバはクスッと笑う。


あぁよかった……


「にしても、圧巻の強さでした……光の騎士団というのは皆、セイバさんくらい強いんですか?」

「うーん、一応私は副騎士団長を務めているのだが」

顎に手をつけ考え込むセイバ。


この人No.2!?


「剣の腕だけなら、騎士団長は打ち負かせる。まぁ団長は多彩な技や魔法を使い、君みたいに知恵を使うのが得意だしな」


実質のトップじゃねぇか。まぁ負けた言い訳にならないが、片足蹴っても動かないのは納得。にしても、少し……いや、かなり疲れたなぁ。


「ササガミ殿も鍛えれば、かなりいい線いくと思うぞ。…そうだな、片手で扱う剣なら半身に構えた方がいい。当てやすく、避けやすくなる。後はチャンスに、最速で最短に当てられるよう、稽古を積み重ねることだ」


「アドバイス……ありが……」

あ……あれ?全身が重い……尋常じゃない眠気が……

センはそこで意識を失う。

「大丈夫かササガミ殿!?」

倒れるセンの身体を咄嗟に抱える。


スースーと寝息を立てていた。

「むぅ、無茶をさせたみたいだ」

困ったように笑い、センを抱え上げ、宿屋へと戻っていった。


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