第三章 心の弱さ0
0というわけで短いですが、プロローグのような感じです。
「それで……例の件はどうだ?」
「……あまりよろしくないかと」
「そうか…………」
暗く、長く、先の見通せないコンクリート製の廊下を歩く靴の音が辺りに響く。
密閉された空間――彼らの進む先を示す非常灯だけがを放ち、足元を照らしている。
「まさかとは思ったが、生きていれば――とはよく言ったものだな」
「えぇ――ですが」
「わかっているさ」
男はその場で足を止め、苦笑いと共に後ろの人物に振り返る。
「いま、俺たちの足元は緩く脆い――少し力を加えれば崩壊するだろう」
「無理もありません、この状況下では――」
「だが……」
男は自分の手を握りしめ、その拳をしっかりと見据える。
「だが――この最悪とも呼ぶべき状況で俺たちは最高のカードを引き当てた」
その瞳の奥に隠す鋭い光がもう一人の表情を曇らせる。
「また……悪いクセ、でてますよ」
おっと――と男は笑いながら再び歩を進める。
「まぁ、なんにせよモノにできるかって事は勘定に入っていないがな――っと……この先か」
「――えぇ……例の彼はこの扉の奥に」
二人の視線の先、目の前には到底人を待たせるような場所とは思えない、重く閉ざされた鉄格子の扉がそこにはあった。
仕事の都合で更新が遅れてしまい、何とか目処が立ちましたので、良かったら今後もよろしくお願いします。