前世がニートな悪役令嬢は歌を歌いたい
思い付きで書いて、勢いのままに投稿しました。
こんにちは皆様。
わたくし、城之内桜と申します。
今の名前は、ですが。
はい、皆様がお察しの通り、わたくし、転生者でございます。
わたくしの前世はですね、ニートです。
ですので、高校卒業後は引きこもり状態でした。
そんなわたくしが何故、ここにいるのか、わたくしもよく分かっておりません。
ああ、思い出したのは5歳の頃。すでにテンプレと化している、婚約者と出会ったら記憶が戻った、というやつです。
これまたテンプレで、婚約者が攻略対象、わたくしは悪役令嬢でしたの。
しかし、主要人物を見て、さぁゲームをしよう!というところで記憶が飛んでるんですよね。
だから、攻略対象とヒロイン、悪役令嬢の名前しか覚えていないのです。
ちなみに気絶はしませんでしたが、当分の間頭痛が酷く、周りの人達に心配をかけてしまいました。
それで、思い出したから、と言って何をするか!
死なないように回避する?攻略対象以外の人物と恋に落ちる?
いえいえ、やりたいことをすることにしました。
わたくしのやりたいことはですね。
歌を歌うことです。
いえ、歌い手になりたかった、というか歌が単純に好きなんですよ。
でも、万が一でも断罪されたり、婚約者と婚約してしまうと、歌えない可能性が出てきてしまうんですよ。
とゆうわけで、わたくしを溺愛している、お父様にお願いすることにしました。
「おとうさま!わたくしはうたをみなさまのまえでうたいたいですわ!」
あら、お父様が珍しく驚いていらっしゃるわ。
「おとうさま?」
「!ああ、私の可愛い桜。急にどうしたんだい?」
「はい、わたくし、うたがだいすきなのです!
なので、みなさまにひろうしたいのです!」
「そうか。分かった。場を用意しよう。」
「ありがとうございます!」
流石はお父様。少し驚いたぐらいではびくともしませんわね。
これで誰ともくっつかず、好きなことが出来る!
わたくしの中身に興味は持ちませんし、歌も自信を持てるものでもないですしね。
しかし、その後、客を呼び、パーティーの場で歌ったのち、歌姫として社交界に君臨する美しいご令嬢がいる、という噂が立ち、婚約者や、他の攻略対象者達から興味をもたれるとは、微塵も思っていない、桜でした。
「桜、一番傍で歌ってくれないか。」
「桜さん、私のバイオリンで歌ってくれませんか?」
「「桜ちゃん!僕らと歌おう!」」
「桜の歌、好き。」
「私は歌いたいだけなの!
だから、そっとしておいてー!」