魔王ルシード
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「ここは・・・・ どこだ?」
目が覚めたとき、そこは元いた部屋とはまったく違う空間だった。 その部屋は床、壁、天井がすべて石で統一されており地面には赤いカーペットが敷かれている。 周りを確認していると、ある人物が自分の
目の前に、立っていることに気が付いた。 黒をメインにしたドレスがとても美しい少女。 ピンクのセミロングに、燃えるような紅い瞳をしている。 体格は俺より小柄だが、胸が非常に大きい。 つい見とれてしまったユウトは、その少女と目が合うと、満面の笑みを見せてきた。
「お主は妾のものじゃ!」
「・・・・・・」
いきなりそんなことを言われても状況が理解できない。 まあ、こんな少女に自分のものになれと言われても嫌ではないのだが、このありえない現状に言葉が出てこない。
「質問してもいいか?」
「うむ なんでも聞くがよい!」
なんとか声を振り絞り、冷静さも取り戻した。 聞きたいことは山ほどあるがまずは一番重要なことだ。
ここはどこ? 君は誰だ? さっきの言葉はどういう意味?
「ここは魔王城の中じゃ」
「妾は魔王ルシードじゃ」
「妾の配下になるのじゃ」
俺の質問に対して丁寧に答えてくれるルシードという女性。 だが聞き捨てならないのが魔王という単語だ
魔王ってあの魔王だよな? 確かにあたりを見渡すと、魔王城といわれても納得できるダークな感じの内装だ。 そしてルシードの言葉から察するに、あの光はルシードが原因なのだろう。
そしてなぜ俺なのか? という疑問に対してはお主から強い魔力を感じたのじゃ! と顔を近づけて大げさに迫ってくる。
「大体はわかった ところで俺が配下になる必要はあるのか?」
その質問に対してルシードは顔を暗くする。 ルシード曰く、この世界の国は四つあるである。
それぞれの、ウェクラノク、セルバ、エストニア、アンセル、この国々が勇者を召喚したらしく、それを知ってルシードがそれに対抗するために俺を呼んだのか。 ちなにみその中心にあるのがここの魔王城のようだ。
「召喚されたのはいいんだが俺は強くないぞ?」
「それに関しては問題ないのじゃ!」
自信満々に言ったルシードは胸の谷間から赤い液体が入ったポーションのような瓶を取り出し俺に向かって突き出してきた。 生暖かい・・・・・ そんなことを思いつつルシードに急かされるままに、俺は瓶に口を当て赤い液体を飲み干す。
(うわっこれ血の味がする。 なんか変な気分だ。 まるで乗り物に酔ったかのように体が少しクラクラとしている。 ルシードは飲んだことを確認すると満足げに笑みを浮かべている)
「これで契約完了じゃ これでお主はもう妾のものじゃ!」
そう微笑み、ルシードは俺の手を取り、部屋を後にする。 するとルシードはこちらを振り返り手を握ったまま訪ねてきた。
「そういえばまだお主の名前を聞いておらんかったの」
そういえばそうだった。 自分は散々ルシードに聞いておいて、自分の事は何一つ言っていなかったな。
俺は改めてルシードに自己紹介をする。
「俺は黒崎ユウトだ」
「うむ・・・・・異世界人の名は少々呼びにくいのぅ」
ルシードは顎に手を当ててなにやら考えている。 そしてルシードは何かを思いついたように、パッと顔を明るくした。
「よし決めた! お主は今日から『ノクト』じゃ!」
ノクト・・・・悪くないな。 そう思いながらルシードの決めた名前に心の中で満足する。 するとルシードはなぜか不安な顔をしている。
「嫌じゃったか?」
ルシードには俺の顔がそんな風に見えていたのか。 悪いことをしてしまった。 ルシードを安心させたく俺はルシードの頭を撫でた。 突然の事で驚いたのかルシードは目を点にしている。
「そんなことないぞ ノクト、いい名前じゃないか」
そう言うとルシードは安心したのか再び笑みを浮かべた。 そして俺とルシードは改めてお互いに挨拶をする。
「これから頼むぞノクト!」
「あぁ、よろしくなルシード」
ルシードの口調が難しい・・・・ 時々おかしくなるかも