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終焉  作者: 毒みかん
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第一章

意識が浮上し、ふと目が覚めた。

布団を剥いで起き上がり、今は何時かと周囲を見て時計を確認する。もう朝の六時だ。

凝り固まった筋肉を伸ばそうと大きく伸びながら窓を見る。

茶色なレンガ造りの家々が並ぶ景観は素直に綺麗だなぁと思う。

辺りに薄暗い霧のようなものが広がり漂っていなければ。


「今日は一層忙しくなりそうかな。」


長い1日になりそうだ、と、アキヤは黒く染めあがった空を眺めながらぼんやりと思った。




四つの大陸からなる惑星-通称ラフィナ。

自然豊かな陸が多く水や資源も豊富で、植物や動物達と上手く共存する暮らしをしていた恵まれた惑星。

飢えも乾きも知らない、まさに、人間にとって理想郷のようなところだったらしい。

だがそれはもう過去の話だ。



服を脱いで、外出用の服に着替える。

薄っぺらでヨレヨレで、余り裕福な暮らしをしている者とは窺えない。

だが、ラフィナに住んでいる者にしては、これでもいい暮らしをしているほうだと言うのがこの星の実情だ。


白く、細長い両腕に順に包帯を巻き付け、脚にも巻いたら準備は終わり。

自室を出、急な階段を降りたら、簡単な朝食を作る。

野菜のくずを切り、化学調味料を入れしばらく煮立たせたら、スープの出来上がりだ。

スープを皿に盛り、買ってから少し時間が経ったパンを紙袋から一つだけとったら、少し早い朝食だ。

朝は、大体一人でとっている。





僕には家族が二人居る。

一人は妹のマチ。ショートボブの髪に、大きく垂れた眼をしている。

どちらも明るいオレンジ色をしていて、とても綺麗だと思う。本人にはとても言えないけど。

身体は、小柄で華奢で、それがコンプレックスなのか、背のことをいじると、とたんに怒りだす。

頬を膨らませて文字どおりぷりぷりと怒るのだから、あまり恐くはない。

とても明るくて、感情豊か。観るものをホッと和ませるような笑顔がチャーミングポイントな、普通の女の子だ。


二人目は養父のリュウさん。鋭く尖ったような眼と短く切られた髪は、黒い色をしていて、身長も高く、とても大きな身体をしてる。

寡黙な性格をしていて、一見とても怖そうだけど、長く付き合っていくと、優しい人だという事がわかってくる。

意外に甘いものが大好きで、よくチョコレートを食べているのを見掛ける。

とはいっても、チョコレートはとっても高級品だから、毎日少しずつ、大事に大事にとだけど。

もう何年もお世話になり続けているから、いい加減お父さんって呼んでみたいけど、まだ、恥ずかしくて呼べないでいる。



両親は、もうこの世には居ない。マチが産まれてからすぐに亡くなってしまったから。

でも、時々不思議に思う。

お母さんとお父さんの顔は今でもはっきりと思い出せるのに、どうしても、亡くなる前後の数日間の記憶がおぼろげで何があったか思い出せないのだ。

気づいたら、隣にリュウさんがいて、俺がお父さんの代わりになるんだと無愛想に告げられて。

多分これは一種の自己防衛だと思っている。

おそらく何か自分にとって恐ろしいことが起こって、心が耐えきれなくなったのだろう。

多分、両親が亡くなったきっかけは僕にあるんじゃないかと睨んでいる。

僕の存在は普通とは言いがたいのだから。




少ない食事も食べ終わり、食器を流し台に置いたら、マチへ食事を作ったことを紙の端へ書き置きをする。

追伸に、今日はリュウさんとも夜、食事ができるとも。

普段、リュウさんは家にはあまり帰ってはこない。

仕事柄忙しくて、リュウさんの同僚さん達は殆どの人が仕事場で寝起きをしている。

人手が足りないのも原因の一つにあるだろうが、リュウさんのしている仕事-王家直属魔素治癒師団体-通称魔師団は、基本的に休みの無い仕事だ。

僕はそこで特殊な事情が有るために、魔師団に協力という形で結構深くまで関わってしまっている。

その僕の特殊な事情を説明するには、ちょっとこの星の歴史を知る必要がある。



この星ラフィナは、三千年前までは普通の星だった。いや、むしろ、豊かすぎる程に。

だが、それまでの日々が終わるのは突然だった。

この星に埋まる、この大地の始まりの大木-世界樹から、薄暗い霧のようなものが突然噴き出してきたのだ。

今では魔素だとわかるが、当時はまだそんな現象が起こったこともない。

民はパニックに陥り、それにこうじて強盗等の犯罪が増え、治安が悪化し続けて、もう平和な星だったラフィナは、見るのも無惨な姿に変化していた。

そんな周囲の事など置いて、魔素はどんどん被害を増やしていった。

青々としていた植物や木々はいつしか枯れ落ち、共存していたはずの動物たちは、魔素の魔力に晒され続けて、とても気性の荒い魔獣に生態が変化し、人々はとてもじゃないが、生きていく為の食事も満足に出来ないでいた。

王様が直属の研究員達に原因を究明させようと調べさせても何も出ては来ない。

いよいよ人々がこの世の終わりかと諦めかけたその時、教会側の人間が突然神託を授かったと大々的に発表しだしたのだ。

その内容は灰色の髪と眼をした救世主様が自らの命を懸けて、この世界を救ってくれると言う、にわかには信じがたい話に民衆は戸惑った。

けれど、他に方法が有るわけでもない。

もう後には戻れないと、藁にすがる思いで王様は救世主を見つけたら城に連れてくるようにと、令状を敷き、ラフィナ全体を探した。


そうして時が少し経った時、一人の青年が城に突然とやって来た。

それは教会が受けた神託通りの、灰色の髪と眼をしていた。だがそれだけなら少し変わった色を持つ普通の青年と受け取れて、あまり救世主と言われるような神々さがあるようにはとても見えない。

だがそれも、青年が力を使ったことで今までの評価が一変した。

世界樹のふもとで力を解放したとき、目映い光に包まれ青年の胸から薔薇が咲き誇り、体を多い尽くして世界樹の中に溶け込み、青年の姿は消えた。

瞬間、世界が光に満ちて、魔素を払い尽くしていき、もうあの忌々しい世界は消え去った。


こうして、一人の救世主様のお陰で、暫く民衆は平和な時を過ごしていく事が出来たのだ。



これはこの星に居るものなら、子供から大人まで誰でも知っている御話し、『ラフィナと救世主様の始まり』にある物語を簡単に略したものだ。

物語と言っても、国に記されている伝承と余り大きな違いはない。




僕はこの星の-救世主だ。これは傲りでも自意識過剰でも無い。

唯、確たる事実として胸の中にあった。

突然、リュウさんからお父さんの代わりとなって一緒に暮らしていくと告げられた遠いあの日、僕にとって運命を変える言葉をうけた。お前は救世主になるのだと。


「すぐには受け入れられないだろうが、話を聞いてくれないか。」


そう言葉を呟いたリュウさんの瞳には、冗談を言ってこちらを揶揄うような気配は感じられなかった。

少し戸惑った後、はい、と答えた後説明されたものは今まで普通にに暮らしていたアキトにとって、頭がパンクしそうな話だった。




初めて小説を書きます。更新は亀並みに遅いと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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