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スタンドアローンの新東京02

002 ===スタンドアローンの新東京02===


 バイザーに外界の映像が映される。このジアステレオチャンネルは三つの映像があるタイプだ。中央がそのままカメラの映像で、左右はジアステレオチャンネルを通した映像である。同じ様に見えて微妙に違いがある。左右非対称な物が反転していたり、色が変わっていたり、物の配置が少し違ったりする。

 僕は『連続性エラー棄却スイッチ』を切る。左右の映像に砂嵐が入り、さっきよりも変な映像が映る。一面セピア色だったり、男女が入れ替わっていたり、右手と左手が入れ替わってたり、酷い物だと胴体が逆さまになって手足にくっついている物も見える。女の高山さんが胴体が逆さになって機械を弄っている…気持ち悪い。僕は連続性エラー棄却スイッチをオンにする。


 やはり今のままがいいかな。安全性確保の為、ジアステレオワールドシフトはできない様になっているのでその心配はないけど…。結局今回もいつもと同じような世界が見えた。


「もういいのかい それでどうだった?」


「いつもと同じでしたね」「左右が入れ替わっていたり物の配置が変わっていたり、色が変わったりです」


「連続性スイッチは切ったかい?」


「はい…また気持ち悪い感じに見えました」


「ふむ…やはり君は…」


「次、私乗っていいですか?」


「…ああ、いいよ」


「よーし、今日こそは新しいの見るぞ~!」


 如月さんが意気揚々とSCSに乗り込んでいく。


「ところで北条君、君の特異度はどのくらいだったかな?」


 高山さんが聞いてくる。前も、いや、数回は同じ質問をされている気がする…。特異度とは、ジアステレオチャンネルで観測できる変化の大きさを個人ごとに示した数値の様な物だ。数パーセントから10%が平均値、20%以上になると特異者と呼ばれる事になり。国からSCSパイロットにならないかと打診が来る。国民は6歳で学校に入学する際にこの数値を検査される。

 

「えーと、確か18%くらいだったと思います」


「私は22%だ。でも子供時代は15%でね」「さて、ここに検査機があるのだが、試しに測定してみるかい?」


「なんでそんな物があるんですか…」


「君みたいな子を調べる為にちょっとね」


 この人は本当に機械バカでダメな人だ。


「いいですけど、20%超えても国に報告したりしないでくださいよ?」


「もちろん、私の胸の内にしまっておくさ」


 検査用のゴーグルを装着する。中央に白色光、左右に原色が重なったり離れたりしている画面が表示される。スタートボタンを押す。


『これより、特異度の測定を開始します。落ち着いて息を吐き、目を開いて真っ直ぐ正面を見つめてください』


 音声アナウンスに従う。色、四角、三角、直線、歴史的建造物、家、月、海、森林、都心のビル群、雑踏、人込み、芸能人、絵画、車、電車…様々な物が映される。


『計測を完了しました。 あなたの特異度は 24 % です』


 20%を超えてしまった。面倒な事にならなければいいけど…


「お疲れさま、やっぱり20%超えてきたな!」


 すっごい嬉しそうな小学生の顔で高山さんが僕に声を掛けてくる。


「僕は軍に入る気はありませんよ?」


「大丈夫、君はさっき民間人の身分でSCSに乗ってただろう」


「…」


「…正直な話をしようか、君はなぜここに度々来るのか、自分の中で論理的な答えが出せるかい?」「SCSの戦闘シーンに憧れた、とかパイロットがかっこいい、メカが好きだ、給料が魅力的だ、エリートだ、なんでもいい」


 ん~、言われてみると確固たる信念の様な物は無いかもしれない。


「…ジアステレオワールドが見たいから、でしょうか」


「…」「私の持論だが、SCSは魔性の機械だ。人類の可能性を広げはするが、選べる世界は常に一つ。」「可能性を常に提示する癖に選べる世界は一つだけだ。それをまじまじと体験すると精神がすり減るのさ」「私が退役したのはね、怖くなったのさ。SCSと世界に踊らされているような気がしてね」「若いうちは難しいかもしれないが、実現可能な理想をコツコツと積み上げた方が健全だ」「この機械に乗るのもいいだろう。ただ、迷わないようにな」


 経験者は語る、という奴か。

 僕は、どうだろうか。なんと言い表したらいいのかわからないが、SCSに関わっていると安心できる。これが僕を惹きつけているのだろう。


『プシューン』『カッカッカ』


「今回も色が変わっただけだった~」

『バシンッ』


 SCSから出て来た如月さんが当てつけ気味にが僕の背中を叩く。特異度の検査機の事は黙っておこう。


『キーンコーンカーンコーン…』


 一限目の終了を告げるチャイムが響いた。この後はどうしようかな。


「私は二限目に英語取ってるから行くね~」


「うん、頑張って来てね如月さん」


 休み時間は20分あってそこまで急がなくとも大丈夫だが、如月さんの様子を見るに教材の予習が足りてないのだろう。そのまま見送る。彼女は料理人を目指しているが、英語もにも積極的だ。英語が流暢だと世界のどこに行っても意思疎通に困らないからね。


「…君はいいのかい?北条君。前は英語を受けていた様な気がするが」


「ええ、"僕"は機械と読書が好きですから」


「ああ、そうだったね。では私と機械でも弄るかい? ほら、新しく軍の払い下げの部品を仕入れたんだ」


 今日は特にやることないしそうしようかな…


「おーい、みつぎりー」


 坂原秀樹がこの大きな建物の入り口からこちらに声を掛けてきた。機械弄りはまた今度にしようか、秀樹はマッチョ志向だけど寂しがり屋だからね。


「秀樹は二限どうするのー?」


 ハスキーと言うか半分女の子の声を響かせながら、歩いて入り口の方へ向かう。これでも声を落としているんだけどね、っと考えつつ入り口に到着する。


「俺は一人で弓道場だ、渋いだろ? 昼飯もそっちで食べるからな」「お前も一緒に来るか?」


「いや、僕は見てるだけだし弓道の事は分からないし…」


「いやいや、弓道は見られているだけでもだいぶ違うんだよ」「それにお前は何というかバランス感覚が鋭いから、変な癖を直すのに丁度いい」


「それ、全部秀樹の都合じゃん」


「まぁそう言わずにさ、飯おごるからさ」


「いや、昼ご飯はタダだよね?」


「俺の嫌いなレンコン付けるから!お前の嫌いな唐揚げ食ってやるから!」


「僕もレンコンあんまり好きじゃないし唐揚げ好きだけど…」


「よし行くぞ!」


「はぁ~」


 漫才をやって弓道場に向かうことになった。

すぐに戦闘シーンが出たりしないよ。スマヌ(;´・ω・)

更新は…スマヌ (;´・ω・)

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