スタンドアローンの新東京01
世界設定だけで一万字程書いており、ガチSFを目指しています。
チート、ハーレム、魔法などの要素は出てこない予定です。
001 ===スタンドアローンの新東京01===
僕の名前は 北条 三津霧 両利きだ。東京湾に作られた新東京の学園区に一人で住み、学園区にある燐京高校に通う二年生だ。
ベットの目覚まし機能で覚醒し、起き上がる。機能重視のシンプルな家財と、少女趣味なファンシーな家財がごちゃ混ぜになった部屋が目に入る。
「はぁ~」
疲れたため息をベットに残し、朝の家事のボタンを押していく。朝食の準備、ニュースの読み上げ、学校の連絡の読み上げのボタンを押し、リビングのテレビを付けてから浴室に向かう。
…用意された朝食を取り出してテーブルについてテレビを見る。
「日本国首脳は北アメリカへの経済協力には消極的な姿勢を示しており…」
少し早いがそろそろ学校に行くか、暫し逡巡してから男子用の制服に着替えた。
「ロゴロゴ、留守お願いね」
「カシコマリマシタ、留守モードに移行します」
手首に話しかける。リストバンドからホログラムが表示され、家の戸締りなどが完了する。固定電力は無料だから電気付けっぱなしでもいいけど、照明も付けっぱなしだと消耗が早いからね。
時間もあるし歩いていこうか。学校に歩いていくと…
「みつぎりく~ん!」
『バシッ』
後ろから如月仄華が背中を叩いてきた。同じクラスの女子だ。昔からの幼馴染ではないが僕にお節介を焼いてくる。
「おはよう!」
「うん、如月さんおはよう」
「髪が跳ねてるよ」
「別にいいよ…」
「だーめ、ほらあそこ座って」
ベンチに座らされる。僕の身長は低い方で170cmだ。如月さんは身長165cmくらいで茶髪のショートとセミロングの中間くらいで体格は普通だが胸は大き目だ。櫛を入れられる時に僕の顔に胸が接近するのが少しうっとおしい。
「如月さん、胸が当たってるよ」
「なんでこんなにきれいな髪なんだろう」「この灰色と青の混合、不自然な所がまたイイのぅ~」
「ん~、聞いてる?窒息するよ」
「当ててんのよ、もうちょっと待って」
…やっと終わった。必要ないのに手鏡で僕を見せてくる。男子制服を着ている美少女が映っていた。やめてほしい。
「この髪飾り取って良い?」
「しょうがないな~、でも髪をくしゃくしゃしないでよ?」
僕はXXXYの性染色体を持つ、モザイク型の半陰陽である。骨格は女に近く、両性具有だ。性同一性障害、統合失調も患っている。
主治医の話では、四人の人格が居るそうだ。会話の様子を映像で確認したところ、『僕』『俺』『私』『みつぎり』と一人称が違う四人だ。基本的に朝起きた時にその日の人格が決まる。
『僕』は今日の僕だ。他の人格から相対的に判断すると中性的な人格で一番頻度が多い。
『俺』は漢らしさを追求した性格で、部活のキャプテン気質だ。
『私』は表面上は表は完璧主義の清楚系で裏は少女趣味がキツイ女だ。
『みつぎり』は不思議ちゃんだ。幼児退行してるかと思えば意味深な事を喋る。滅多に出てこない。
「道草食ってると学校遅れちゃうよ。早く行こう」
燐京高校へと歩み出す。
「なんだ、みつぎりか」
また後ろから声が掛かった。このパターンは坂原秀樹かな?横に並んだ姿を見るとやはり秀樹だった。体格はがっしりしてて高身長。スポーツ刈りで剣道か柔道をやってそうな出で立ちだが弓道をやっている男だ。
「おはよ、秀樹」
「おはよ~坂原くん」
「おうおはよう」
学校の構内入り口で機械に手首をかざして認証し、構内へと入る。
「俺は一旦部室に寄るから、じゃあな」
秀樹と別れる。荷物でも置いてくるのだろう。
教室に入り自分の席に座る。
「おはよー」「おはよー」「8時のやつみた?」「昨日ゲーセンでさ~」「おはよう」「日本とアメリカって最近仲悪いよな、今日もニュースで」「手作りクッキーとかマジ?天然物の材料揃えるのって大変だよね」…
「よーしみんな席につけー。出席取るぞ」
ホームルームが終わって授業時間前になった。高校では卒業単位試験に合格すればあとは自由に授業を取ることが出来る。中学でしっかり勉強をしていれば高校入学時に既に単位が取れる為、都心部の高校では各人で興味のある専門の授業を取るのが普通である。
机の端末を操作する。今日の予定や学校掲示板などを確認する。
「みつぎり君はまたあそこ?」
「そうだね、ちょっとまた弄ってみたい」
「私は適性がそこまでないからな~。この天才めっ」
「僕もそこまで適正値は高くないんだけどね」
この学校にはシンメトリーコアシステム、略してSCSが置いてある。流線形の戦闘機みたいなものである。SCSには特殊な観測装置が付いており、事象の確率操作みたいな事が出来る。日本国軍からの払い下げが資料として学校に提供されている物だ。
学園構内で離れの開けた場所にある倉庫まで来た。如月さんも付いてきた。軍事系には興味が無い様だけど、SCSには興味があるらしい。
「ああ、また君たちか。分かってると思うけど機体を動かさないようにね」
この機体の持ち主の高山さんだ。数年前に退役して、この機体を軍から条件付きで買い取ってからここに貸し出している人だ。穏やかな40歳後半に見える男性で無精ひげが良く似合う趣味に生きる人である。暇な時はSCSの整備をしている。
「いつ見てもかっこいいわね~これ」
流線形の円盤、といった外観で、銀河を遠くから見たような形をしている。そこにレールや突起などが対照的に付いている。これは小型化が進んだタイプで円盤の直径は8メートル程である。エンジンは重力子力発電タイプだ。高山さんの整備もあってか灰色の機体だが汚れは無く輝いている。あのレールは重力子砲だ。この小さなSCSでも最大出力なら小山くらい文字通り吹っ飛ばす力を秘めている。
「北条君、さっそく覗いてみるかい?」
「はい、お願いします」
コクピットに乗せてもらう。セーフモードだったエンジンが息を吹き返したのか、パワーゲージが上昇する。僕は席に体を固定していつもの動作で操作していき、バイザーを頭に装着した。
このバイザーが戦闘機とSCSを大きく二分するもの、
――【ジアステレオチャンネル】 である。
例によって書き溜めをして推敲することが出来ないアホ作者なので不定期更新です。
本格SFものが書きたくなったので一人でニヤニヤしながら
設定を書き上げてから執筆しました。
メインはマギ・ヘイズの予定ですのであしからず、です。(;´・ω・)