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キャリアマスター   作者: career master
ビクトリアシティ編
32/32

#32 衝撃

前回が少し短めだったので今回は少し長めです。

リグは再び姿を消した。ブレイドの視界にはリグは完全に映っていない。ブレイドはリグを探すのかと思いきや突然両手を大きく横に広げ、どこからでも来いとばかりな無防備な体勢をとった。リグは不審の眉を一瞬寄せるが突かさずブレイドの急所目掛けて回し蹴りを入れようとした。しかし、その蹴りは不発に終わり、リグの足はなんとブレイドの身体を丸ごと貫通したのであった。リグは体が無意識のうちに棒のように固くなり機械のような表情が強張る。観客達にはリグの姿が見えていないため、今起きた現象はリグとブレイドのみ知りうることであった。ブレイドは言葉に余裕を感じさせるようにリグに話しかける。


ブレイド「今攻撃しただろ?・・でも当たらなかった・・・」


リグ「偶然です。もう1回!・・・・な!?」


リグはもう1度不可視状態のままブレイドに攻撃を仕掛けたがやはり不発に終わってしまうのであった。


ブレイド「ざーんねん~、君の負けだよ。オレは水専門のキャリアでね・・・こうやって体を水みたいにも出来るんだ~。この状態だと物理ダメージは一切効かないよ。あとこんなことも!」


と言うと今度はブレイドが舞台から姿を消したのであった。これには会場のほぼ全員が驚愕していた。


「何だ何だ!あいつまで消えたぞ!、どうなってやがる!!」


「今回の参加者はレベルが高すぎるぞ!!」


リグ「え!?・・・どういうこと・・・私と同じ事を・・・他の観客にも見えてない・・どこ?」


ブレイド「アクア銃弾ブレット


リグ「うっ!!??・・・・」


ブレイドはリグの両脚に銃弾の威力はある水鉄砲を喰らわせた。リグの不可視状態は解除され、両脚に深手を負ったためリング床に倒れ込む。


リグ「な・・・なぜ、私が見えたの・・・・うっ!!」


ブレイド「へへへ、内緒~、オレの勝ちでいね。」


リグ「・・・完敗です。私の負け・・」


「試合終了!!!、第③試合はブレイド選手の勝利です!!!」


ブレイドは自身のキャリアを駆使して快勝に至った。試合が終わると足を負傷して倒れ込んでいるリグの元に向かい声をかける。


ブレイド「悪かったな、それじゃまともに歩けないだろ、応急処置だ。」


リグ「うっっ!!?」


ブレイドは負傷しているリグの両脚に水の塊を貼り付けた。するとリグの傷は少しばかり癒え、試合開始前の状態まで回復した。


リグ「治った?・・」


ブレイド「治ってはないさ、表面の傷を塞いだだけだから。痛みは多少あると思うけど。もう立てるだろ?」


リグ「ええ・・・・・あ、ありがとうございます・・・」


リグはゆっくりと立ち上がり、ほんの少し照れて伏し目になりながらそう言葉を発した。リグの表情は試合前と比べ明るさを取り戻し、活気が出てきていた。ブレイドの親切さに心が揺れ動く。お礼を言われたブレイドは視線を逸らして少し赤面していた。


リグのキャリアは”透明化ステルスネス”、一定時間自分の身体を無色透明にして相手の視界から完全に消失することができる。また、呼吸や臭い、足踏みなどの微細な音なども消すことができるので、闇に身を潜めて相手を襲える。しかしブレイドもこれと似たような技を発動させ、本来は位置が把握不能のはずなのにリグは攻撃を受けてしまった。これはブレイドのキャリアにカラクリがあったのだ。この6年間でブレイドが会得したキャリアは正に水を操るものであり、”アクアマスター”というキャリアである。壮大な水の力を応用させ様々な芸当が可能だ。リグとの試合では自身の身体を水と同化させ物理攻撃を当たらなくさせる技、水特攻とも言える水銃弾、一時的な応急処置を施せる回復効果のある水、そして水を水蒸気に変換させ、光の屈折を利用してリグと同様に不可視状態になる技を披露した。ただ、リグの不可視とは性質が若干異なるため、寒暖の地なので行うと水蒸気が凝結してしまい、姿を消すことは不可能となる。微細な音も完全にはシャットダウン出来ないためそれらの点はリグには劣る。ではなぜブレイドは完全に姿を消せるリグに攻撃を当てられたのであろうか。答えは単純明快だ。ブレイドは水と同化している際に、リグの攻撃をダメージは0であるが受けてはいる。その時にリグの位置を1度把握し、動揺していたリグの隙をついてブレイドも不可視状態となった。突然の事態に困惑していたリグは、動くことを忘れブレイドを探し始めたため、前に位置を把握されたブレイドに水銃弾を喰らう結果となったのだ。


ブレイドはレオルの元へと戻る。


レオル「どういうトリックを使ったんだよ?」


ブレイド「そんなの教えないさ。機密事項。」


レオル「まあいいや、お前も相当強くなったってのは分かったぜ。対戦が楽しみだな。」


ブレイド「ああ。それよりレオル・・・次のベベラって奴・・要注意だぞ、あれはかなりヤバイ・・」


レオル「ああ・・・只者じゃねぇな・・」


ベベラ「・・・・(あの水使い・・・ブレイドといったか。面白い・・)」


グルーノ(何だか面白い奴が多いんだね。さあ次はボクの番かな)


「さあ最後は7番と8番の対決だ!!、両者は前に上がってくれ!!!!」


7番の選手はミレアという女性だ。ピンク色の髪でリボンをつけている。胸は男性が一目で釘付けになるほどで、興奮に絶えられなくなりそうな大きさで、スタイルも抜群に良い。


「すっげぇ可愛いぞあの子!!」


「ああ~・・・1度でいいから触ってみたいなぁ~・・・」


対する8番の選手は容貌10才、身長130cmくらいの黒髪の小柄な少年グルーノであった。

陽気に明るい顔でリングの上へと駆け上がっていった。


「あんな小さい子が参戦するのかよ・・」


「でもあの子・・・羨ましいなぁ・・」


ミレア「あら、あたしの相手はこんあ坊やなの。お姉さん手加減とかしないわよー。」


グルーノ「うん!平気だよ!ボク強いから!・・(それにしても大きいおっぱいだな、まあ実力の方は大したことないみたいだけど)」


グルーノは陽気に元気ッ子を演じながら喋った。


「それでは第④試合レディーイィィィイィファァイイィィィィ!!!!」


合図と同時にグルーノは勢いよくミレアの元へ走り出す。だが、グルーノの足はこれまでの選手と比べて格段に遅かったためミレアは余裕の構えをし始める。


グルーノ「とおお!!」


グルーノはミレア目掛けて跳び蹴りをした。が、ミレアはそれをひょろりと回避して再び身構える。


グルーノ「おっとっとっと・・あれれ??」


グルーノは着地時にバランスを一時崩すがすぐに立て直す。


ミレア「そんなんじゃあたしには一生当たらないわよ坊や。今度はこっちから行くわ。」


グルーノ「あれー、おかしいなー、これならどうだ!、パーンチ!!」


グルーノは愉快そうにそう言いながらミレアに拳を向ける。ミレアは軽く右の掌で受け止めてそのまま一撃で気絶させ試合を終わらせるつもりだったのだが・・・ミレアがグルーノの拳を受け止める段階で歯車は狂った。グルーノの拳が突如重みを増してミレアの指の骨を粉砕してしまうのであった。グルーノは楽しそうに笑顔でミレアの顔をじっと見つめていた。


ミレア「ゴァァ!!(何だこのガキ・・・・・!!)」


ミレアは歯を食い縛り痛みに耐え、頭に血が上ったためにグルーノを思い切り蹴飛ばそうとした。しかしその攻撃は回避されてミレアはグルーノを見失ってしまう。するとすぐに背後にグルーノが回り込み・・


グルーノ「こっちだよ!お姉さん!!」


ミレア「な!!!?」


そう言うとグルーノはミレアの大きなお尻をデコピンし、なんとミレアごとリング場外に凄まじい威力で吹き飛ばしたのであった。


グルーノ「あはははははバイバーイ、ボクの勝ちだね!!」


ミレアは場外に落ちそのまま気絶してしまったので第④試合はグルーノの勝利で幕を閉じた。この異例の快挙には観客達も度肝を抜かれるのであった。


「おいおい何だよあの子!!」


「何なんだ。何があったんだ・・」


レオル「あいつ・・・」


ブレイド「ただの子供じゃない・・とんでもない・・・」


ベベラ(何だあのガキ・・・・また厄介なのが出てきたな・・指だけで軽く人1人吹き飛ばすだけのパワ-・・・・いやキャリアか・・)


グルーノ「よっしゃー!!(あぁあ、ちょっと力入りすぎちゃった、ごめんねおっぱいお姉ざん)」


「さあ次からは準決勝だ!!30分後に開始するぜ!!それまで各自休憩だ!!」


暫しの休息を与えられるレオルとブレイド。不敵に微笑むベベラとグルーノ。そしてラギア率いる「神風」は既にビクトリアシティの至る所に紛れ込んでいた。ベベラは無線通話でラギアと連絡を取り合う。


ラギア「ようベベラ、そっちはどうだ?」


ベベラ「ええ、順調ですよ。ちょっとヤバそうなのが3人ほどいるけど・・」


ラギア「何?、どんな奴らなんだ」


ベベラ「まず青髪のレオルと山吹色髪のブレイドという奴が。レオルの方は分からんが、ブレイドの方は水のキャリア使いだ。物理攻撃が効かんらしい。だが2人共手に負えないほどの奴らではない。」


ラギア「ハッハッハ、レオルとブレイドか。覚えておこう。水か・・・まあオレには通用せん、で?もう1人は。」


ベベラ「グルーノっていうガキだ。妙な技を使っていた。詳細はまだ分からない。オレに似たタイプのキャリア使いかもしれない。コイツは相当危険だ。見た目に騙されないことだ。」


ラギア「グルーノか・・・どっかで聞いたことあったような、んん、思い出せんな。そうか、お前がそれほど言うんだからよほどというわけか・・・ご苦労。決行は間もなくだ。ブルーファイターに動くよう伝えておいてくれ。あと、無駄な体力の消費はするなよ。次の試合は棄権しておけ・・まあお前の好きにしろ。厄介そうな奴らはそこに集まってるしな、それを足止めするのがお前の役目だからな。じゃあよろしく頼むわ・・」


ベベラ「了解・・・」


一方ビクトリア城内では兵隊長ザイボルと護衛長プロテクトが大臣サックと秘書エリーナに誘導され、城門と地下の宝物庫に配置されていた。サックとエリーナは雑務も終わり王座の間にてコーヒーを飲みながら休憩していた。


サック「助かったよエリーナ。お前がいると本当に仕事が捗るな。」


エリーナ「いいえ、とんでもありません。私は秘書として当然の任務を全うしている限りです。」


サック「王子様も戻って来られたらなんと幸いなことか・・」


エリーナ「はい・・・・」


ピピピ、ピピピ、エリーナの携帯電話の着信音が鳴る。


エリーナ「失礼。」


エリーナは電話に出るととある人物から伝言をいくつか伝えられた。


エリーナ「ええ。地下です・・・いえ、初耳です・・・・・はい、予定通りです・・・ベベラ隊長。あとはこの私ブルーファイターにお任せください・・・」


エリーナの通話相手はなんとベベラであった。任務の旨を伝えられ、「神風」のブルーファイターとして行動する準備が整ったのだ。内部から忍び寄る暗躍者見参・・・




























































































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