#25 insane character
25話目になります。いよいよピエトロとシャープの目的が・・・
タワーの前のレオル達3人とシャープ・・
シャープ「オレ達の計画を邪魔する奴は・・・・たとえ誰であろうとも・・・・・・・・あ、そうだ。それは別にお前らがいてもいなくても変わんないか、どうせ何もできないしな・・・さっさとハングの所に行けばいいだけだし・・・じゃ、オレはちょっと上に用があるから、お前らはそこで大人しくしていろよ。(フリーズは解除後リカバリーに少し時間を要する・・麻痺効果付きだからな・・)」
シャープはそう言い残して、急に走り出して行き、なんとピタゴラタワーをよじ登り始めた。石塁の隙間に手足を器用に引っ掛けてとてつもない速さで登りつめていく。あっという間に3人の視界から見えないところまで登っていく。それと同時に3人の束縛も解除された。
ブレイド「!!・・・なんだ?・・・動けるぞ・・なんなんだよ・・なんなんだよ!!」
レオル「ハー、ハー、ちきしょー! オレは・・・何も出来なかった・・・・」
ゼウス「・・あの野郎!! 舐めやがって・・・」
3人は体の自由を手に入れ安堵するものの、シャープの前に手も足も出せなかったことに対する己の無力さに怒りを感じるのであった。アハトーガを倒してタワーを攻略したことで自信をつけていたが、一瞬にしてそれを失ってしまう。3人は恐怖と衝撃のあまり暫く立つことができず跪くのであった。
タワー最上階にて・・ピエトロとハング達・・・・
ピエトロ「フフフ、いいねぇ~・・その感じ・・・普通に戦ってもみたいなぁ・・・ペロッ・・・でも今日は、ただアンタの能力を奪うためだけにここに来たもんだからね、残念だけどできないんだ。」
ピエトロはそう言って禍々しい殺気を放ち、変質者のような狂った目をする。不思議な畏怖が周囲を取り囲み、ハング、タール、ワイザーは身構え始めた。執事であるワイザーが真っ先にハングの身を危険にさらすまいとしてピエトロに無数のナイフを投げつけた。
ワイザー「ほざけ!!」
ピエトロ「!!・・・」
ピエトロは一瞬うろたえるが、冷静にナイフの軌道を読み着実に避け続ける。ワイザーは勢い止まらず先端に毒を塗ったナイフを投げつける。そのナイフはブーメランのようにワイザーの元に戻ってくるため何度でも使いまわせる。ワイザーのキャリアは ‘アサシンダガー’ 身体中いたるところから短剣・・すなわちナイフを出現させて飛ばすことができる。少し細工をすれば毒や麻痺薬を塗ったナイフも製作可能。ナイフを具現化させてから投げ飛ばすまでワイザーであれば、0.1秒とかからないほどなので脳天を一発貫いて暗殺技術として使用するのも容易い。そしてワイザーは鍛錬を重ね、ブーメランナイフを開発させた。相手の攻撃を許す暇さえ与えないであろう。合計8本の毒ナイフがピエトロを襲う。その内の2本がついにピエトロの左肩と右腕の皮膚を削り取った。赤い血が噴出しダメージを受けるピエトロ。ワイザーはその隙にさらなく猛攻撃を続けて一気にピエトロを追い詰めようとする。しかし・・・・次の瞬間、ピエトロの目は、もし目を合わせたならば野生動物は怯えて逃走し、常人ならばあまりの恐怖に身動きが取れなくなるであろうほど変化して狂い果てる。そしてワイザーの視界からピエトロは忽然と姿を消す。ワイザーはナイフ攻撃を止めて狼狽し始める。
ワイザー「・・・!! 奴は・・・どこへ・・・・・・・!!!ドハッッッァ・・・」
ハング&タール「!!!」
ピエトロ「・・いけないけない。また殺っちゃった・・ペロッ・・でもちょっとムカついたよ。」
コロコロコロ・・・・ワイザーの生首が床に転がる。ピエトロは素手でワイザーの首を切断したのであった。口を微かにパクパクさせるが、数秒後に目を見開いたまま動かなくなった。
タール「・・そ、そんな!!!」
ハング「・・バ・・バカな・・・ワイザーが一撃で・・・・・・・貴っ様!! わしの部屋で勝手な真似を!! 許さんぞ!!!」
ハングは長年仕えていたワイザーが目の前で殺されるのを見て、腸が煮えくり返るような怒りを覚え、怒号を上げ、青筋を張らせて、ピエトロに襲いかかろうとした。年寄りとは思えぬほどの剣幕をしているが、ピエトロは余裕綽々で身構えていた。と、その時・・・・・パリパリパリーン。突然部屋の窓ガラスが粉々に割れる。
ハング&タール「!!!?」
その窓の先からハングとタールの目に映し出さでたものは紛れもない人間の姿であった。2人は一体どうやってこの変哲なタワーを登ってきたのだと思いを寄せる。それはまさしく壁をよじ登ってきたシャープであった。
ピエトロ「やあシャープ。随分遅かったねぇ。先にボクがもう仕掛けちゃったよ。」
シャープ「ああごめん、少し遊んでたんだ。ん・・ケガしたの?」
ピエトロ「ん?・・・ああ、これね。ボクが今ギロチンしたその男にちょっと・・・なんか毒でも入ってるみたいだ・・ピリピリするな・・・ガブッ・・・・・うん、これでよし。」
ピエトロは負傷した箇所の肉を噛み千切って吐くのかと思いきや、飲み込んだ。自分で自分の肉を喰らう狂人ピエトロ・・・シャープは至って平然としたままピエトロに話しかける。
シャープ「・・なるほどね、、それで、ジュエルはあったのか?」
ピエトロ「・・フフフ、もちろん。ハングの首飾りさ・・ほら、あれだよ。」
ピエトロはそう言ってハングが身につけている小さな宝石を指さした。表面にJという文字が刻まれている。
シャープ「あ、ホントだ。オレが探してたやつ、よかった。ずっと探してたんだよね。」
ピエトロ「・・さて、役者も揃ったことだし、そろそろ始めようか・・・ペロッ・」
シャープ「む。」
ハング「タールよ! お前さんは逃げるのじゃ!! アールドとムースに知らせるんだ!!」
タール「!!・・あ、は、はい!」
ハングは力強く甲高い声でタールを逃がそうと試みる。だがタールは、ピエトロが如何にも殺人者というような魔光目線を送ると忽ち膝が震えて動きが鈍くなる。鳥肌が立ち、まるで悪鬼に追い詰められたように怯え始める。そしてハングは自信のキャリアファカルティを発動させてシャープとピエトロに立ち向かう。
ハング「気炎龍波・・・魔装豪・・・・うっ!!?」
シャープ「フリーズ!!」
シャープのフリーズでキャリアを発動させようとしていたハングと、立ちすくむタールは身動きを完全に封じ込まれる。
タール「か、からだが!!」
ハング「な、なんじゃこれは・・・操作系キャリアか!・・・己・・全く動かん・・」
シャープ「無駄だ。オレの手は相手の動きを封じれる。どんなに足掻いても動けまい。それにアールドとムースならオレが始末しといたから助けは来ないさ。あー、ムースの方はまだ生きてるか。あと下にガキが3人いたな。まあ今頃はあまりの恐怖に怖気づいてしまっているとは思うが・・・」
ハング「何じゃと!! アールドが殺られた!? 貴様のような輩に奴がそう敗れるとは思わない・・・」
シャープ「うん、敗れたよ。空気を刃に変えて見えない攻撃をしてくる面白いキャリアだった。ただオレのが強かった・・・それだけ。」
ピエトロ「うるさいじぃさんだなぁ、もうさっさと貰っちゃうか・・・・ペロッ・・ああ・・どんな感触がするのだろう・・・アハハハハハ!!!」
狂い果てたその目は、もはや対象物を捉えておらず、抑制が利かなくなったピエトロは次の瞬間に束縛状態のハングの胸を素手で突き刺した。ハングは吐血し悶絶する。異端児と化したピエトロはついにそのキャリアを発動させる。
ピエトロ「・・・さあ、行くよ!!・・・・究極の獲物狩り(アルティメットハンター)」




