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キャリアマスター   作者: career master
キャリア試験編
23/32

#23 覚醒

23話目になります。ついにキャリア体質化するレオル達。そして新たな敵が・・・・ここから先はタワーに入る前の11話、12話から繋がっています。そちらを参照した後にご覧ください。

3人は大きく首を縦に振って準備を整える。いよいよ念願のキャリア・・・長い長い道のりを経てようやくたどり着いた場所・・・自分達のすぐ手の届く範囲までもうそれが接近してきている。自分のものになろうとしている。タールに全快させてもらって間もないが、3人は尋常でない緊張感に襲われて平然としておられず、意志とは無関係に膝が震えだす。過呼吸になるほど大波を荒げ、早鐘の如く耳元まで鳴り響く心臓。まるで胸の中に別の心臓が羽ばたくようであった。直立してるだけで意識が飛んでしまいそうな興奮で顔が赤く輝き出す。そしてハングは両手を3人の前にかざしながら言う。


ハング「目を瞑るのだ! わしがいいと言うまで絶対に開けてはならんぞ、そして心に強く念じるのじゃ! 自分の理想のキャリアをな!! では行くぞ!!」


3人は目を閉じて各々強く念じた。レオルは炎を、ブレイドは水を、ゼウスは疾風を・・・・ハングの腕周りの空気の波長が変化し、空気の塊のようなものが3つ作り出される。無色半透明なその3つのボールのような空気が3人に向かっていく。


ハング「喝!!!」


ハングが馬鹿でかい声量を上げると、不思議なことに空気玉が3人の体内に入り込んだ。そして次の瞬間、3人は全身が痺れるような感覚を覚えた。体内に眠る底知れぬパワーが研ぎ澄まされて目覚めるような名状し難い感覚。思わず息を呑み、目をパチクリさせて驚嘆する3人。全身を巡る血流が騒がしくなり、活性化エネルギーが低下して、体内の酵素の反応速度が上昇し、代謝が一気に促進されていく。結合を繰り返し体内で新たな生成物が出来上がる。こうして3人はついにキャリア体質となったのだ。


レオル「・・すっげー! スゴ過ぎるぜ!! 力が倍増したみてぇだ!!」


ブレイド「ああ!! これが・・・眠っていた潜在パワーか! なんか体が軽くなったな~」


ゼウス「・・想像以上だぜ、、力が漲って来やがる!!」


ハング「ホッホッホ、わしはきっかけを与えただけに過ぎん、キャリアの開花は修行あるのみじゃ! 体質が変化したから今までとは違う肉体になったわけじゃからの、いずれその引き出し方が分かるようになるわい、さて、改めて・・・・キャリア試験合格おめでとう。本当によく頑張ったのー、天晴れじゃ!」


タール「ピタゴラタワーを子供が攻略するなんて・・・・凄いわ3人とも!」


執事のワイザーも口を開いて賞賛し始める。


ワイザー「合格おめでとうございます。あなた方の業績は素晴らしいものです。このタワーを攻略できたことでも十分自信になるでしょう。ここで体験してきた全てのことは必ず将来の糧となり、よりあなた方を成長に導くでしょう。この先の困難も突破できるはずでございます。」


ハング「最後に、お主らの名を聞いておこうか。」


レオル「オレはレオルだ!」


ブレイド「オレはブレイドさ~」


ゼウス「・・・・ゼウスだ。」


ハング「ふむ、レオルにブレイドにゼウスじゃな、覚えておこう。さて、もう帰宅して良いぞ。部屋の隅にタワーの外に出れるワープゾーンがあるからそこを使うと良い。」


ハングは部屋の窓際の隅にある緑色に光る足場を指さしてそう言った。レオル達は不思議そうな顔つきをしたが、やがて納得した。


ハング「2~3年前にもお主らと同じ年ごろの子供達のチームがいたのー、確かクルージュとミントとヒストンじゃったな、懐かしいのー。」


レオル「!! クルージュとミントだって!?・・(そういえば、そんな話してたっけ・・)」


ブレイド「誰だ??」


レオル「ああ、オレの友達さ! ここに来る前に出会ったんだ、2人共キャリア使いだったぜ・・・・うひゃー、てことはあいつらもここをクリアしたってわけか!」


ハング「うむ・・・そういうことじゃの、彼らも中々のもんじゃったわい、チーム連携が良かったんじゃろ、出なければうまく行かないようになっとるからな、、(まあ正直言うと・・お主らの方が優秀じゃがの・・・)、さて、こんなとこで油を売ってる暇はないぞ! さっさと修行に励むのじゃ! 体調に気を付けて、くれぐれも無理はするでないぞい、休む時は休む、メリハリが大事じゃからの。」


ブレイド「ほいほーい~~」


レオル「言われなくても分かってら。」


ゼウス「・・ふん、貴様らより速く開花させてやるさ。」


レオル「なにー! オレが一番に決まってるだろ!」


ブレイド「はぁ~? 無理無理。オレが一番だ!」


ゼウス「何だと! オレは誰よりも速く動くんだ! オレが絶対に先だ!」


レオル「いやオレだ!!」


ブレイド「オレだ!!」


ゼウス「よし、ならば勝負だ! 誰が一番早くキャリアを使えるようになるかをな。」


レオル「ああ臨むところだ! やってやるよ!」


ブレイド「じゃあ一番になったら・・」


ハング「やかましいわ!!!!」


レオル&ブレイド&ゼウス「!!?」


ハング「じじーの耳元でそんな大きな声を出すな! 鼓膜が痛むではないか・・ほれ解散じゃ、今回お主らが最初のクリアチームみたいじゃしな、まだ来客が来るかもしれんしな。」


ゼウス「!!・・(何だと・・・)」


ブレイド「え!! 他にいないの? って最初にも言ってたっけか・・ん~なんかおかしいな~」


レオル「・・あ、そうだ、あのピエトロっていう気持ち悪い奴はまだクリアしてないってことか?」


ハング「・・ピエトロ?・・・・うーむ、そんな奴はまだ来ておらんぞ、アールドからは10チームだけと聞いたな。お主らの知り合いなのか?」


ブレイド「ん~別に、なんかすっげーキモかったよなー?」


レオル「・・ああ、なんかヤバそうな奴だった・・(確か・・最上階まで行ったとかいう話を聞いたような・・・)」


ゼウス「ふん、別にいいじゃねぇかどうでも。オレらには関係ないことだ。奴が生きてようが死んでようがな。」


ハング「・・ともかくお主らは試験クリア者じゃ、そう簡単には倒されないはずじゃろ、早く下に行くのじゃ、アールドとムースが誘導してくれるはずじゃからの。」


レオル「・・まあ、いっか、そうだな! 一日でも早くキャリアを引きだしてやるぜ!!」


ブレイド「ふーんだ、絶対オレが一番だからな!」


ゼウス「ふん、抜かせ。」


そして、レオル達はワープゾーンに入り、ピタゴラタワーの1Fまで不思議と移動したのであった、3人はタワーの入り口付近の茂みに来ていた。ふとタワーを見上げると、入る前に最初に目にしたあの変哲な構造であった。3人は外部と内部の構造の違いに困惑するのであった。そして外には他の受験者達は見当たらず、試験官であるアールドとムースだけが待機していた。どうやら中に入っている間に他のチームも全員入ったようだ。だがその2人の様子は少しおかしかった。何やら緊迫した雰囲気の中で両者が睨み合っていることに3人はすぐさま気づく。アールドが冷や汗を垂らしながら、表情を失った顔つきをしているムースを凝視していた。そこにはアールドのよく知る彼女の面影は無く、ただ枯木寒巖かんがんなその姿に鳥肌を立てるアールド。何事かとばかりにレオルは恐る恐る尋ねてみる。


レオル「・・な、なあ。オレ達タワーを攻略してきたんだけどさぁ、、どうしたんだ・・?」


ブレイド「おーーい!!・・・・?」


ムース「・・(ガキが3人か・・・)、どうしたんですか? アールドさん。いきなり取り乱して。」


アールド「・・あ、アンタ、ホントにムースなのか? 随分さっきと雰囲気が変化したと思うのだが・・・?」


ムース「・・はぁ? 何をおっしゃっているのですか? それより見てください。タワー攻略者が戻ってきたようですよ。」


アールド「・・!! おおお!! お前達は7番のチームの・・・そうかそうか! クリアしたんだな!」


ブレイド「ん、へっへーん~・・どんなもんだ!」


レオル「ああ、どうなることかと思ったけどな。」


ゼウス「・・・(この女・・)」


ムースは無理矢理作り出した奇怪な愛想顔で微笑みながら言う。


ムース「ふふ、すごいじゃないあなた達、子供達だけでクリアしちゃうなんてね・・・チームワークがよほどよかったのかしら。」


アールド「・・全くだ、1回で3人も合格者が出るなんてな、ハハハハ。」


レオル「マグマが出てきたり超寒ぃとこあったり、迷宮になったり、おまけにピンクのドロドロした奴とか出てきたりよ! そしゃ大変だったぜ。」


ブレイド「天辺まで行って、ついにキャリア体質になったしな!」


ムース「これからが大変なのよ、んふふ、でもよく帰ってこれたわね、おめでとう。」


ゼウス「・・・おい・・・・貴様・・・何者だ?」


ゼウスは異常に警戒態勢に入り、剣を抜こうとしたまま違和感のあるムースに問いかける。


ムース「・・!(コイツ・・)・・え? 何のこと?」


ゼウス「とぼけるな! オレが最初に見た貴様と今の貴様では何かが違う・・・オレの目は誤魔化せんぞ。」


アールド「・・ムース・・」


レオル「・・!!・・何・・まさか、、ピエトロ!?」


ブレイド「!!」


ムースは愛想顔を止め、再び能面のような表情をし始める。そして口元だけを奇妙に動かしながら言葉を放つ。


ムース「・・なるほどなるほど。どうやらこのまま変装は無理だったか。うん・・・まあいいだろう。居心地悪かったし、それに儀式も始まるころだ。この体はもう用済みだな。返すよ、返すよ。」


ムースはそう言うと突然白目になり、腹部が不思議と光り出して、徐々に体の関節を曲げる。そこからムースではない何者かが出現した。それはムースを以前人格ごと乗っ取ってしまったシャープであった。ムースは無傷であったが、そのまま意識を失い地面に倒れ込む。レオル、ブレイド、ゼウス、アールドの4人はすぐさまのけ反り腰を低く構えて戦闘態勢に入る。戦慄の冷や汗が額から滲み出る。シャープは手で体をぽんぽんと叩いて汚れを払いのける。そして4人の顔を見渡して口を開く。


シャープ「やあ・・・おはよう。」



















































































































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