#22 対面
22話目です。いよいよ最上階に辿り着きました。
・・・問題10 キャリアは全部で何種類存在するでしょう?・・
レオル「いくつあんだろうな、キャリアって。」
ブレイド「オレも考えたことないな・・・うーーん」
ゼウス「落ち着け・・これを正解すればクリアだ。だが裏があるようには思えんな・・」
レオル「オレが知ってんのは・・・クルージュのアイスマスターとミントのドクターとドリューのエビルオーガくらいだな・・あと親父の炎か。100種類くらいはあんじゃねぇのか?」
ゼウス「・・いや、もっとありそうだな・・」
ブレイド「これが最終問題だと! くーー、簡単そうだけど・・答えが出ない。」
レオル「ん、てかそもそもキャリアってそいつの想いで開花するものなんだろ? だとしたら・・・」
ゼウス「何か分かったのか?」
レオル「いやー、もう少しで答えが出そうなんだけどさぁ、うーん、、、」
ブレイド「想い・・・!! あ!! そうか!! そうだったのか!! なんだ~超簡単じゃんこの問題。」
ゼウス「何!!?」
レオル「どういうことだよそれは??」
ブレイド「よく考えてみろよ。そもそも誰が何種類あるなんて分かるんだ? 実際修羅場が来ないとキャリアなんて多分人前じゃ使わないだろ? てか半分都市伝説化してる部分もあるくらいだしさ、だから誰も分からないんだ。」
レオル「ってことはつまり・・」
ゼウス「なるほど・・考えるまでもなかったというわけか。」
ブレイド「そうさ。誰も見たことも聞いたこともないキャリアがあるかもしれないしな、計測不可能だ。だから答えは・・・・無限に存在するだ!! 」
・・・・・正解です! 10問中7問正解です。これでクイズは終了です。おめでとうございます。これよりエレベーターが再起動いたします。すぐに着きますのでご安心ください。お疲れ様でした・・・・・
モニター画面は再び暗くなり、文字が消えた。ウイーン。3人の乗るエレベーターはゆっくりと動き始める。
レオル「おお!! クリアできたぞ!!」
ゼウス「どうなることかと思ったぜ。」
ブレイド「やぁー、オレ大活躍だったしな、アハハハハ。」
レオル「何? オレも一問答えたぞ!!」
ブレイド「ええ? そうだったっけ~」
レオル「そうだよ!! ナメクジのやつとかさぁ! 鬼ごっこのやつ間違えちゃったけど。あ!! ゼウスー! お前一問も答えてないな。てか間違えたし・・」
ゼウス「ふん、知らんがな。そんなことはどうでもいい。」
ブレイド「2人共もうちょっと勉強した方がいいんじゃないかな? この先困るぜ。」
レオル「ああ・・少しやってみようかな・・アハハ。」
ゼウス「・・・オレには必要ない・・」
ブレイド「・・・もう・・」
そしてエレベーターは最上階に到着して停止する。すぐに扉が開く。すると3人の眼前には、国会議事堂のような真っ赤な派手な絨毯、高級電球、お洒落な壁紙などなど、流石は最上階という名にふさわしい構築が映し出された。思わず3人は魅了されておっとりする。しばらく歩くと、蓮花色の扉の前に辿り着く。そこに来た瞬間に忽ちに名状し難い興奮に襲われて、レオルは喉が渇き唾をゴクンと飲む。
レオル「・・ふー、ここを開ければ・・やっと・・」
ブレイド「うおぉ! なんだかドキドキしてきたぜ。やっぱりここまで来れたしな。」
ゼウス「いいからさっさと開けろ。」
レオル「! なんだよゼウス。お前緊張感とか興奮とかねぇのか? オレなんかさぁ、今すっげぇ心臓バクバクしてんだぜ! ついにこの瞬間が来た~!って感じでよ。」
ゼウス「・・・・そ、そうか。」
ブレイド「よっしゃー、開けよう!」
レオル「ああ!! 行くぜ!」
レオルはその威風堂々たる豪壮な扉をゆっくりと押し開け始めた。期待に胸躍らせて、高鳴る心臓の鼓動がはっきりと聞き取れ訳もなく膝が震える。興奮で目蓋を閉じても瞳の奥が開けっ放しになっていて、今にも息が詰まりそうなほどである。黒焦げとなった髪部からさらなる発汗。このワクワクはもう誰にも止められない。無意識的にそれを沈めようと再び唾を何度も飲み一気に扉を開いた。
そして3人の視界に映ったものは、豪華テーブルや大本棚や肖像画、トロフィーなどといかにも社長室といったそんな光景であった。薄ピンク色の帽子を被った女性が1人。正装の男執事が1人。白髪、白鬚の翁こと官長のハングが揃って3人を迎える。
ハング「ホッホッホッホ。よくぞここまで辿り着いたな。ピタゴラタワー攻略おめでとうじゃ。お主らが最初のクリア組だ。しかもまだ幼いではないか・・・よーーく頑張ったものじゃ。」
レオル「うは!! やっぱしゴールだ!! やったやったー!」
ブレイド「ああやったな!! いやー~最初は3人バラバラでこりゃダメだなって思ってたんだけどな~、前ツッパリなレオルに、カッコつけ野郎のゼウス、なんだかんだで2人がいたからここまで来れたんだもんな。」
ゼウス「・・ケッ、オレ1人でも十分だったはずだ。」
レオル「んなわけねぇよ、まあとにかくよかった~!」
ブレイド「・・ヘヘーン・・・なぁ・・・・うっ・・・」
ブレイドは突然ふらりとし出し、跪き始める。アハトーガ戦で受けたダメージが蓄積された影響であった。やはり無理をしていたようで、胸を押さえて激しく苦しみだす。ブレイドは胃からの吐き気にも襲われる。
レオル「お、おいブレイド! 大丈夫かよ!?」
ブレイド「・・ハー、あのピンクの奴の電気が相当応えてるみたいだ・・・」
ハング「ホッホッホ、お主ら2人もかなりの深手のようじゃの。全員ボロボロではないか。アハトーガを無傷で倒せるような奴はそういないわい。どれ、タールさん、ちとお願いするぞい。」
そうハングが言うと、帽子を被ったタールがレオル達に接近していく。そして倒れ込むブレイドに手を当てて、笑窪を作りニコニコ顔でキャリアを発動した。
タール「クリアおめでとう。あなたが一番ダメージが大きいみたいね・・(7、8ヵ所も同時にあれを受けたようね・・よくこれで今まで平気だったわね・・普通死ぬわ・・・)、もう大丈夫よ。」
ブレイド「・・・・!!??」
するとブレイドの受けたダメージが見る見るうちに回復していく。ブレイドはその治癒を受ける際、身体が軽くなったように感じとても爽快な気分であった。ぼやけていた視界もはっきりと見えるまでに完治する。ブレイドは疑問符が頭に乱舞していた。
ブレイド「・・な・・治った!!」
ゼウス&レオル「!!」
レオル「お前・・平気なのか?」
ブレイド「・・あ、何ともねぇ。」
レオル「おお!! ミントのドクターのキャリアみてぇじゃん!!」
ゼウス「ドクター?」
タール「ふふ、私のキャリアよ。そんな驚くことじゃないわ。あなた達も治癒が必要ね、、ちょっと失礼・・」
タールはそう言うと、レオルとゼウスに同時に手を当てて体力を回復させた。ゼウスは感激を味わい至極不思議な気分となる。レオルはあのドリュー戦で受けたそれにそっくりで再び感動を深く味わった。少しいざこざをして浸っていると、ハングがいよいよ本題に切り出した。
ハング「よし、これからキャリアを伝授しよう。と言ってもこれですぐキャリアが使用できるという事ではないぞい。キャリアというものは人間の潜在能力みたいなもんじゃからの、非キャリア人は眠ったままなんだな、そこでその眠れる隠された力を呼び起こすことで初めてキャリア体質となるのじゃ。そこから開花させるまでにはまあ半年は修行せんと厳しいのー、どんなキャリアファカルティーにするかはお主ら各々に決定権がある。わしがこれから念力を送るから、その時に使いたいなと思う能力を強く念じるのじゃ! そすれば第一段階は一先ず終了じゃの。そこで注意点は2つ。1つは、キャリアというものは身体に相当な負荷を要するからの、1度開花したキャリアは後に変更することは出来んぞい、要するに1人で2つ以上のキャリアファカルティーは修得不可ということじゃ。まあ能力の派生技ならば、徐奴の使い方次第で使えるようにはなるわい。2つ目はな、当たり前の話だがキャリアは使いようじゃ。体力、筋力、知力、柔軟性、敏捷性、巧緻性などが長けている者ほどキャリアは強く作用する。そしてその普段はその能力を披露するなんて真似は絶対にせんことじゃ。あくまで護身用だからの。どんな能力か分かってしまえば対策を練られて一巻の終わり。お互いの能力は隠しておかねばならない。ここまでは大丈夫かな?」
3人は長々とした説明に飽き飽きした顔つきをしていた。早くやってくれ、呼び起こしてくれ、と願う気持ちが表情でまるわかりである。レオルとブレイドは眼光を太陽の如く輝かせて、腕を不恰好に振らせながら喜色満面でハングに言う。
レオル「分かった分かった!! 早くやってくれよ!」
ブレイド「もう引き出したい力は決まってるからさ。早く早く!」
その2人のテンションにゼウスは同調してはならないと心の中で言い聞かせるも、癖で興奮が顔にはっきりと表れるのであった。ハングは内心笑いながら呆れた表情で発する。
ハング「もー、しょーがない奴らじゃのぉー、今一度聞くが、ホントに覚悟は出来てるんだろうな?」
レオル「当ったり前だ!! そのために来たんだからな!」
ブレイド「そうだ! 途中死にそうだったけどオレはハナっから天辺まで来るつもりだったしな~
ゼウス「・・・・時間が惜しい・・・さっさとしろ。」
ハング「・・うむ、確かに・・お主らの意志は受け取ったぞ。というよりそういうことにしとこうかの。では・・・一瞬のうちに終わるから・・よいな?」
3人は大きく首を縦に振って準備を整えた。




