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キャリアマスター   作者: career master
キャリア試験編
19/32

#19 ブレイドの犠牲

19話目になります。前回に引き続きボスモンスターとの戦闘です。タイトルの通り今回は・・・・

レオル「・・そんな・・チキショー、あの化け物。」


ブレイド「・・人が目の前で死ぬの・・初めて見ちまった・・こりゃ気分悪い。」


ゼウス「悲しみに暮れる暇などない・・・あの野郎・・何度斬っても再生しやがるぞ・・・どうすればいいのだ。」


「ガギャギャャャャァヤ!!」


再び口から緑色の卵のような物体を今度は3個同時に出して、レオル達目掛けて投げつける。単に黄緑色の粘着液よりも粘着力が協力で、飛沫範囲も広いので確実に回避することを強いられる。さらに、それと同時にアハトーガは8本の腕で追撃をしてくるのであった。レオルとブレイドはその液体の飛沫を少し被ってしまい、その箇所にビリビリと電流が送り込まれる。レオルは左足を、ブレイドは右手が一時的に麻痺状態となった。


レオル「うっ・・テテテテ。」


ブレイド「しまった・・!」


ゼウス「散布範囲が広い・・1滴たりとも触れるな!」


ゼウスは持ち前の素早さを生かして攻撃をかわし続けている。手足の痺れで動きが鈍くなっているレオルにアハトーガはさらに卵の形状の粘着液を投げつけた。


レオル「!! ちょっタンマタンマ!・・」


レオルは一瞬ピンチと化すが、アハトーガの腕を交わしながらゼウスが駆け寄り、その卵粘着物を片手剣で弾き飛ばした。そしてそれと同時に4本の腕をも斬り落とす。3人への攻撃も一時的に停止する。


レオル「ゼウス! 悪い、助かったぜ。」


ゼウス「・・油断するな。あの女の二の舞になりたいのか!? 見ろ・・また再生する。クソっ、どう倒せばいいんだ。」


レオル「そーだな、何回斬っても元に戻るもんな・・でもアイツ・・・」


ブレイド「多分あの目ん玉じゃないかな?~~、それか脳みそ、でもわかんないな~~。」


レオル「! そうか、そうだ!! 出かしたぞブレイド!!」


ブレイド「・・え?」


レオル「ああ、奴が再生するとき妙なことに気づいたんだよ。ゼウスがバラバラにした時もそうだが、あのどでかい目玉を中心に再生してるみてぇだ、間違いない! だからあそこを攻撃すれば・・・倒せるかもしれねぇ!」


ゼウス「なるほどな、核のようなものがあるということか。」


ブレイド「やっぱりそうか! そうだったのか~~!!ってもう復活してる!!」


電体核生虫アハトーガは自己再生能力を持つ。頭部・・・正確には1つ目の内部にコアが存在し、それが司令塔の働きをして再生が始まるのだ。どんなに焼かれても斬られてもそのコアさえ無傷であれば何度でも再生可能なのである。アハトーガは8本の腕を変形させて、3人をエンクロージャーのように取り囲んだ。そして長い手の表皮から黄緑色の粘着液を生成して水鉄砲のようにして四方八方に飛ばしてきた。


レオル「い!! 上だ!!」


ブレイド「攻撃パターン変わってきた!」


3人は咄嗟に真上に飛び跳ねてそれらをやり過ごしたが、それが逆に致命的結果を招くのであった。アハトーガは絶え間なく3人の足場を粘着液を無数に飛び交わせて失わせているのである。このままもし落下すれば粘着液の餌食となってしまう。そのことにゼウスはいち早く気づく。


ゼウス「まずいぞ! 奴はまだ攻撃を続けている! このまま落下すると・・」


ブレイド「うわ!! ちょちょ・・・待ったってば。」


レオル「どどどどうすんだ! 空飛べねぇし落ちるしかねぇのか!! やばいぞ!!」


ゼウス「・・(奴の手は全部下、かといって胴体の方は剣のリーチが足りん!)クソッ、これまでか!」


重力により上空に飛び跳ねた3人は急降下を始めた、下っ腹から上へ上へと泥水が湧き上がってくるような焦燥感に襲われたままアハトーガのテリトリーへと落下していく3人。心が奔馬のように逸りあぶり出していく。絶望的状況の中、ブレイドは突然雲のように想念が湧いてきた。


ブレイド「そうだ!・・・・これなら全員落ちずに済む!」


レオル「!! ホントか!」


ゼウス「どんな魔法だ。」


ブレイド「(幸いだ。2人共近いぜ。これなら・・・)、こういうことだ!!」


ブレイドは異を決して脈絡もなく脳裏にふと浮かんだ行動に出た。偶然3人の距離は間近だったために可能なことであった。ブレイドは落下途中まずレオルを蹴飛ばし、さらにゼウスも蹴り飛ばしてアハトーガの粘着縄張りから追いやる。2人は突然の出来事に驚き動揺する。


レオル「・・・ダッ・・・・!?」


ゼウス「ドワ・・・・!?」


ブレイド「・・これしか方法なかったわ、、ハハハ。」


ブレイドは和やかにそう言って、粘着液の飛び交う足元へと落下していった。自らを犠牲にしてレオルとゼウスを救出したという事実は彼らがアハトーガのテリトリー外に着地した時に漸く気が付くこととなる。


「ガギグルグギガキギアアァァ!!!」


レオル「!!!」


ゼウス「まさかあいつ・・・」


ブレイドは地面に落下すると同時に乱舞する電気性粘着液の散弾を浴びた。ベチャベチャ・・ベチャベチャ・・ベチャベチャ・・次々とブレイドの身体中に黄緑色の流動物が付着していく。アハトーガはその姿を確認すると粘着液の生成を中止してブレイドを眺める。そして出力最大の高電圧がブレイドの体内を襲う。


ブレイド「ドワァァァダアァァァ!!!!!・・・・・」


その空間内にはブレイドの凄まじい叫び声が轟く。


レオル「ブレイド!!!! あ・・・・・あ・・」


ゼウス「!!・・・・」


ブレイドの全身は火花を散らして焼かれている。そして黒焦げとなったブレイドはそのまま意識を朦朧とさせながら後ろに倒れ込んだ。


「ガギガギグゲガキアアアァァァ!!!」


レオル「ブレイド!! お、おい・・・やめろ・・・もう・・・」

 

レオルは一目散に我を忘れてブレイドの元に乱走し始めた。不安にギクリと胸を突かれる思い、電光のようにかける不安な戦慄。怯えの皺を自然と作り出し、ただ真っ直ぐ疾走する。ついさっきはナゴが眼前で死に、2年前にはデンを含む村人全員が・・・・そして今度は、共に行動してきた仲間のブレイドが・・・・もう嫌だ。もう見たくない。絶対に・・・・背筋が凍り付き鳥肌が立ちガクガクと体の芯から震え始める。ブレイドの名を呼び1秒でも速く駆け抜ける必要があった。レオルは空腹の胃に吐き気が来るような感触を深く味わった。いつしか瞳の奥底に潤んだ光が宿り、塩辛い液体をキラキラと輝かせていた。だがそんなレオルにアハトーガの悪魔の粘着液が襲ってくるのであった。ゼウスはいち早くそれに気づき走り出す。レオルはアハトーガに全く注意を払っていなかったため、その粘着液がレオルの視界に入った時にはもう避ける暇は皆無であった。


レオル「しまっ・・・!」


ベチャベチャ・・・体に付着する耳障りな音。それはなんと咄嗟に駆け付けたゼウスの全身に付着していた。レオルは目を丸くして驚愕する。


レオル「・・ゼウス!! 何で・・・」


ゼウス「後先考えて行動しやがれバカ。今のうちに奴の目玉を攻撃するんだ!! 速く!! 奴は油断して・・」


次の瞬間、ゼウスの体内に大量の電流が送り込まれる。先ほどと同様に火花を散らしながらビリビリと・・・・


ゼウス「ダァァァウアァァァァ!!!!」


「ガギアアァァァ!!!」


アハトーガはゼウスの苦しむ姿を見てさぞかし喜んでいるようだ。レオルはゼウスの行動で冷静に立ち戻り、隙だらけのアハトーガの頭上目掛けて飛び跳ねた。無事であっててくれ・・・そう願わんばかりに、怒りと共に目尻を吊り上げ、猛烈な勢いでアハトーガに迫りいる。ゼウスは髪諸共黒焦げとなって地面に倒れ込む。


ゼウス「・・・・頼んだ・・・ぜ・・・・・・・・レオル。」


レオル「ウオオオァァ!! てめぇだけは絶ってーぶっ潰す!!! ツイスト列拳だ!!!!」


ゼウスはレオルに全てを託すような意気込みで、電撃を受けたにもかかわらず口元に笑みを浮かべながら、初めてレオルの名を呼び倒れ込む。

ツイスト列拳・・・・板に釘を打ち込むように何十発も拳を繰り出してさらに捻らせて、相手の芯まで致命的ダメージを与える。鬼人のドリューをも撃破したレオルの必殺拳だ。レオルはアハトーガの大目玉にその拳を幾度も叩き込む。青筋を張らせ、怒りに震える口先を血が出そうなほど噛み締めて、蓬髪の振り乱れた凄まじい形相で連撃を続ける。びっしょり汗をかきながら喝声を上げて、濡れた青髪を逆立たせながらずっと・・・・ただひたすらと・・・


「ギャギャギァ!!!!ギウッグガギグギァ!!!」


大声量で喚き声を上げてフラフラし始めるアハトーガ。しかし、8本の手を駆使して、攻撃するレオルを捕らえて、黄緑色の悪血を1つ目からダクダク垂らしながらレオルを射抜くように見つめる。


レオル「!! あっ・・・ばかな・・・ツイスト列拳が!!・・・・」


そして口から再び粘着液をレオルにぶっかけた。ベチャベチャ・・・神経障りな異音がする。さらにレオルの体内に高電流が往復しつつ潜入し、全身に流れ込む。


レオル「オワアァァァアァァ!!!!・・・・」


ビリビリッビリビリッ、白い光を照らしながら発火する電流。レオルはナゴ、ブレイド、ゼウスと同様に声を荒げ黒焦げになっていく。そしてアハトーガは残りの手でレオルの肉体を貫通させようとした。しかし・・・


「ガガギ・・・・!!!???」


突然アハトーガのその手が意志とは無関係に停止した。そして流動体は大きく崩れ始めるのであった。


「ガギグギギギァァ!!!!!」


アハトーガは捕らえていたレオルを解放し、床へと落とす。ツイスト列拳によるダメージが時間効果を示し、司令塔の機能が著しく低下していたのだ。その核生虫は氷が融解していくかのように足元から崩壊し、体内で細胞が分化し変性して立体構造が原型を留めていられなくなる。体液の生臭さが充満してレオルの長けた嗅覚に刺激を与える。ドロドロと最期は音も無くピンク色の液体のみが残存した。それはすぐに腐敗して変色し、灰色となっていった。電体核生虫アハトーガ・・・・ここにて死滅。


レオル「・・・ハー、ハー、へへへっ、やったぜ。」


レオルはボロボロの体で、片目を開けながら喜びを噛み締める。一陣の風がすっと通り抜け、胸の奥が清々しく、爽快な気分となっていった。そんな様子の一部始終を、ゼウスは痺れる体を懸命に起して傍観していた。


ゼウス「・・ハハハ・・どうなることかと・・思ったぜ・・・・」


レオル「ハー、ハー・・・危なかったな・・ハー・・・でも・・うまくいったみてぇだ。」


レオルはピリピリする体の激痛に耐えながらゆっくりと立ち上がる。よろよろと足元をふらつかせながらゼウスに向かって歩いていく。ゼウスも起立してへばり付いた粘着液を払いのける。2人の顔は炭火焼でもしたかのように電圧で真っ黒焦げになっていた。お互いにガッツポーズをする2人・・・・そして倒れ込むブレイドの方へ向かったのだが・・・・・


レオル「・・やったぜブレ・・・・」


ドクン。ブレイドの焼け焦げた姿を見てレオルの心臓は警鐘のように響き、激しく波打つ。1つのみならず。7か所も8か所も粘着液を付着され最大出力の高電圧を諸に浴びたブレイドは、白目となり、口を大きく空けたまま仰向けに寝そべり、指さえも・・・ピクリとは動いてはいなかった。





























































































































































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