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キャリアマスター   作者: career master
キャリア試験編
14/32

#14 極寒と迷宮

14話目になります。ピタゴラタワー編の続きです。

レオルは腹に溜まる鬱憤を抑制しながら歩き出す。ブレイドはゼウスを見限り、半ば彼の性格に諦めかけていた。険悪化が進行し、3人の周辺の空気が澱んでいくのが直接肌に感じなくとも分かってしまうほどに。そして沈黙が続く中、3Fに到着した。2Fでは火山地形のマグマ溜まりの煉獄と化していたが、3Fではその正反対である極寒が待ち構えていた。足元は凍結し、至る箇所には落下すれば致命的となるであろう氷柱が存在し、直立してるだけで全身の体毛が凍てついてしまうほどの気温である。氷河期にでも時間跳躍タイムリープしたかのように思えても不思議ではない。ピタゴラタワーは外見からしてそうだが、内部は超複雑構造であることは言わずもがな。2Fから3Fまでに高低差は約20mというのもイレギュラーなものだ。レオル達はあまりの寒さに皮膚、筋肉が徐々に凍結し出し、発声も困難に陥っていった。


レオル「・・さささささささみぃ・・ブルブルブル・・」


ゼウス「・・はや・・く・・進まなければ・・凍死してしまう。」


ブレイド「・・ックション! ふぃー・・さみぃよ・・・何なんだここは!」


ゼウス「・・見ろ、あそこでくたばった奴が何人かいるぞ。」


レオル&ブレイド「!!」


レオル「・・さきに・・タワーに入った奴らかな? そういや誰も見てねぇよな・・オレ達以外・・・」


ゼウス「・・十中八九そうだろうな、あのマグマに呑み込まれたか、ここで凍え死んだか・・・・それとも先へ進んだかだ・・・こんなとこにいては袋小路もいいとこだぜ、早いとこ出たほうが良さそうだな・・・」


ブレイド「ックション!・・・ああ、黒髪君の言う通りだ・・・さっさと行かないと・・ックション!!」


レオル「・・ああ、、・・・よし、駆け抜けるぞ!」


レオル達は走りだした。唇を紫色にして震えながら・・・

毛穴の1つ1つが縮こまっていくような寒さ。寒さを通り越して痛さとなりシンシンと冷気が身体中に浸透していく。暫く走り前進すると、階段に差し掛かった。もちろん全面凍結で一層滑りやすい斜面となっている。レオルが最初にそこを登り始めると、足元から平衡感覚を失い、そのまま転倒。腰を強打した。


レオル「イッテッテッテ、うぉーツルツルしすぎだぞここ。」


ブレイド「んなにやってんだよ~ 少しは考え!!・・ウワワァァァ!!」


ブレイドも同じく階段の1段目で躓いて転ぶ。レオルに「やっぱコケた!」みたいな目で見られたブレイドは悔しがりながらそっと起立する。そんな中、得意そうにバランスを維持したまま氷の階段をスラスラと登っていくゼウス。「こんなところ・・・」などと思考しながら軽やかに駆け上がっていく。だが、4段目に差し掛かった途端についにバランスを崩して転倒してしまう。


ゼウス「な!!・・・・ッテー・・・・」


レオル「・・・・ブブッ、アッハッハッハ、最高! ハッハッハハ!」


ブレイド「アハハハハハ、いい顔してダッセー~~ありゃマジだったな。」


ゼウスはやりどころのない羞恥を感じ、ドギマギして顔を真っ赤にしながらレオル達の方を向いて言う。


ゼウス「・・貴様らだって滑ってるだろ!!!」


レオル「ハハハハッ、お前もまだまだだなぁ、エラそうなこと言ってっからバチが当たったんじゃねぇのか?ハハハッ。」


ゼウス「・・・・・ッの野郎!」


ブレイド「でもホントに滑るよな~ックション! てか寒すぎだし・・・死ぬ~」


レオル「でも・・こんな滑るなら・・・立たなくても滑って進めるぜ! そーれ!」


レオルは尻を路面につけながら、手で加速をつけ這うように進み始めた。摩擦力も働かずツルツルと滑り上手く進んでいく。ブレイドもそれを見てマネっこをして階段を上り始める。一方ゼウスはそんな2人を見て呆然と立ちすくんでいた。


ゼウス「・・・(汚いというか下品というか・・オレは絶対こんな真似はせん!)」


ゼウスはスケート場よりも滑る路面を直立しながら、踵を上げず、華麗に滑走していく。3人は凍てつく空気がトゲのように突き刺さりながらも徐々に登りつめていく。すると3人の頭上から突然、ナイフより鋭く尖った氷柱が落下してきた。直撃すれば一溜まりもないだろう。レオルとブレイドは自身を加速させてそれを回避する。ゼウスは剣を抜き、宙に舞う氷柱を斬り落とす。しかし氷柱は再度落下してきた。それも、この空間のどこに居ても免れることができないほど大量に・・・無数の刃がレオル達を睨み付けて迫りくる。


レオル「!! ワワワ、こりゃぶっ壊すしかなさそうだな。」


ブレイド「・・・みたいだな!」


3人は揃ってカチカチの氷柱に戦闘準備を整わせた。路面に落下してくるよりも前に飛び上がり、氷柱を破壊するだけの威力のある攻撃を繰り広げた。レオルは右手に全神経を集中させて、ギュッと握りしめた拳で粉砕し、ブレイドは空中で足を高速回転させて氷柱の先端から勢いよく幾つも蹴り落とす。ゼウスは両手で剣を持ち、圏内の凶器を微塵切りにして戻ってきた。3人は無事に着地しようとするのだが、どうも滑りが良すぎるのか再びスリップして転げ落ちる。


レオル「ッテッテッ・・寒みぃし痛ぇし最悪だぜ。」


ブレイド「・・ふわぁ、ってか早く行かないとホントに凍え死んじまうぞー、筋肉が固まってきックション!」


ゼウス「(またコケるとは・・・屈辱!)、オレは先に行くぞ。皮膚が痛くてたまらん。」


レオル「そうだな、もう少しだ、、登るぞ!!」


3人は氷の階段を1段1段踏み進めていった。途中何度か氷柱が襲ってきたが難なく対処していく。手が悴み、足の指先から寒さで感覚が麻痺していくが、何とか極寒のフィールドを突破して4Fへ進んでいった。2Fの灼熱、3Fの極寒、次に待ちわびるものは何であろうかと3人は時にゾクゾクしていたのだが、そこは1Fと同様な気温、湿度で、天井には蜘蛛の巣が張り巡らされ、害虫が多数生息できるような空間。蝋燭の炎で光を灯していて未知の洞窟内のように感じられる所であった。3人は歩きながら細心の注意を払て周囲を警戒し、奥へ奥へと前進していく。道は一本道でいたって単純であった。かなり進んで左折、また進んで左折、また左折、もう一度左折・・・・・・左折、左折、左折、左折・・・・・・3人は漸く違和感に気づき始める。


ブレイド「んなあ、さっきからグルグルしてるだけだよな? ホントにこの道でよかったのか?」


レオル「・・同感だ。オレもおかしいと思ったぜ。さっきからちっとも進んでねぇ」


ゼウス「・・そうだな、・・・まさかここは・・迷宮回廊か!」


レオル「マジ!? でも変だな・・1度も戻ってねぇからなぁ、迷うことはねぇと思うんだけどなぁ・・・」


ブレイド「バーカ。それが迷宮ってやつなんだよ~ うーーん、どうすりゃいいんだ、、」


ゼウス「・・小細工だ。必ずどこかに仕掛けがあるに違いない・・」


レオル「・・!! わかった!!」


ゼウス「何だと!! 」


ブレイド「えー! どうわかったんだよレオル?」


レオル「・・入り口に戻ればいいんんだ!!」


ゼウス&ブレイド「・・・・・は?」


レオル「だって考えても見ろよ、オレ達は確かにあの氷のとこからここに入ってきただろ? そんでグルグル10周近くも回ってる。つまり・・・ここはホントの入り口じゃねぇ! 別の入り口がどっかにあったってわけさ!・・・どうだオレの推理は!」


得意げそうな顔でレオルは主張を続けていたが、2人は納得する素振りを一向に見せない。


ゼウス「・・・悪くはないと思うが・・・不可能だろうな。」


レオル「な、何でだよ!」


ブレイド「いくら進んでも進まないってことは、裏を返せばいくら戻っても戻らないてことになるだろ? もう入り口なんて存在しない。どこか異空間に・・ってのも変な話だけど、消滅したってのが一番近いかもな。ついでに言っておくけど、オレ、実はマーキングしてたんだ。目印つけておいて1周して見当たらなかった進んでる・・・だけどさっきオレがこっそり壁につけたその印をまた見ちまったんだよな~、だからオレ達はもう・・・・・・・完全に罠にハマっちまったってわけなのさ。」


レオル「・・そ、そんなぁ!!・・・じゃあどうすりゃいいんだぁ!?」


ゼウス「・・クソッ、少し迂闊だったな・・・」


ブレイド「・・・・とんでもないとこに入ってしまったなぁ~~・・・」


迷宮にハマる3人。果たして・・・どう動く??



















































































































































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