3/31
逃走
♪ところが~ くまさ~んが あとか~ら ついてく~る♪
しばらく走り、弟たちのいた場所から随分離 れただろう。
私は一安心して気を休めた矢先 ─────誰か来る!
私は咄嗟に茂みに隠れ息を潜めた。 しばらく時間がたたないうちに、黒い巨熊が 通り過ぎていった。
♪トコトコ ト~コ~ト~コとぉ~
♪トコトコ ト~コ~ト~コとぉ~
♪おじょうさん おまちなさ~い ♪ちょ~~っと おとし~もの
……でもこれは私の代物とは思えなかった。 右耳に着けていたもの、それは確かだった。 ……でもこんな色はしてなかった。
真っ白だったはずなのに。
渡されたものは、真っ赤に染まっていた。
これはどういうこと、と問い詰めようとクマの顔をのぞき込もうとしたがその瞬間、背筋‥…いや、全身が凍りついた。
───身体全身に血染沫の跡、口の周りは紅 蓮の如く染まっていた。
♪しろいか~いが~ら~の~ ちいさな イ~ヤ~リ~ン~グ~♪