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Vampire  作者: Belltill
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Maison

今宵も月が恐ろしいほど綺麗だ。

彼女と出会ってから早半年。彼女もこの生活に慣れてきた頃だろう。

さて、今夜は何をお話しようか。私のことに興味がないなら結構だが・・・。


この私にも、かつてはきちんとした家庭があった。

母も父もましては兄弟さえもが皆、ヴァンパイアであったのには違いない。

しかし、一般の人間と同じく、平穏な家族ではなかった。

ヴァンパイアの子供は、街に出て人間の血を貰うことなど、まだまだできるはずもない。

親が屋敷へ連れてきた人間の血を、初めて頂戴してから、正真正銘のヴァンパイアになれるのであった。

だが、親はもう正真正銘のヴァンパイアであったから、毎日(というよりも毎晩)街に出かけてはディナーをご馳走なっていたのである。


そういえばみなさんは、ヴァンパイアが或る一定の時から、一切歳をとらなくなる(見かけだけは)ということをご存じだろうか。

もし知っていたのだったらありがたい。少しは興味を持って頂けているようだから・・・。

だから私の両親も、外見は20代後半というぐらいだったのだ。


外見というのは実に恐ろしい武器ではなかろうか。

両親も兄弟も、そして私もだが、ヴァンパイア族は皆そろって美貌の持ち主である。

そんな相手にまんまと誘われて付いて行ってみれば、あとはご存じの通り、血を捧げることになるのだから・・・、まったく、ヴァンパイアという生き物は罪深いと我ながら思う。


ヴァンパイアは永遠の命を持つ生き物であり、永遠に孤独な生き物でもある。

同族どうしが結婚すればまだしもだが、それも決して長くは続かない。

そんな生涯孤独な私の運命に、救いの手を差し伸べてくれた彼女がいるからこそ、この生というものをまっとうしている。

これは毎晩思うことなのだが、何故私はヴァンパイアに生まれてしまったのだろうか。

もし人間に生まれていたのならば、愛しい者が死に絶えていく姿などみなくても済むというのに・・・。

こういう事こそが、人間になりたいと願う、一部のヴァンパイアの気持ちではなかろうか。

私でさえこんな気持ちになるのだから、同族たちはさぞや苦しむであろう。

しかし、わたしには彼女という良きパートナーがいるから問題ない。もちろんこれからも・・・・。

だが、その彼女がいつか亡くなってしまうようなことがあったら(もちろん人間だから)、私はどうすれば良いのだろう。 それだけが悩みの種だ・・・・。

この「Maison」には、続きの小説「Sourire」があります。

お暇でしたら、こちらも是非お読み下さいませ。

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