ゴスロリ少女
あれから一週間が経つ。
ニナは教室に入ると上機嫌なのだが、俺を見るなりそっぽを向く。
なんなんだ一体……
俺は段々と普通の生活に戻ってきていた。
平和な日々はこうでなくちゃな
隣のクラスの小沢はあの変な部活に入ったようだ。
そういや、部活動の名前を聞いてなかったが、決めたのか?
まあ、俺にとってあの部活は全く関係ないことだからいいか
いや待て、俺がいなくて大丈夫なのか?
そもそも、俺がいたから四人だったものの俺が入っていない時点で、誰かが入るとしても、まだ四人だ。
確か先生は五人必要だとか現代には合わないことを真面目に言っていた。
まあ念のためだ。
今日、部室に行ってみるか……
帰りのホームルームが終わると俺の後ろの中二野郎は光の速さで帰って行く、その背中を追いかけるようにして、俺も下駄箱へ行くのだが、どうやら今日も早く帰るようだ。
ニナは部室にも顔を出さずにそそくさと帰って行った。
そんな薄情なやつを憎らしい目で見ながら俺は部室へと向かう。
こうなってくると皮肉なもんで足取りが軽い。
自分でも理解できない
ということで来た。
ギシギシと言わせる廊下は今にも底が抜けそうで幽霊屋敷にでもいるかのような建物だ。
部室には……誰もいなかった。
そう、誰…………?
いやいる!
俺は部室に入った瞬間気づかなかっただと⁉︎
その子は俺の目の前に立っていた。
あからさまなそのゴスロリ姿はさらに俺の目を疑わせる。
なぜこんなところに?
いや、その前になんでこんなにも俺は驚かないのだろうか、普段の俺はこんなん見たら、全力で廊下をかけ走るだろうに……この冷静さを保てる理由はなんだ?
まあ、そんなことはどうでもいい
この子は一体………あっ!新しい部員か!そうか!そうだ!
転校生が来るって言ってたもんな!
マジで来るとはあいつ占い師になれるぞ!
俺はそうとわかるとまず、少女に紅茶を淹れてやった。
なぜもう部室に紅茶やらが設置されているのかはわからないがとにかくゴスロリ少女には西洋風の何かがいいと思った。
しかし、そんな少女は俺の淹れた紅茶を音もなくすするため無言の沈黙が続く。
外を見るとさっきまで晴れていたのが急に雲行きが怪しくなり、真っ暗で今に雨でも降り出すかのような天気だった。
「ありがとう」
その太陽が光ったかのような声が聞こえてきたので、俺はゴスロリ少女に目を戻す。
……………な、なんだって⁉︎
少女が座っていた場所には紅茶しか置いてなかったのだった。
さらに空⁉︎
結局なんだったんだ?
確かに
「ありがとう」
って言ったのは聞こえた。
だが、部員ならちゃんと俺にさよならぐらいは言ってから帰れよ。
俺はこの暗く薄汚い今にも幽霊が出てきそうな部室から夕方ぐらいに立ち去った。
下校途中、俺はもう一度別棟を見る。
俺はなんで振り返ったんだろうか、後悔してもしきれない。
雨が降ってきた。
どんどん強くなる。
雷もなり始めた。
俺は雨に打たれながらその部室を見ていた。
あ、ああ……………⁉︎
なんだってあんなところにさっきの少女がいるんだ⁉︎
あ、待てよ忘れ物取りにきたのかも、いやそうだそうに違いない。
俺はこのポジティブさでこの状況を乗り切るのだった。