まともにやってくれ
「魔界から来た。魔王である!」
なんだ、なんだ⁉︎
自己紹介の場面で俺はニカッとキバを見せて笑う髪が真っ赤で瞳が真紅で制服も所々赤………やばい…血だよ。おい
ほんの少しだけ時間を遡る…
………
……
…
田んぼの中にポツンと立つ俺の高校は今日が入学式でその主役が俺たち一年。
俺はクラスの連中と仲良くやっていきましょうと自己紹介をして俺の後ろのやつが立つ。
俺はちょうど窓側だったから次のやつがラスト。
これが終わったらひとまず帰れる。
………
……
…
そしたら、これだ。
誰だこんな茶番用意したやつ。
俺の前はクラスの中心人物になりうる男、鳴海。
せっかく俺が鳴海の大爆笑の自己紹介の流れを緩めてやったって言うのにこの野郎。
教室を見渡す。
あーあ、みんな呆然。
これはこれで面白いが
なんか知らんが妙に俺に視線を送るクラスの連中。
ったくしょうがねぇな、
…………俺はその視線に答えるべく魔王に話しかけた。
「ちょっといいか」
俺がそう言うとまるで教室全体からゴクッと息を飲む。
それを聞きながら、さらに俺は続ける。
「冗談はやめてくれ」
そう言った瞬間、そう一秒たりともタイムラグなんかありゃしない
ちょっと待てとも言えなかった。
俺の視界が揺らいだ。
そう俺は何故だか知らんが殴られたのだ。
何しやがる⁉︎
すると、魔王はあろうことかこう言い放った。
「あなたはエロいわね」
はあああああああああああああああ⁉︎