フリーハンドで始めた物語
僕はネットに作品を投稿しているアマチュア小説家。
その時はオムニバス形式の短編集を書こうとしていた。
その中のひとつとして浮かんだのがこの作品。
それが僕とこの作品との出会いだった。
5話以内の短編だからと、気軽にプロットも作らずにフリーハンドで書き始めた。
しかし、3話目くらいを書いた時に、これは5話程度で終わる内容ではないと思い、
人物設定やプロットを正確に作って組み立て、そこから本腰を入れて書き始めた。
それから約三ヶ月……
1話投稿するたびに、ドキドキしながらページビューを何度も更新した。
作品は10話、20話、30話と、投稿日に追われながらも一生懸命に書いて、どんどん進んでいった。
ページビューも1万、2万、3万と増えていった。
毎日、読者さんたちの反応に一喜一憂しながら、この作品と二人三脚で歩んだ。
そして、僕はとてもその作品に愛着を感じていた。
ただの文字の集まりではなく、大切な友達のように感じた。
作品は最後まで書き終わり、投稿も40話に近づいて、終盤を迎えた。
僕は次の作品の執筆を始めた。
新しく書き始めた作品は僕にとって、とてもいい作品に思えた。
展開に胸が高鳴り、早く世に出したい衝動に駆られた。
今まで一喜一憂しながら共に歩んだ作品は、最後のクライマックスを迎えていた。
毎日投稿しながら、心のどこかで「早く終わってくれないかな……」と思ってしまった。
最終話を投稿した夜、さっそく次の作品の投稿の準備をした。
そして、ページビューの数字が落ち着くのを待った。
しかしページビューの数字はなかなか落ち着かず、作品は数日間、奮闘し続けた。
その画面を見て、僕はこの作品をフリーハンドで書き始めた時から今までの、一喜一憂しながら共に歩んだ日々を思い出した。
集大成のクライマックスで、一番一緒に喜び合える時に、僕は新しい作品のことばかり考えていたことに気づいた。
翌日、ページビューを見るともう半分にも満たない数字に落ち込んで、落ち着いていた。
あの奮闘はこの作品が、最後に一緒に喜びたくて、一生懸命踏ん張っていたんだと思った。
今、作品のページは穏やかに、少し寂しげに、数字を刻んでいる。
「完結しました」という文字が、妙に冷たく見えた。
僕は椅子に深く腰を下ろして、静かに息をついた。
「……ありがとう」
僕は作品に声をかけた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ノクターンで連載していた作品なのですが、数日前に終わりまして、その作品への手紙のようなつもりで書きました。ちょっと切ない話です。




