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「怪物になりたいんじゃねえの?」
そんな…………。嘘でしょ、クリフ。
あの言葉を私が魔物になりたいって捉えたの……? どう考えても、あれは自己紹介じゃん。
どうしよう。ツッコミどころが多すぎる。いや、でも何よりも……クリフがあほで助かった~~~~!
もう魔物になりたいってことにしておこうかな~~!
「ちげえのかよ」
「うん、そうだよ、私は魔物になりたんだよ~~」
私は朗らかな表情で何度も頷いた。「どうして分かったの~~?」と同じ口調のまま聞いた。クリフはどこか得意げな表情を浮かべた。
「自分のことを怪物って言い聞かせるほど、怪物に憧れてるんだろ? 怪物ってモンスターとかの類だろ? だから、一晩考えて、もしかしたらお前は『魔物』になりたいって思ってるんじゃねえかって思ったんだよ」
一晩考えてそれ!? これが愛すべき馬鹿ってやつ!?
魔族としての威厳はどこに行ったんだい。
そんなこと思っていると、レイが「ふぁぁあ」とあくびをしながら目を覚ました。隣でミミはまだぐっすりと眠っている。なかなか起きそうにない寝方をしている。彼女は、ようやく気を緩めて眠ることができたのかもしれない。……もう少し寝かしておいてあげよう。
「どうなったんだ?」
レイは起き上がり、私の方へと近付ながらそう聞いた。
「とりあえず魔力は浄化したよ」
「……それで、こいつどうすんだよ」
こいつぅ!! 「お疲れ様」の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
私が「キィ」と威嚇するようにレイを睨んだが、彼はそんな私を無視してクリフへと鋭い視線を向けた。クリフもレイを冷たい目で見る。二人の間に恐ろしい空気が醸し出される。
……うわぁ、完全に犬猿の仲だ。冷気が漂ってるもん。
レイとクリフが互いに口を閉ざし、視線をぶつけ合っている中、私は言葉を発した。
「この容姿だと確かにまずいから、変えるよ」
「「は?」」
レイとクリフが同時に私の方を見た。息ぴったり!
『心に身を委ね、形を歪め』
「お、おい。待て待て。どうしてお前はいつもそう突然なんだよ」
私が突然詠唱し始めたことに対して、クリフは後ずさる。そんな彼を無視して、私は『姿を解け』と詠唱を続けた。
これが最後の仕上げ! 変化魔法よ!!




