表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/74

72

 君のことだよ、全く。

 私は心の中で小さくため息をつきながら「ちょっとね~」と再び笑みを浮かべた。

 世間体を気にするのは二の次! というか、別に考えなくてもいい。今までだって無視してきたのだから、これからも無視が一番! さよなら世間体! 爆ぜろ! ……おっと、火力強すぎちゃったかも。


「聖女ってのは案外大変なんだな」

 

 少し間を置いて、クリフは口を開いた。私はその言葉の意味が分からず、思わず少し首を傾げてしまう。

 ……なんの話? クリフの対処に悩んでいることに対して? 


「こんなクソだりぃ魔法をかけられた以上、お前がいくら魔族の足元にも及ばない劣等生物であっても、俺はお前に従うしかない。お前の生き方に付き合ってやる」


 めっちゃ貶された。けど、なんか慰められたよ。これが俗にいう、飴と鞭ってやつ?

 ワンセンテンスで一気に詰め込まれることあるんだ。てか、あんたその劣等生物に負けているんだからね?

 めちゃくちゃ上から目線だけど、勝者は私だからね?

 一拍置いて、私はクリフの言葉に吹き出した。

 決して彼の言葉を馬鹿にしているのではない。ただ、嬉しかったのだ。まさか魔族に気を遣ってもらえるとは思いもしなかった。そんなおかしな状況に思わず心が温かくなった。


「おい、何笑って」

「私に付き合ったこと後悔させないぐらい楽しませてあげるよ」


 私は笑いを止めて、クリフに向かってニッと口角を上げた。クリフは私の目を真っすぐ見つめたまま固まっていた。

 ふと、その瞬間、自分がなりたかったものが分かった気がした。

 聖女になりたいわけでもない。ヒーローになりたいわけでもない。世界を救いたいわけでもない。……だけど、大切な人を守りたい。私に関わった人間に後悔させたくない。

 戦場では残虐な天使と謳われ、この国の誰も私を「素晴らしい聖女様」として見ない。ケイト・シルヴィとしても見られない。闇に堕ちた冷血な女として扱わない。汚名返上なんて今更願わない。

 それでも私は復讐を軸に生きたりなんてしない。私の人生だもの、誰にも奪わせない。


 ――――何になりたいか。


「私は……優しい怪物よ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ