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「あれは食用の小鳥だ」
食用……!?
私は王子の口から出た言葉に思わず顔を顰めて、口を開いてしまう。
王族の世界は残酷って聞くけど、小鳥まで被害が遭ったとは……。
「というのも嘘だが」
嘘なんだ!!
私は心の中で大きな声を出してしまう。声に出さないだけで、表情には反応が出てしまっていると思う。
王子は少し目を見開いて、興味深そうに私を見る。
「戦場で輝く『優しくない聖女』はもっと冷徹な女だと思っていたが……、なんというか、子どもだな」
急な悪口!?
トゲトゲ言葉が出てくるなんて全く心構えしていなかった。そういことは事前通告が必要ですよ、王子!
私は頬を膨らませながら不服そうに「これでも二十二歳です」と言う。王子の瞳が更に大きくなるのが分かった。
「……驚いた、俺より年上か」
え、私って王子よりも年上なの!?
私も驚いた、だよ!
「あのぉ、ご年齢を聞いても?」
「十九だ」
ティーンエージャーなの……。
そっか、王子、私よりも三歳も年下なんだ。落ち着いた風格のおかげで十代には到底見えない。
突如王宮に連行にされて、年下王子に「子どもっぽい」と言われて、もう心はへとへとだよ。
顔から活力をなくし、肩をしゅんと落としたまま私は口を開いた。
「それで、どうして私は今日こんな場所に呼ばれたんでしょう」
思わず、王宮のことを「こんな場所」って言っちゃったよ。……まぁ、私より年下の王子はきっと心も広いはず。年上を敬ってください。
王子は私の様子を見てフッと口元を緩めた。
…………あれ? 今、笑われた?
「父の頼みをいつも断っているそうだな」
やっぱりそのことか。
私は「はい」と気まずそうに答える。こういう時は悪いって思っていなくても、申し訳なさそうな表情をしておくのがポイントだよ。……王子にはこの技が全く効きそうにないけど。
「なぜだ?」
「……なぜだ、とは」
「世界を救うことなど誰にもできることじゃない。名誉なことであり、誇りに思うはずだ」
「名誉や誇りは私には必要ないので」
私はにっこりと笑みを浮かべる。それに反応して、王子も朗らかに笑顔を作った。
まさか、ここで棘を含んだにっこり対決が開催されてしまうとは……。
「そんなに嫌か」
「はいっ!」
「……なら世界なんて救わなくたっていい」
…………え? 救わなくていい?
まさかの言葉に私は耳を疑う。こういうことはもう一度聞いた方がいい。
「あの、今、なんと?」
「世界なんて救わなくていい、と言ったんだ」
聞き間違いじゃない!!




