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聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


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 雷鳴とともに堂内に次々と彼の攻撃が落ちていく。紫の雷のような魔力がこの場をむちゃくちゃにする。レイの咄嗟の魔法でレイとミミはクリフの魔力を防いだ。一直線に私たちの元に落ちてくるクリフに魔力は一瞬で床を壊す。

「俺に喧嘩を売るなんぞ百年早い」とクリフは豪快に笑いながら、次々と攻撃を仕掛けてきた。

 なんの戦略もない攻撃の仕方……。これで私が倒せるなんて思わないでよね。


「私に喧嘩を売るのは一千年早いよ」


 私はそう返しながら、クリフからの全ての攻撃を見事に避けた。いつまでもこんな茶番を続けていられない。

 もっと骨のあるやつだと思ったのに~~。魔王との血縁で威張っているダメな男だった。

 私に煽られて本気になった彼の姿はなかなかの迫力だったのに……。力はウサギにフォークを持たせたぐらい。

 や~~ん、想像したらめっちゃ可愛い~~。ウサギがフォークを持ってドヤ顔してるんでしょ? 私に勝てると思って……!! ああ、なんて愛おしいの! 保護しちゃう……!!

 人参のステーキを作ってあげるからね!! …………ジェフリーが! 


「避けてばっかりじゃねえかぁ!! 少しは攻撃しねえと、お仲間も死んじまうぞ!?」

 

 私が妄想にふけっていると、クリフの嘲るような声が耳に響いた。

 ウサギにフォーク。……つまり、全く効果がない。鬼に金棒とは全く逆のような意味になる。


『天雷を、裁きを落とせ』


 私が詠唱を口にした途端。この修道院の空気が帯電し、とんでもないスピードの閃光がクリフに一直線に貫く。この場の空間が一瞬眩しい光に包まれる。

 修道院には大地を震わせるような落雷の衝撃音が轟く。


 ――――ゴオォォォン!!


 私の一撃見たか!!

 こういう時に決めポーズとかできたらいいんだけど、私には絶望的にセンスがない。……けど、今がまさに決めポーズチャンス!! とりあえずやるしかない!!

 手を結び、両腕を真上に上げて、足を揃える。最後に「ハッ」と覇気のある声を発した。今の攻撃に馴染んだ一直線のポーズ! 


「……な、なんですか、それ」

「ふざけてんのか?」

「いや、新しい攻撃かもしれません」


 え~~ん、やっぱり世間は厳しいよ。冷たいよ。

 ミミとレイの視線に私はすぐにポーズをやめて、泣きべそをかきながらポーズをやめた。私の攻撃によって、大いに凹んだ地面へと降りる。

 鋭い雷に穿たれ、地面に叩きつけられたクリフは動けなくなり、低く唸るような声を上げている。倒れたクリフを見て、私は驚いた。


「わぁ、まだ生きてるんだ。影も形も残ってる! 会心の一撃だったんだけどなぁ……。流石は魔王の血縁者!」

「……うぅ、おま、え……」

『ソード』


 ちゃんと止めを刺そうと私は手に剣を出す。それを見たクリフは慌てたように声を絞り出した。


「ま、待て……。お、お……俺を殺せ、ば……この町の……人間も……皆死ぬ……」


 ……は?

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