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聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


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♢ケイトに視点が戻ります

 私たちは地面に座って、森の中で軽い会話をした。

 こんな夜にかなりの騒ぎを起こした。今は街に戻ることはできない。街散策しようかと思っていたのに、残念。……まぁ、スネークマンに会えたことでプラマイゼロってことにしておく。

 ミミは自分の過去について少し話してくれた。

 彼女の話を聞く限り、捕まって、逃げての繰り返しの人生だった。歯を食いしばって生き抜いてきたのだということがよく分かった。そして、生きがいが「主を見つけること」だったということも。

 私は今まで生きがいとか生きる意味などあまり考えてこなかった。……というよりも、考えないようにしていた。

 自分と向き合い、生きる意味なんて考えちゃうと、きっと私はここにはいない。頭を空っぽにして、上からの命令に従う。……あ、世界を救えって命令だけは別ね。


「涙を流す間もなく、ずっとこの残酷な世界で私の主にいつか出会えると信じてきました」

「そう」

 

 こういうのは、できるだけ短く答えた方がいい。

 ミミの言葉に適当に相槌を打つ私に向かってレイは「結べばいいじゃねえか、主従契約」と言ってくる。

 この男ぉ~~、と私は心の中で彼を睨む。スネークマンと主従契約を結ぶ重さを分かっていない。

 そんな気楽にしていいもんじゃないんだよ。優しくない聖女と狡猾なスネークマンって相性最高で最悪だよ。簡単に手を組んだら、私の命が消されちゃう。

 スネークマンの殲滅命令はもうとっくに撤回されているけど、私を主に選んだって理由でミミも殺されかねないもん。

 二人の命が儚く散ってしまうなんて、なんて悲劇なのよ。私が求めているのは喜劇なの。


「あんたは黙ってな」


 私はレイに向かって冷たく言った。


「あの、ケイト様の人生の目標ってなんですか?」


 突然、ミミが会話の方向を全然違う方へと向けた。

 私は目を丸くして耳を見る。彼女は私の答えを期待するように真剣な眼差しを私に向けている。急な話の方向転換に私は少しの間固まったままだった。

 ケイト様って……。呼ばれ慣れない。……てか、今なんて言った? 人生の目標? 生きる意味みたいなこと? 

 

「そんなの知ってどうするの」 


 私は戸惑ったまま、なんとか口を開いた。

 スネークマンのような確固たる人生の信念のようなものは私にはない。私の心を揺れ動かす出来事はたまにある。けれど、自分の人生について深く考えたことはあまりない。

 家族を守れる力がほしい~、とか、仲間をもう目の前で失いたくない~ぐらいのマインド。それぐらいのマインドでここまで強くなれた私って、脳筋なのかな……!? 


「ケイト様は私の主になる方です。同じ志でお仕えしたいので」

「ま~~って、まってまって。勝手に話を進めないで?」


 いつ私が従者になることを承諾したんだよ。

 そう心の中で突っ込みつつも、スネークマンを手懐けておくのも悪くないかも、と思っている自分もいた。

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