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聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


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 しょうがない。今の目的は依頼を終わらせること。

 困っている人たち皆を助けることじゃない。目的を最短ルートで果たすためには、捨てなきゃいけない選択が山ほどある。私たちは慈善活動をしているわけじゃないの。


「やめて!!」


 再び女性の泣き叫ぶような声が聞こえてきた。レイは乱暴にチッと舌打ちをして私の手を離し、急いで部屋を出て行った。

 は~~~、あんたがいなくなったら、次の依頼内容が分からないでしょ~~!

 この一件が終われば、レイとじっくり時間をかけて話し合いをしよう。方向性の違いでここでお別れしちゃうことも視野にいれながらね……!

 私はイライラしながら頭を軽く掻いて、窓から部屋を飛び出した。……下りずに、上った。

 三階の窓を壊して、部屋の中へと入り込む。行儀の良い入り方じゃないのは重々承知だよ。「お邪魔します」って言葉だけじゃカバーしきれなさそう。

 その場にいた全員が私へと一斉に視線を向けた。ちゃんと正式に扉から入ってきていたレイも私を見ている。

 私は中の状況を一瞬で把握する。


 まさに悪党面の大巨漢のハゲ男が一人、顎髭を生やした髪がボサボサの男が一人、髭の生やしていない男が一人。そして…………、鎖で繋がれた首輪をしたスネークマンが一人。

 わぁ…、これまた面白そうなメンバーじゃない。特にスネークマンがいるなんて……。

 私は武器を持っている男たちなどに目もくれず、怯えた目をする女性のスネークマンへと輝きの目を向けていた。

 ああ、神様。もし、これが神によって定められた出会いなのだとしたら、私は生まれて初めて感謝するわ。たっぷりのありがとうを投げつけたいもん。

 

 今では伝説的な存在になったスネークマン。

 人間の肌にはない薄緑色の光沢を持ち、腕や鎖骨、そして頬には宝石のような美しい鱗がある。その鱗一つの価値は貴族の邸宅が買えるほど貴重なものだ。

 彼らの独特な瞳は縦に裂けた虹彩を持っており、闇の中でも遠くまで視えることができる。そして、スネークマンは人間が到底追い付くことのできない速さで動く。しなやかで、無駄がない。

 畏れられ、敬う存在であったスネークマンだが、自分の地位を脅かされると感じた大昔の国王はスネークマンを人類にとって危険な存在と位置付けて全て排除する行動へと出た。

 歴史書には全滅したと記されているけれど、他の文献には生き延びたスネークマンも存在すると書かれているものもあった。人間たちに見つかれば、殺される。だから、見つからないように静かに身を潜めている、と。

 その真偽を今日知ることとなった。

 

 …………スネークマンは現在も存在する!

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