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私の発言にレイは目を丸くして、固まったまま口を開いた。
「……は?」
その反応になるよね~~、分かるよ。私だって信じられないもん。
レイは疑うような目を私に向けながらも、質問した。
「不老不死なのか?」
「ん~~、いい質問だね。……まぁ、ここまで来たら全部教えてもいっか」
私はそう呟いて、手をグッと伸ばして体をリラックスさせた。
私の人生について話すのはここで最初で最後にしよう。
「不老ではないけれど、成長スピードが普通の人の何倍も遅いの。ほら、見て私の見た目、二十二歳に見える? 髪だって全然伸びないし、体型だって身長も伸びない。いい大人の女になるポテンシャルは秘めているっていうのに、この有様だよ」
「……不死については? 死んだのは一度きりなのか?」
また無視じゃん。全く冷たいね、レイは。
会話のキャッチボールをする気など毛頭ないみたい。……まぁ、最初からそれは分かり切っていたんだけど。
「死んだのは一度きり。ただ、死にかけたことは沢山ある。……もしかしたら、死ねない体にされたのかもね。その辺は神に聞いて」
きっと、世界を救うまでは生かされるのだろう。
あ~~! 神様なんてクソくらえ!! 干渉しちゃいけないところまで干渉してるじゃん……!!
私は汚い言葉を心の中で叫ぶ。レイの前では余裕ぶって笑みを浮かべているが、内心は大いに暴れまくっている。
「死にかけるって具体的には?」
「……私、インタビューでもされてるの?」
「俺はただ真実を知りたいんだ」
感情を抑えたような低い声でレイは私から決して目を逸らすことなくそう言った。
……罵られつづけるよりかは、質問されている方が何倍もいい。
「全分野の魔法を習得するって誰でもできるよって言ったでしょ? ……まぁ、それは嘘じゃないんだけど、条件があるんだよね。…………命をいかに削れるか。命を削るような努力って比喩じゃないよ。本当に命を削るの。さっき、レイに見られた訓練だってそう。限界を突破した先に何か掴めると信じて、足掻いているの。……けど、ほとんどの人が限界を突破した瞬間、命を落とす可能性がある。私も何度も精神的にも肉体的にも悶えてきたもん」
「それが聖女の特別な力なのか」
私はレイの返しに思わず、声を上げて笑い出してしまった。静まり返った森の私の乾いた笑い声が響く。そんな私をレイは驚いた様子で見ていた。
「これが聖女として得た特別な力? ふざけないで。これほど残酷な呪縛はない。……重罪でも犯したのかって思いたいほどの代償だよ」
私は笑いを止めて、レイを鋭く睨んだ。




