表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/74

42

「はあぁぁあぁぁぁ、私じゃなきゃ、やってけないと思わない? 聖女なんてもの。……だから、私が選ばれたのかな」

「…………それで、魔族と再び戦ったのか?」


 レイは私の大きなため息など完全に無視して、質問する。 

 この男ぉ、と思いつつも私は「戦ったよ」と言って、魔族との戦いの詳細を話した。

 

 魔族は起き上がってきた私を驚いた目で見ていた。

 止まっていた鼓動が、再び動き出すなんて魔族からしても恐怖だったに違いない。

 私はもう勝つことしか残されていなかった。引き返すことなんてできない。一度「死」を経験した恐怖はまだ心の中に残っていたけれど、怯えている暇なんてない。なんとしても、魔族を倒さなければならなかった。私はその時に、自分の魔力の扱いを完璧に把握した。荒療治みたいなもの。

 この戦いの後、魔力の扱い方に苦戦するんだけど、その瞬間だけは全ての神経が鋭くなり、無敵になったような感覚だった。そして、いつの間にか魔族を倒していた。

 けれど、私が英雄のような扱いを受けることはなかった。

 ちなみに、私が戦場で一瞬の間だけ倒れていたのは、敵の力によって気絶したということになっている。

 あの時限定で死から戻ってこれただけ。……その経験は、人間としての一線を越えたような気がする。


 このようなことを私が淡々と話している時のレイの表情は硬かった。

 私が全て話し終えてもなお、レイは口を開かなかった。恒例の気まずい沈黙が流れる。

 私だけが神の力によって生き返り、自分の兄は死んでいるんだもんね。そりゃ、複雑な感情にもなる。

 ……神に贔屓されてるって良い印象を与えるわけないもん。レイは余計に私のことを嫌いになったかもしれない。

 頼んでもないのに神の手によって勝手に死から救済された。そんな私の意志に反した出来事なのに、代償が伴う。

 私は左胸の心臓近くを軽く手で押さえて、レイの双眸を真っすぐ見つめる。

 重い空気の中、私はゆっくりと言葉を発した。


「私、世界を救えば死ぬの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なぜ、国は聖女の悪評を放置するのか。過酷な任務を押し付けながら、なぜ、こんなにも彼女を冷遇するのか分かりませんでしたが、たとえ死んでも蘇って魔族と戦い続ける運命にあり、世界を救えば死んでしまう聖女は、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ