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「姉は?」
「「あちらです!」」
ジェフリー・シルヴィ。この全く似ていない男が私の弟だ。
似ていると言えば、髪の色ぐらい。目に若干かかるほどのストレートな黒髪に、ボルドーの暗い瞳。顔は大人っぽく、私とは全く似ていない。
私たちを知らない人からすると、ジェフリーは兄に見えてしまうと思う。
だからこそ、ここでしっかりと強調しておく。「弟」です!
しゅっと引き締まった輪郭に、理知的な印象を与える少し切れ長の目をした端正な顔立ち。背は随分と高く……、その身長が羨ましい。
くぅッ、いつも見下げられている身にもなってほしいよ!
「これで何度目なんだい……」
呆れた様子でため息をつくジェフリーに私は大きな声を上げた。
「ジェフリー! 待ってたよ~~!」
「すまない、出してやってくれ。陛下からの許しはもらっている」
私のことを完全に無視して、ジェフリーは近くにいる衛兵にそう言った。衛兵はやや慌てた様子で腰から鍵を取り出す。
これにて、私はようやくこの閉鎖的な冷たい牢から無事にでることができた。
「今回もありがとう、ジェフリー」
「いい加減、王命を受ければいいのに……」
「私にそんなことを依頼する王様が間違ってるの!」
「また牢獄に入れられるよ」
ジェフリーの言葉にハッと両手で口を覆う。
また牢獄に戻るなんて御免だ。
「じゃあ、家に戻るよ、姉さん」
「うん!」
ジェフリーの柔らかな口調に私は笑顔で答える。
私は表情が豊かだと言われるが、ジェフリーはその逆。感情をあまり表に出さない。
衛兵二人に「お世話になりました~」と私は軽い口調で言う。衛兵たちは戸惑いながらも頭を軽く下げた。……多分これはジェフリーに対してだろうけど。
我が弟は騎士からの人望も厚く、尊敬されている。私と違って立派な弟なのだ。
「もう次は助けないからね」
ジェフリーの言葉に私は「は~い」と明るく答える。ジェフリーはやれやれと言わんばかりの表情を私に向けていた。
何はともあれ、今回も私は無事に牢獄から脱出できたのである!




