表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女は世界を救わない  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/24

14

「おい、何が起こっているんだ」


 倒れ込んだシャーロットもゆっくりと立ち上がり、丸い目でそう呟く。 

 私はそんな彼女を無視して、邪悪な魔力の居場所を突き止めた。……しかもかなり強力。それに今までとは質が違う。

 皆は切迫した顔で必死に魔法で火を消そうとするが、この炎を一瞬で消せる魔力など持っていない。炎はどんどん燃え上がり、恐怖も膨らむ。多くの者が叫んだり、飛び火によって火傷を負ったり、炎に包まれた瓦礫に押しつぶされたりしている。

 この騒がしい中で、私は静かに口を開いた。


「シャーロット団長」

「なんだ」

 

 シャーロット団長は眉を潜めながら私へと視線を移す。。

 

「生き残りたかったら離れた方がいいよ」

「は?」

「これは貴女たちの手に負えるものじゃない。村人たちもきっと殺されている。……いつもの魔族と違うよ、こいつ」

「私がお前の勝手を許すと……?」


 顔を顰めるシャーロットに私は口角を上げた。


「だって私『聖女様』だもん」


 そう言ったのと同時に私は走り出した。「おいッ」というシャーロットの声が聞こえてきたが、私は応えることなく、どんどん村の奥へと全力疾走する。

 燃え上がる炎に包まれた家々を通り過ぎて、敵がいる場所へと向かう。……私は己の殺気を完全に消しておく。

 突如、炎の向こうで泣き声が響いた。

 …………子ども? いや、赤ちゃん? ……けど、そんなわけ。聞き間違いかも。

 私は立ち止まることをやめ、前に進もうとする。しかし、再び聞こえた。炎に掻き消されそうになりながら、甲高い赤子の泣き声が耳に届く。

 生存者がいるはずがない。罠かもしれない。

 そう心の中では思っているのに、体は気づけば動いていた。

 これほどの炎はもう一発では消せない……!

 私は『水よ、私を覆い炎から守れ』と自分自身に魔法をかけて方向転換し、炎の中へと突っ込んだ。崩れた瓦礫などが玄関に覆いかぶさり、中に入れない。小さな隙間を見つけて、そこの瓦礫を無我夢中でどかした。魔法のおかげで手に火傷を負うことはない。 

 …………あと少し。

 灼熱に包まれて、額に汗が流れる。瓦礫で手に怪我を負いながらも、私は「あとはこれだけ」と力を込めて大きな瓦礫を引っ張った。

 ついに、私が入れるほどの隙間が開く。赤子の「ふぎゃあ、ふぎゃあ」としゃくり上げて途切れる泣き声がさっきよりも明確に聞こえた。

 戦場に赤ちゃんの存在はものすごく邪魔。抱えながら、魔族と戦えるほど器用じゃない。今回は特に。……だけど、助けないって選択はないのよね。

 私はふぅっと短く息を吐いて、私一人が入れるぐらいの隙間に足から入った。

 

 ………………家の中だけ燃えていない。


 家の中に身体を入れ、地面に着地した瞬間、すぐに違和感を抱いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
罠だっ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ