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7話 新たな王国の始まり

試練を乗り越えた悠太は、王としての力を得た。しかし、彼の前に広がる世界は荒廃し、かつての繁栄の面影はどこにもない。


「ここが……俺が守るべき世界か。」


城の最上階から広がる景色を眺めながら、悠太はその現実を改めて受け入れた。荒れ果てた大地、崩れた建物、そしてどこにも見当たらない人の気配――ここで新たな未来を築くのは並大抵のことではない。


「王よ、まずはこの地を知ることが重要です。」


アスターの声が背後から聞こえる。彼は相変わらず冷静で、悠太に寄り添うように言葉を続けた。


「この廃墟には、まだ利用できる資源や技術が残っています。それらを活用し、この地を再興する手がかりを見つけましょう。」


「分かった。まずは調査だな。」


悠太は気を引き締め、再建の第一歩を踏み出すことを決意した。


廃墟の探索

城の外に出ると、冷たい風が吹き荒れ、砂埃が舞っている。大地には古代の文明の遺物と思われる金属片や機械が散乱していた。


「……これは?」


悠太は足元に転がっていた黒い球体を拾い上げた。それはまるで機械の目のような形をしており、不気味に冷たかった。


「それは古代の監視装置の一部です。」


アスターが淡々と説明する。「この地では、人類が高度な技術を用いて領土を管理していました。もしそれを修復できれば、この地域全体の状況を把握する助けになるでしょう。」


「修復か……俺にそんなことができるのか?」


「幸い、城の地下にはかつての技術者たちが残した研究所があります。そこに向かいましょう。」


アスターに導かれ、悠太は城の地下へと足を踏み入れた。


古代の研究所

地下深くに広がる研究所は、荒廃した城とは対照的に、まだ一部が稼働していた。薄暗い光がランプから漏れ、壁には古代の文字や図面が描かれている。


「ここが……研究所か。」


悠太は驚きながら周囲を見回す。その中心には巨大な制御装置が設置されており、無数の配線が絡み合っていた。


「この装置を再起動させることができれば、廃墟となった領土全体のデータが得られる可能性があります。」


「でも、どうやって起動させるんだ? 俺、科学者じゃないぞ。」


アスターは静かに頭を振った。


「心配は不要です。王であるあなたには、この装置を起動させるための鍵があります。それは――王の意志です。」


「意志?」


「この装置は、人類の王だけが使用できるように設計されています。あなたが王として認められた今、その力を解放することで装置を動かすことが可能です。」


悠太は制御装置に手を触れた。すると、装置全体が微かに振動し始め、薄暗い光が徐々に明るくなっていった。


「これは……」


装置が完全に起動すると、研究所の壁一面にホログラムが映し出された。それは、かつて人類が支配していた領土の詳細な地図だった。


「すごい……こんなに広かったのか。」


悠太は圧倒されながらも、その中に点滅している赤い箇所に目を留めた。


「この赤い点は何だ?」


「おそらく、危険区域や重要な資源が残されている場所です。」


アスターが解説する。「ここに向かえば、この地を再興するための手がかりが得られるでしょう。ただし、それには相応の危険が伴うはずです。」


悠太はしばらく考えた後、力強く頷いた。


「分かった。まずは赤い点の一つに向かおう。ここで立ち止まってるわけにはいかない。」


新たな一歩

装置から得た地図を手に、悠太は再び地上へと戻った。その目には、かつての迷いや不安はなく、未来を見据えた強い意志が宿っていた。


「アスター、これからが本番だな。」


「ええ、王としての本当の試練はここからです。」


荒廃した大地の中、悠太は新たな王国の再建を目指し、第一歩を踏み出した。

次回、第8話:眠れる遺産

悠太が目指す赤い点には、古代の遺産と新たな脅威が待ち受けていた。果たしてその地で、彼は何を見つけるのか……?

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