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4話 王としての覚悟

「覚悟を見せろ……!」


悠太は自分に言い聞かせながら、迫り来る影たちを睨みつけた。彼らは恐ろしく速い動きで近づき、悠太を飲み込もうとする。だが、悠太はその場に踏みとどまった。


「逃げない……俺は逃げないぞ!」


その瞬間、影の一体が鋭い爪を振り下ろした。悠太は身を低くしてなんとか回避する。だが、次の瞬間には別の影が彼の背後から襲いかかってきた。


「くそっ!」


悠太はとっさに足元の瓦礫を掴み、影に向かって投げつける。瓦礫が影の中心に直撃すると、影の姿がわずかに揺らいだ。


「効いた……のか?」


影は一瞬動きを止めたが、すぐに形を再構成して再び悠太に襲いかかる。その姿は、まるで人間の恐怖を楽しんでいるかのようだった。


「王よ、冷静さを保ちなさい。」


アスターの声が響く。「影たちはただの攻撃では消滅しません。重要なのは、あなたが彼らの核心に触れることです。」


「核心……?」


悠太はアスターの言葉の意味を考えながら、さらに追い詰められていく。だが、その時、影の動きにある奇妙なパターンを見つけた。


「……待て、こいつら、俺の動きを読んでるのか?」


影たちは悠太の攻撃に反応するだけでなく、彼の恐怖や戸惑いを感じ取って動いているように見えた。


「そうか……こいつらは、俺の弱さを利用しているんだな。」


悠太は一歩後退し、深呼吸をした。心臓の鼓動を落ち着かせ、自分自身の恐怖を抑え込もうとする。そして、影に向かって静かに言った。


「俺は、もう逃げない。」


その瞬間、影たちの動きが僅かに鈍った。悠太の言葉が、彼らに何らかの影響を与えたのだ。


「そうだ……お前らは俺を試しているんだろ?」


悠太はさらに一歩前に出る。影たちは一瞬後ずさった。


「なら、俺は逃げるわけにはいかない。この世界で俺が王として認められるなら、どんな恐怖でも受け入れる!」


悠太の叫びとともに、影たちの動きが止まった。そして、黒い霧のような彼らの姿が徐々に薄れていく。


「お前の覚悟を見せたか。」


グラギアの声が響いた。影たちは完全に消滅し、悠太の周囲には静寂が戻った。


「見事だ。お前は確かに王としての覚悟を持っているようだ。」


悠太はその言葉を聞いて、全身の力が抜けるのを感じた。


「はぁ……はぁ……これで、終わりか……?」


膝をつきながら問いかける悠太に、グラギアは冷静に答えた。


「いや、試練はこれで終わりではない。ただ、お前が覚悟を示したことで、次の段階に進む資格を得たに過ぎない。」


「次の段階……?」


悠太は目を上げ、グラギアを見据えた。その目には、まだ戦う意思が宿っている。


「次は、『知恵』を試す。」


グラギアの言葉に、悠太は再び気を引き締めた。この異世界で王としての力を示すための試練は、まだまだ続くようだ。


次回、第5話:知恵の試練

悠太が直面する次の課題は、人間の王としての「知恵」を問う試練。果たして彼は、知恵でグラギアを納得させることができるのか?

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