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秘密 ~新人メイド~

ここは新興伯爵、ハイム家。



私はこの屋敷に配属されて半年になる奥様付きの新人メイドだ。



私がここに勤めて分かったことは、奥様と旦那様の仲はあまりよろしくないと言う事だ…。



そろそろ結婚して一年半は経とうかと言うのに、一緒にいらっしゃるのは夕食の時間だけ。



今日もまた無言の食事会がスタートする。カトラリーのかすかな音、衣擦れの音、



私にとってこの時間は拷問に等しい。まだ入って本当に間もない頃、給仕に失敗し大きな音を立ててしまった。



(あッ、おわった……)



しかし、旦那様も奥様も咎めることもなく先輩メイドのフォローもあり私は今も無事に職務を全うしております。



本日もつつがなく食事が終了し、奥様の退席と共に私たちも奥様のお部屋へと移動します。



そして、奥様はいつも同じ場所で足をお止めになります。



自室に向か南側の廊下の窓から見える庭園――…



その窓の側にあるのはまだ蕾すらないローズの木……。



その木をしばらく眺めると部屋へと足を進めます。




本日はお休みの日。久しぶりに同僚と街へお買い物に出かけています。



最近女の子の間で話題になっているカフェでお茶をしながら同僚との話に花が咲きます。



「旦那様は、奥様の何が気に入らないのかしら?あんなに美人なのに…、私が男性ならメロメロね」



「確かに奥様は美しいわ。家柄も申し分ない生粋のお嬢様だもの。……でも、表情が変わらなさ過ぎてちょっと怖いのよね。」



確かに言われてみると、初めの頃はお人形さんが動いているかと思うくらい無表情に見えたが、



私たち使用人にもお礼を言ったり、お気に入りの紅茶を飲むとホッとしたりなどちゃんと表情に変化はある。



「それに、旦那様は外に愛人がいらっしゃるってもっぱらの噂よ。週に一度必ず出かけていくし、この間、出迎えたメイドの子がそばを通った旦那様の御髪が濡れていたのと屋敷では使われていないシャンプーの匂いがしたって…」



私はなんだかその話を聞いてショックだった。奥様はその事を知っているのだろうか…?



私は、奥様の安寧を願わずにはいられなかった。





あの休日から数日後――



この日は先輩メイドと奥様の護衛の騎士様、私とで図書室から奥様の自室へと帰るところだった。



いつもの南側の廊下、奥様が足を止める。そこには大きな帽子をかぶった庭師の男性が一人、花の手入れをしていた。



こちらに背を向けしゃがみながら作業している男性を奥様は読めない表情で見つめていた。



しゃがみ込んだ体制から立ち上がった男性は思いのほか上背があり、ことのほか若そうだ…。



そう思った時、不意に庭師の男性がこちらに振り返った。



帽子と作業着のせいか野暮ったい感じはあるが、顔は整っており爽やか好青年といった感じだろうか。



しばし奥様と窓越しに見つめ合っていた。そのタダならぬ雰囲気にそわそわしてしまったが、



奥様が足を進めたため、何事もなかったかのようについて行った。



そう言えば、日中に足を止めるとき、よくあの庭師が作業しているのを見かける。



その後ろ姿を見つめる奥様……。この事は胸に秘めておこう―――



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