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第38話 そういうとこですよタクトさん

「いやぁ、ドラゴン肉の串焼き、美味しかったな~~」


「私はやっぱりステーキかな。ワサビをちょこっとつけると絶品だった!」


「ドラゴン肉じゃが、また食べたいです!」


〝マジで美味そうだった〟

〝映像と音声だけじゃなく味も配信できるようにならんかな〟

〝フルダイブ配信で耳かきASMR希望〟


「きっとまたドラゴンが来てくれるよ。そしたら食べられるよ。けれど今はやるべきことをやろう。というわけで俺たちは今、魔王城に来ていまーす」


〝魔王討伐RTAの完結編だぁ!〟

〝ドラゴンの角を槍みたいに担いでて笑う〟


「この角をどう使えばいいのか分からないので、とりあえず魔王にぶっさそうと思います。それでは玉座の間に突入です」


「また来たのか人間よ。くくく……ご覧の通り、我はすでに復活しているぞ!」


「開幕チンコ切断! モザイク魔法発動!」


「ぎゃああああああ!」


「そして脳天から一刀両断」


「ぬわああああああ! 相変わらず信じられん戦闘力……しかし無駄だ! いくら肉体を滅ぼそうと、我はすぐに復活する。我を完全封印するにはドラゴンの角が必要なのだ……待て。お前が肩に担いでいるのは……」


「魔王の肉体は消滅してしまいましたが、地面に魔法陣が残っています。これをドラゴンの角でグリグリしてみましょう」


「びゃああああああっ!」


「お、効いてるみたいですね。もっと深く刺してみましょう」


「逝グウウウウウウウ! そんなに深く刺されたら我の魂、現世に帰って来れなくなるうううう! 封印されるうううううううううっ!」


「そうなのか。えいやっ!」


「あ゛! あ゛あ゛あ゛あ゛!」


〝イッたwww〟

〝イグゥゥゥゥ♥〟

〝あっ♥ ああっ♥〟

〝ハートマークつけんなwww〟

〝魔王の声、消えたな〟

〝完全に逝った?〟

〝逝くときに逝くって言えて偉い〟


「角が魔法陣に飲み込まれて、それで魔法陣も消えちゃいましたね。これで封印完了かな?」


「みたいですね。気配が消えましたから。それにしても……」


「なんというか……イヤらしい魔王だったわね……」


〝チンコ丸出しドスケベ魔王だった〟

〝封印できてよかった。あんなのがいたら安心して異世界から配信できないもんな〟

〝魔王は防御に徹して、できるだけ長時間チンコが映るようにすべきだった〟

〝垢バン狙い戦術の魔王とかやだよw〟


「では、これで魔王討伐RTA完了です。ご視聴ありがとうございました」


〝おつかれさま〟

〝おつ~~〟

〝あちこち行ったから割と時間かかったな〟

〝次はもっとタイム縮めて〟

〝魔王城にあらかじめドラゴン設置すれば三十分切れるはず〟

〝置きドラゴンは草〟


「じゃあ弘前に帰るか。アミーリアさん、俺の実家へのポータル作れる? 無理なら、ばあちゃんに迎えに来てもらうけど」


「大丈夫です、今度こそ成功させます。魔女の名にかけて! てやっ!」


〝魔法陣が広がった〟

〝さーて、次はどこにでるかな。ワクワク〟

〝いや、普通に実家に行って。シルヴァナさんの顔を見たいわ〟

〝それな〟

〝シルヴァナチャンネルで見ればいいだろ〟

〝あの人、アーカイブ残さないからなぁ〟


「……成功です! タクトさんの家の裏庭ですよ。あの畑が目印です」


「わあ、これが拓斗さんの実家! 動画では何度も見たけど、ついに来たのね!」


〝そうか、明日香ちゃんは初めてか〟

〝シルヴァナさんと仲良くやれよ〟

〝逆にシルヴァナさんに喧嘩売るのが難しいべ。あの人、拓斗さんより強いだろ〟

〝師匠ポジは強すぎて扱いに困るから横浜編と龍飛崎編に登場しなかったんだな〟

〝どのみち拓斗さんがほぼ一撃で終わらせてたんですが〟


「おかえりなさ~~い。あっちこっち飛んで大変だったわねぇ。ドラゴン肉を沢山食べたみたいだから、夜はバランスを取って野菜たっぷりのお鍋よ~~」


「おお、やった。ばあちゃんの鍋だ」


「シルヴァナさんのお鍋料理はとっても美味しいんですよ、明日香さん」


「そ、そうなんだ……えっと、私も食べていいの?」


「もちろんよ~~。うふふ、動画では拝見してたけど、リアルでははじめましてね、明日香ちゃん。シルヴァナで~~す」


「あ、私も動画でいつも見てました。はじめまして。中村明日香です」


「横浜町のホテルでは凄かったわねぇ。私でもあそこまで情熱的な夜這いはしたことないわよ~~」


「あれは、その、自分でもどうかしてると思っていて、えっと、言い訳のしようもありませんが、もう二度としないので許してください……」


「もうしないのぉ? 拓斗クラスの鈍感男に振り向いてもらおうと思ったら、ああじゃなきゃ。むしろ青森県で修行して、拓斗を押し倒せるくらい強くなるくらいの気持ちでなきゃ!」


「な、なるほど……私、強くなります!」


「おい、ばあちゃん、変なこと吹き込むなよ。せっかく明日香さんが普通の人になってくれたのに……」


〝普通の人になってくれたってのも失礼な言い方だなw〟

〝横浜町での再会は普通じゃなかったのでw〟


「わ、私も頑張ります! 明日香さんとは友達ですが、そこは譲れません!」


「なんでアミーリアさんが対抗意識燃やしてるの?」


「女として負けられない戦いなのです!」


「アミーリアさん……そうだったのか……」


〝お、拓斗さん、ついにアミーリアたんの想いに気がついたか?〟

〝長い道のりだったぜ〟

〝ヒロインレース決着か?〟


「アミーリアさんがそこまで『強さ』にこだわりを持っていたなんて知らなかったよ。俺に協力できることがあれば、なんでも言ってくれ」


〝駄目だ、伝わってないw〟

〝どうしてそう解釈するの!?〟

〝マジで実力行使しかないじゃん〟

〝わざとやってんじゃ……〟

〝そういうとこだぞ〟


「ほんと、そういうとこですよタクトさん!」

定期更新はここで終了です。

そのうち気が向いて連載再開したらよろしくお願いします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 現代ダンジョン系作品では初めてなくらい、ムッチャ笑わせて頂きました(笑) ブックマークはこのまま残して、再読します♪
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