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たびガール  作者: 諏訪いつき
3章 秩父編

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6話 秩父神社

影森駅から出発した電車は、数分もすれば秩父駅に到着した。先程までいた三峰口や浦山口、影森駅と比べるとこの辺りは山肌が遠く見え、駅前にもそこそこの数の建物がある。地図を見るとこの一帯は埼玉ならどこにでもある市街地であることが見て取れる。あまりに外の世界を知らなかった茉莉は秩父一帯が人里離れた秘境のように思っていたので、朝秩父駅を通過した時にも薄々感じていた驚きをこの駅に降りてみて再度感じていた。

 秩父駅周辺での目的地は1つだけ。三峰神社と同じく秩父三社のうちの1つ、秩父神社である。駅から出た瞬間からもうすでに境内の林が見えていて、道に迷わずに済みそうである。が。

「入口どこだろう……」

 境内が見えると言えど、神社の入り口は別の方角にあるので、境内の仕切りを少しうろつくことになった。途中「秩父まつり会館」と書いてある建物を見かけた。

「お祭りの日に併せてどこかにでかける、っていうのもアリなのかも」

 これから訪れる夏の日を考える。半年も経ってしまえば『心の穴』は埋まっているのかどうかとか、埋まっていたとしたらもう遠出をしていないのではないか、とか。そして何よりも、たった数か月後の自分がしていることがわからないことに対して今まで抱いていなかった不安があった。

「どうしてこんなに、先の事が不安なんだろう」

 それもこれも、『心の穴』が埋まれば全部よくなるよねと、なかば強引な思考で不安を誤魔化した茉莉は、秩父神社の鳥居がある方角へと急いだ。

 秩父神社は秩父駅から徒歩数分の近くにあるこの地域の中では大きめの神社で、祭神は八意思兼命など4柱。この神社の例祭では、屋台引き回しや打ち上げ花火などが行われ、この祭りを楽しみに大勢の人が訪れる。このお祭りが開催されるのが花火を伴う祭りのイメージが強い八月ではなく十二月であることも特筆すべき点だろう。それをまだ知らない茉莉は、今年の夏は大宮のお祭りの他にもお祭りに出向こうか、ここのお祭りに参加するのもいいなと考えているのだった。

 社殿に到着した茉莉は、『心の穴』が埋まることに一縷の望みをかけて、もうすっかり慣れた所作で参拝を済ませた。境内には他にも建物があるようで、せっかくなので見て回ることにした。境内は社殿を囲うように額殿や天神地祇社などが位置しており、数箇所しかない門を通るしかない設計になっていて、これが境内へ入るために仕切りの周りをうろついた原因になっていたようだ。建物には時折動物たちが描かれた彫刻のようなものがあり、見応えがある。

 一通り見終わったあとは、神社に来たら恒例となったおみくじ引きをすることにした。結果は……。

「うーん、大吉」

 もはやなんの感想も抱かなくなっていた。

「そうだ、拓也に旅が順調なこと報告しとこ」

 精いっぱいの笑顔を作って、大吉のおみくじと自分が映った写真とともに『計画、順調だよ!』というメッセージを送った。既読はすぐについて、『よかった』『僕はもう寝るけど、気を付けてね』『お土産、楽しみにしてる』と立て続けに3つメッセージが来て、それから本当にチャット欄は沈黙した。

「あいつ、どういう生活リズムしてるの……」

 今が春休みと言えど、現在の時刻は午後二時。一体なぜこの時間に就寝をしているのか見当がつかない。

 秩父駅周辺の唯一の目的地、秩父神社の参拝が終わったので、近くにあったコンビニで水を買い足した後、秩父駅に戻った。次の目的地、長瀞に向かう電車を待つ間、買い足した水を飲みながら、喫緊の課題について考えていた。

「そういえばそれすら考えていなかったけど、お土産ってどこで何買えばいいんだろ」

 湘南には鳩サブレが、川越には駄菓子があったが、秩父におけるそれらと似た存在とは何なのか、全く知識のない茉莉であった。

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