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第10話 光属性魔法に見えた突破口

 あっという間に体力の限界が来たため、ギルド裏でのトレーニングを早めに切り上げた俺たちは、そのまま大人しく宿に戻った。


 そして午後の残りの時間は全て魔法のトレーニングに費やすことにしたのだ。


 そう魔法!


 ついにこの俺が魔法を使用する時が来た。


 先生はもちろんローレシアだ。




(ローレシア、魔法にはどんな種類があるんだ?)


(わたくしが知っているのは光属性魔法のみですが、それでもよろしいですか)


(よろしいよろしい。早く魔法を教えてくれ!)


(わかりました。まずわたくしが使える魔法は、この5つです)


・ライトニング・・・閃光により敵の視力を奪う

・キュア・・・けがを治療する

・ヒール・・・体力を回復させる

・ミラー・・・敵の魔法を反射させる

・魔法防御シールド・・・自分の属性魔力値以下の魔法攻撃を防ぐ。また自分の魔力値相当の物理攻撃を防ぐこともできる。




(スゲーっ、こんなにも使えるのか・・・)


(あ、ありがとう存じます。わたくし魔法のことでそんなに感心されたのは、生まれて初めてです)


(そうなのか、普通にすごいと思うけどな。それでどうやって魔法を使うんだ?)


(まず①それぞれの魔法が組み込まれた魔法陣に手を触れて、②呪文を唱えながら、③魔法発動のイメージを頭の中に保つのです。その3つが完了すれば④魔法が発動する場所に魔法陣が浮かびあがります。⑤そのタイミングで魔法名を叫べば魔法が発動します)


(よし、さっそく試してみたいが、何がいいかな?)


(それなら、まずはわたくしたちの体力を戻すためにヒールがよろしいかと)


(わかった。じゃあ最初に、魔法が組み込まれた魔法陣に触れるんだっけ・・・それってどこにあるの?)


(普通は魔法の杖に組み込まれているのですが、わたくしは杖を持っていません)


(だよな。荷物の中に魔法の杖なんか入ってなかったし。・・・じゃあどうするんだ)


(わたくしがいつも胸にかけているこのロザリオ、これにわたくしが使用できる光属性魔法のすべての魔法陣が組み込まれています。魔法を使用する際には①左手でこのロザリオに触れ、②右手を前に突き出して呪文を唱えて見てください)


(このロザリオか。それでは呪文を教えてくれ)


(ヒールはこうです。※△●β◇¥%#・・・)


(・・・そんなに長いのとても覚えられないよ)


(それでは、わたくしが頭の中で唱えますので、それをそのままマネをすればいいですよ)


(なるほど! それだと俺はイチイチ呪文を覚えなくてもいいな。あとは魔法発動のイメージだけど、それってどうするの)


(魔法が発動する様子を頭の中でできるだけ具体的に思い浮かべるのです。光属性だとライトニングがとても簡単なのですが、ヒールは少し特殊なので訓練に時間がかかります)


(・・・時間がかかるのか。どれぐらいかかるの?)


(普通は半年、1年くらいかかる人もいます)


(まじか・・・)


(でも、わたくしたちの場合は、わたくしが魔法発動イメージを思い浮かべればいいだけなので、あなたは何もしなくてもいいですよ)


(おおぉ、なるほど・・・え、じゃあ特に訓練しなくても俺はすぐに光属性魔法を使えるってことじゃないか。それにこれから他の属性の魔法を覚える時も、二人で手分けをすれば、人よりも早く魔法が使えるようになる)


(確かにそのとおりですね。それにわたくしたち2人でうまく役割を分担できれば、いろいろな応用ができるかもしれませんね)


(おーーっ! なんか急にやる気が出てきた。最初は勇者レベル1なんて言われて途方に暮れていたけど、これってチートできるんじゃないのか)


(チートってなんですか?)


(他人が持っていない特別な能力で、メチャクチャ強くなれるってことさ)


(わたくしたちも強くなれるのですね・・・フフッ、なんだかわくわくしてきました)


(だろ? じゃあさっそくヒールの試し撃ちだ)





 まず胸のロザリオに左手をそっと添えて、右手を前に突き出す。そしてローレシアが頭の中で唱えるとおりに俺が呪文を唱える。・・・あっ! 目の前に大きな魔法陣が浮かび上がってきた。


 この状態で、最後に魔法名を唱える。


 【ヒール!】


 すると魔法陣から穏やかな白い魔力が噴き出しきてて、俺の身体を包み込んだ。そしてさっきまでの疲れがどこかへと消えていき、ウソのように元気になった。


(これがヒールか! 体力が完全に回復した)


(・・・すごい。こんな完全にヒールが効いたのは、生まれて初めてです)


(え、そうなのか?)


(はい。以前のわたくしの魔法ではこんなに効きませんでしたし、そもそもヒール自体こんなにはやく体力を完全回復させる魔法ではなかったはずです)


(・・・それってローレシアの魔力が増えたせいか? あと全属性持ちになったことも関係するのかな)


(わかりません。そう言えば、わたくしはどうして属性が増えたのでしょうか?)


(なんでだろうな。俺の異世界転移やローレシアの死者復活が関係するんだと思うけど、俺にも理由はよくわからないよ)


(それに魔力が以前よりも増えたせいで、1回のヒールでは魔力が減った感じがほとんどしません)


(ヒールで完全回復ができて、それなのにほとんど魔力が減っていないか。・・・いいことを思い付いた。これは使えるぞ)


(何を思い付かれたのですか?)


(俺たちはトレーニングで疲れても、この有り余る魔力で体力を回復させればいい。そうすればいくらでもトレーニングができるぞ)


(はっ! たしかにそうですねっ)


(よし、明日の筋トレはこのヒールを使いまくって、無限トレーニングだ。一気にレベルを上げるぞ!)





 俺がやる気に満ち溢れていると、突然、申し訳ない感情が心の中に渦巻いた。


 ローレシアの感情だ。


(いったいどうしたんだよローレシア。なんでそこで申し訳ない気持ちになるんだよ)


(あの、明日はトレーニングができないと思います)


(どうして? 明日は雨でも降るのか? だったらこの部屋の中でもトレーニングはできるぞ)


(いえ、そうではなくて・・・あの、その)


(なんだよ。明日何かあるんだったら俺も知っておきたい。教えてくれ)


(・・・明日は月に一度のあの日です)


(あの日って・・・ななっ!!)


(はい、その・・・大変申し訳ございません)


(え、え、えぇぇぇ・・・)


 俺の心の中は俺の混乱100%とローレシアの羞恥心100%で埋め尽くされた。


(・・・俺、どうしたらいいのか知らないんだけど)


(それは当然です。逆にもしあなたがご存じでしたら、わたくしはここから身を投げて自殺いたします)


(・・・そんなことでイチイチ死なないでくれ。それで俺はどうしたらいいんだ)


(アンリエットを頼りましょう)


(やはりここは安定のアンリエット頼みだよな。でも俺たちって、アンリエットが居なかったら今頃どうなっていたんだろうな)


(おそらくもう野垂れ死んでいると存じます)

次回はアンリエット頼みです

きっと何とかしてくれると思います


ぜひご期待ください

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[良い点] アンリエット万能!
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