EpiSodE093:悪魔の力
エルサリオン達は同族のダークエルフに捕まり、牢屋に閉じ込められていた。
そして、アラグディアの報告が伝わって、すぐにザレオスがやってきた。
「目を覚ましたみたいだな」
「はい。エルサリオンの方が目を覚ましました」
「そうか。じゃあエルサリオンとやらを牢屋から出せ」
「かしこまりました」
アラグディアに掴まれて、エルサリオンは縛られたまま牢屋を出る。
「お前がエルフ最強の戦士、エルサリオンで間違いないな」
「、、そうだ。何故俺の名前を知っている?」
ドスッ
ザレオスがエルサリオンの腹を殴った。
「がはっ」
「誰が質問していいと言った?お前は俺の質問にだけ答えてればいいんだよ」
ザレオスは強欲の悪魔マモンの軍団の幹部。
幹部であるという事は、マモンの軍団の中でも上位存在だ。
なのでマモンの強欲という部分も色濃く受け継がれていて、全て自分の思い通りに事を進めるのがザレオスなのだ。
そしてザレオスはエルサリオンへの質問を続けた。
「で、お前はエルフの中で一番強いんだな?」
「そういう事になるな」
「よし、わかった」
エルサリオンにはザレオスが何故そんな質問をするのか、何を考えているのかわからなかった。
その時イズレンディアが目を覚ました。
「エ、エルサリオン、、様、、」
「やっと目を覚ましたか。いつまで寝てるんだ」
「お前は、、やはりアラグディアか!何故お前が!」
「あーもうその話はいいよ。さっきエルサリオンにもしたからな」
「そいつはなんだ?アラグディア」
ザレオスがイズレンディアの事を何者なのか聞く。
「はい。こいつはエルサリオンの家臣で御座います。昔からずっと一緒にいて、傍から見れば家族のような存在だったと認識してます」
「そうか。ならちょうどいい。こいつとエルサリオンを闘技場に連れて来い」
「闘技場に、、ですか?」
ザレオスがこれから何をするのかわからず、聞き直すアラグディア。
それに対してザレオスは。
「お前は言われた事をやっていればいいんだよ。俺の癇に障るような事はするな。わかったな?」
その時アラグディアはザレオスが発する殺気に寒気がした。
「も、申し訳御座いませんでした。すぐに2人を連れて行きます」
「わかればいい」
そしてザレオスとエルサリオン、アラグディア、イズレンディアが闘技場に到着した。
「じゃあアラグディア、エルサリオンの錠を外せ」
アラグディアはザレオスの言っている意味がわからなかった。
「い、今、なんと?」
「エルサリオンの錠を外せと言ったんだ。何回も言わせるな」
「し、しかし外すとエルサリオンが自由になってしまいますが、、」
その瞬間、ザレオスがアラグディアの前から姿を消し、アラグディアに見えないスピードで背後に回った。
「お前、死にたいのか?何度も言わせるなと言ってるだろ。早くこいつの錠を外せ。さもなくば、お前の命を繋ぎとめている錠を絶つぞ」
「は、は、、い、、申し訳御座いません」
アラグディアは先程よりも更にザレオスに怯え、過呼吸になりそうだったが、なんとか持ち堪えてエルサリオンの錠を外した。
「いいのか?俺の錠を外して。俺はお前ら悪魔どもには従わないぞ」
「わかっている。俺はそんな事を求めているんじゃない」
「だったら何が目的だ?」
エルサリオンの質問にザレオスはニヤリと口角を上げた。
「この場所は何処だ?」
「、、闘技場」
「そうだ。ここは闘技場だ。闘技場と言ったらやる事は一つだろ。エルサリオン、俺と戦え。全力でな」
ザレオスはアラグディアからエルサリオンが全エルフで最強の戦士だと聞いた時から戦いたくて仕方なかったのだ。
ザレオスは異常なまでの戦闘狂だった。
マモンから恩恵として受けた強欲をザレオスは戦闘欲求に強く影響を受けていたのだ。
「それが、、お前の望みか」
「あぁそうだ。お前がエルフ最強なんだろ?そんな奴を前にして戦わずにはいられないだろう」
「、、そうか。わかった。じゃあ一つだけ聞かせてくれ」
「なんだ?」
「俺がお前に勝ったらどうするんだ?」
エルサリオンのその言葉をザレオスは文字通り、悪魔のような笑みで答えた。
「お前が勝ったらお前もそこの連れも解放してやるよ。勝ったらだがな」
このアルフヘイムに来たのはアルフヘイムを奪還する為。
それを条件に出したいところだが、今この状況でアルフヘイムの解放という条件を出しても絶対に飲んでくれないとエルサリオンは判断した。
「わかった。それでいい。何かルールはあるのか?」
「ルール?そんな物必要ない。殺るか殺られるかのどちらかだ」
ザレオスの二つ名は戦闘狂。
その名の通り、命を賭けた殺し合いを好み、それをする事で自分の快楽を満たしていた。
「殺し合いか。だったら本気でいかせてもらうぞ。死ぬのは嫌だからな」
「当たり前だ。逆に本気じゃないとわかった瞬間、お前じゃなくそこの連れを殺すからな。俺は本気か本気じゃないかはすぐにわかる。くれぐれも肝に銘じておけ」
エルサリオンは向けられた殺気を肌で感じた。
それは戦いによる殺気ではなく、本気で戦うという事をしない事に対しての殺気だった。
「わかったよ。そんなに殺気を剥き出しにするな。お望み通り本気でやってやるよ」
「フフ。それでいい。じゃあ早速始めようか」
その瞬間、エルサリオンは目にも留まらぬ速さで動き出した。
「いいね〜。結構速いじゃないか。ワクワクしてきた!」
ザレオスはエルサリオンのスピードを見て、今までにないくらいテンションが上がっていた。
「そんな余裕こいてていいのかよ。攻撃も手加減しないぞ」
ガギンッ!
「!」
「いい殺気だ。だがこの程度じゃ俺には傷一つつける事ができないぞ」
エルサリオンはザレオスから一度離れた。
「やはりこれだけでは全く歯が立たないか。ならば、、」
エルサリオンが魔法で矢を創り出した。
「いいじゃないか。もっと見せてくれ!お前の全力を!」
そして、弓を引く構えをすると、エルサリオンの周りに無数の矢が現れた。
それは数十個。いや、数百個はあったかもしれない。
『暴風矢・乱舞』
その矢はザレオスの周り全てを覆い、360°全方位からザレオスを狙う。
ズバンッ
縦横無尽に舞うエルサリオンの矢はザレオス目掛けて同時に襲い掛かった。
「、、終わった、、か?」
土煙りが立ち込める闘技場。
「エルサリオン、構えていた方がいいぞ」
「どういう事だ?」
「この程度でザレオス様がやられる訳がない。気を抜くな」
「この程度だと?何を見て言って、、」
コツコツコツ
土煙りの中から足音が聞こえて、振り返るエルサリオン。
「おいおい、アラグディア。お前はどっちの味方なんだ?」
「申し訳御座いません」
「お前、、何で生きているんだ、、直撃した筈、、」
そこには顔にかすり傷を負ったザレオスがいた。
それを見たエルサリオンは驚いた表情をしていた。
「そんなに驚く事でもないだろう。お前の技が俺に通用しなかっただけだ。とは言っても傷を負ったのはいつぶりだろうか」
「馬鹿、、な、、」
「今のが全力なのか?」
エルサリオンは無言のままだった。
「全力らしいな。じゃあもう終わらせるか」
ザレオスが腕を剣のように指先まで尖らせると、指先から5m程の高濃度の黒い光が出ていた。
「これは、、なんだ?魔法なのか?」
あまりにも強大な力の前に成す術がなかった。
このままエルサリオンは殺されてしまうのか、、
窮地に陥ったエルサリオンの運命は、、




