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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE089:それぞれの思い

 エルサリオンが人が変わったように冷たい目で姫那を見下していた。

 そしてその行動を見ていたイズレンディアは、、


 「エルサリオン様!何をやっているんですか!姫那は飛べないんでしょう?」

 「あぁ、飛べない。だが大丈夫だ」

 「何が大丈夫なんですか!私が行ってきます!」


 イズレンディアが飛び出そうとしたが、それをエルサリオンは制止する。


 「行くな!お前は俺とアルフヘイムに行くのだ!」

 「しかし!このままでは姫那が、、!」

 「お前は誰の家臣だ?」

 「、、エルサリオン様の家臣です、、」

 「そうだな。だったら俺の言う事を聞け。姫那なら大丈夫だ。ルーナが必ず助ける」


 エルサリオンはルーナがこちらの事を気にしていると確信していた。

 今回はなんとか自分が抱えて飛んでこれたが、いつもなら絶対ルーナが大好きなお姉ちゃんを渡す事はない。

 だから間違いなくずっと姫那の帰りを待ち、上を見上げているはずだと。

 イズレンディアにもそう伝えた。


 「ですがエルサリオン様!もしルーナが見ていなかったら姫那は確実に死にますよ!?」

 「お前はまだあいつらと関わった期間が短いからわからないんだ。ルーナは確実に姫那を助けるよ。ずっと一緒にいた仲間だからこそわかる」

 「仲間、、ですか、、なら何故こんな事をしているんですか、、仲間なら何故!」


 エルサリオンは少し驚いていた。

 あれほど姫那達の事を毛嫌いしていたイズレンディアが姫那達の為にものすごい形相で怒っているのだ。


 「仲間だからだよ。もう傷付く姿はみたくないんだ」

 「そんな事、戦ってみないとわからないじゃないですか!姫那達がいれば圧倒的強さで勝てるかもしれないでしょう!」

 「今まであいつの目を欺いた悪魔はいなかった」

 「どういう、、事ですか、、」

 「この膜のような壁。姫那ですら最初は認識できていなかった。今までこんな事あり得なかったんだよ。それだけでアルフヘイムにいる悪魔の軍勢の力量が今までの比でない事がわかった。それに加えてこれは俺達エルフ族の問題だ。それであいつらの1人でも死んでしまうような事があると考えただけで怖い」

 「エルサリオン様が言っている事は理解できます。でも、、それでも姫那達は共に命を懸けてくれると、、」


 イズレンディアは怒りとエルサリオンに歯向かえない悔しさが混ざったような顔をしていた。


 「イズレンディア。お前、あいつらと出会って変わったな」

 「私は、、何も変わってないですよ」

 「いや、変わったよ。姫那達の事を思って俺に意見し、納得出来ず激怒してるじゃないか」

 「、、そういうエルサリオン様の方こそお変わりになられましたね。数日前とは大違いです」


 イズレンディアが言いたい事はすぐにわかった。

 だが、悪魔の力が今までの想像を超える強さだとわかった以上、連れていくわけにはいかなかった。


 「すまない。わかってくれ。俺はあいつらが傷付くところを見たくないんだ。頼む」


 エルサリオンがイズレンディアに頭を下げ、それに対してイズレンディアは慌てていた。


 「エ、エルサリオン様!私に頭を下げるなんて、そんな事しないで下さい!私は何があろうともエルサリオン様の家臣です!あなたの意向に従います!」

 「本当にすまない」

 「もうやめて下さい!仲間を傷付けたくないというエルサリオン様のお気持ちもわかりましたから!お顔を上げて下さい!」

 「ありがとう、イズレンディア」


 その頃地上では、、


 「姫那さん達、帰ってこないですね、、もう見えないですし、、大丈夫なんでしょうか?」

 「まぁエリーもイズレンディアもいるし、何も問題ないとは思うが、、」

 「本当にあるのかな?エリーの故郷のアルフヘイム」

 「きっとあるよ!お姉ちゃんが見たって言ってたんだから!」

 「お前はずっと上を見て、首が痛くならないのか?」


 ルーナは姫那の帰りが待ち遠しくて、ずっと上を向いて飛んでいった方向を見ていた。


 「大丈夫!心配してくれてありがとう!」

 「いや、心配というよりはずっと上を向いてても姫那は来ないと思うんだが、、」


 そんな事を思っていた時、ルーナがいきなり叫び出した。


 「ねぇ、みんな、、何か落ちてくるよ!」

 「落ちてくるってどういう事だよ?」

 「上見てよ!何かわからないけど、、」


 ルーナのその声に全員が上を見上げた。

 すると、声が聞こえてきた。


 「、、ナー!、、ーナー!ルーナー!」

 「お姉ちゃん?なんでお姉ちゃんが落ちてきてるの!?」

 「そんな事は後で考えろ!とりあえず姫那を助けるんだ、ルーナ!」

 「う、うん!」


 夏生に促され、意味がわからないまま姫那を助けに向かった。


 「お姉ちゃん!」


 間一髪のところでルーナが姫那に触れて浮かせて助ける事ができた。


 「お姉ちゃん!大丈夫?」

 「大丈夫じゃないよ〜!怖かった〜!」


 上空何mから落ちてきたかわからないが、地上から見えない場所から落ちてきたのだから怖くて当たり前であった。


 「なんでお姉ちゃんが落ちてきたの?エリーはどうしたの?」

 「私もわからないよ、、一緒にアルフヘイムを取り戻そうって約束したのに、、」


 姫那は泣いていた。

 それは落とされた恐怖ではなく、エルサリオンに裏切られ、自分達を信じてもらえなかったという悲しさからくる涙であった。


 「、、一度みんなと合流しよう!そこでみんなにも話そう!」

 「、、うん」


 姫那が泣いているところを見ると自分がしっかりしないといけないとルーナは思い、今の状況をみんなにも聞いてもらってどうするか決めようとしていた。

 そしてそれは今最も的確でこれからの行動を明確にする方法であった。


 「姫那さん!大丈夫ですか?なんで落ちてなんて、、」

 「姫那!大丈夫?何があったの?」


 葵とあかりが心配で姫那に声をかける。

 そこに夏生が割って入った。


 「まぁ、みんな一度落ち着こう。姫那も何が起こったのかわからず混乱してる顔をしている」

 「そ、そうだね、、姫那、どこか怪我とかしてない?」

 「ルーナのお陰で怪我とかはしてないよ、、」


 すごく悲しそうな顔をしている姫那になんと声をかけていいかわからなくなっていた。


 「姫那。ゆっくりでいい。何があったか話してくれるか?」


 夏生が見た事がないくらい優しく姫那に喋りかける。


 「うん、、この真上にアルフヘイムがあったの。それでなんか膜みたいなものがあって、それを壊したらアルフヘイムが見えて、もうお前達の力は借りないって言われて、それで、、」


 さっきより少し落ち着いていたが、話すにつれてまた悲しくなり、涙が溢れてきた。


 「もういいよ。わかった。とりあえず今は少し休もう」

 「ごめんね、、」


 今の姫那はメンタルが衰弱しきっていた。

 そうなった理由はエルサリオンにある、そうわかっていたが、今は何故エルサリオンがそんな事をしたのかがわからなかった。


 「あいつが俺達を裏切るなんて事は絶対にあり得ない。それならやっぱり、、」


 エルサリオンの行動に夏生は何を思うのか。

ここに来てすれ違いが起きた。

どう解決していくのか。

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