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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE088:エルサリオンの思い

 ついに姫那がアルフヘイムの居場所を突き止めた。

 だが、一つだけこれまでと違う懸念があった。


 「姫那、今は空の歪みとかアルフヘイムは全く見えないのか?」

 「うん、ここからじゃ何も見えないよ!近付いたら見えるかもしれないけど、、」

 「こんな事は初めてだな」

 「どういう事ですか?」


 夏生がすごく考え込んでいて、そこに葵がどういう事なのか質問した。


 「いや、今まで魔法や悪魔の能力でも姫那の目で見えない事はなかった。だが今回はその姫那の目でも認識する事ができないほどの力でアルフヘイムを隠している。それだけで相手の力が絶大だとわかる」


 姫那のギフトは基本的にはそういった目眩しや幻覚のような魔法は通用しない。

 そんな姫那の目でも見抜く事ができなかったのだ。

 これは今まで姫那に頼る事で危機を脱してきた夏生達にとって、重大な問題であった。


 「確かにそうですね、、今回の戦いは相当厳しいものになりそうですね、、」

 「あぁ」


 エルサリオンは夏生と葵の話を聞いていた。


 「やはり、、」


 そして一つの決断をした。


 「ん?エリー何か言った?」


 エルサリオンの声がルーナに聞こえていて、それに反応した。


 「、、いや、なんでもないよ」

 「そう?」


 エルサリオンがゆっくり頷く。

 そして姫那に話しかける。


 「姫那、もう一度一緒に上に行って確認できるか?」

 「うん!大丈夫だよ!」

 「じゃあ、また私がお姉ちゃんを空に連れて行くね!」

 「いや、いい。俺が姫那を抱えていくからルーナはここで待っててくれ」

 「えー!なんでよー!私が連れて行きたいー!」

 「様子を見たらすぐ帰ってくるよ。だからここで待っててくれ」

 「んー、わかった!早く帰ってきてよね!」

 「あぁ。姫那もそれで大丈夫か?」

 「うん、大丈夫だよ!ルーナ、ちょっとだけ待っててね!」

 「うん!」


 ルーナは笑顔で答えた。

 この時、何故誰も()()を不自然に思わなかったのだろうか、、


 「イズレンディア、お前も一緒に来てくれ。お前がいてくれた方が本当にアルフヘイムなのかどうなのか判断がつく」

 「わかりました。お供させて頂きます」


 という事でエルサリオンと姫那とイズレンディアで姫那が見たものの確認をしに行く事になった。

 そして飛び立った。


 「本当に島があったのか?」

 「うん!あったよ!あの感じだと、エリーが言ってたアルフヘイムの特徴にそっくりだったから、多分アルフヘイムだと思うんだけど、、」

 「そうか」


 エルサリオンの雰囲気がいつもの穏やかなものではなく、何か鬼気迫るような雰囲気でいつもと少し違っていた。

 それは鈍感な姫那でもわかるほどだった。


 「エリー、、?どうしたの?何かあった?」

 「、、何がだ?俺はいつも通りだぞ」

 「そう?なんかちょっと雰囲気が、、」


 姫那の言葉を遮ってエルサリオンが話を変える。


 「そんな事より、多分アルフヘイムを見えなくしているのは悪魔の能力だ。それを壊せそうか?」

 「どうだろ?やってみないとわからないかな〜、、」

 「そうか。そうだよな」

 「エルサリオン様、、」


 イズレンディアも姫那と同様、エルサリオンに違和感を感じていた。


 「なんだ?」

 「いえ、何でもありません、、」


 エルサリオンの異様な雰囲気に気圧され、イズレンディアは何も聞く事ができなかった。

 そして実はイズレンディアは空に来る前にエルサリオンと少し不可解な話していた。


 空に飛び立つ数分前ーーーーーー


 「イズレンディア」

 「はい?どうされました?」


 少し違和感のあったエルサリオンの事を考えているところにいきなり喋りかけられたので、びっくりして声が裏返った。


 「驚かせてすまない。150年経った今でもお前は俺の家臣と思っていいか?」

 「もちろんです!私はこの150年の間、一度もエルサリオン様の事を忘れた事はなかったですし、生涯エルサリオン様の家臣という事も変わる事はありません!」

 「そうか、ありがとう。だったら俺と一緒に死んでくれと、、そう言ったとしてもついてきてくれるか?」

 「エ、エルサリオン様、、?何を言ってるのですか?」

 「いいから答えてくれ。大事な事だ」

 「も、もちろんです!私は最期のその時までエルサリオン様の家臣ですので、、!」

 「、、そうか。まぁ今の言葉はあまり気にしないでくれ。150年離れていたからな。単なる忠誠心の確認だよ」

 「そう、、ですか。あまり変な事聞かないでください。ただでさえ今から悪魔と戦うんですよ。洒落にならないですよ」


 エルサリオンは少し驚いていた。

 あのイズレンディアが自分に、家臣というよりは仲間という目線で話してきたのだ。

 そしてそれが嬉しくなった。


 「フフ。そうだな。すまない」

 「何笑ってるんですか?私は真剣に言ってるんですよ!」

 「わかってるよ。すまんすまん」


 ーーーーーーそして現在。


 イズレンディアは地上でのエルサリオンとの会話を思い出していた。

 あの会話の意味は何だったのか?考えたいる内にその時はやってきた。


 「あ!うっすらだけど見えてきたよ!」


 空に近付くにつれ、徐々に姫那の目に島の存在が確認できるようになってきた。


 「本当か?どの辺りだ?」

 「ここの真上!」

 「真上か、、やはり俺には見えないな。イズレンディアは見えるか?」

 「いえ、私にも全く見えません。姫那、本当に見えているのか?嘘じゃないのか?」

 「見えるよー!そんな嘘なんてつかないよ!」


 イズレンディアの言葉に少しむくれている姫那。


 「そうか、、やっと見つかった、、ずっと探し続けてやっと、、」


 イズレンディアがまだ取り戻してはないが、ずっと探し続けていてやっとの思いでアルフヘイムを発見できた事になんとも言えない顔をしていた。


 「もう少し上に行ってみよう。もっと鮮明に見えるかもしれないし、姫那なら悪魔の能力に干渉できるかもしれない」

 「え?確認するだけじゃないの?」


 姫那の疑問にエルサリオンは、、


 「・・・・・」

 「エリー?どうしたの?」

 「いや、なんでもないよ。とりあえず近くまで行ってみよう。どうやって隠しているのかくらいは知っておきたいしな」

 「う、うん、、」


 そしてアルフヘイムが隠されている目の前まで来た。


 「ここまで来れば俺達でも何か違和感があるのがわかるな」

 「えぇ、何かあるとわかる程度ですが、、」

 「私ははっきり見える、、この先にあるよ!アルフヘイムが!」

 「やはり姫那にははっきり見えるか。何がアルフヘイムを隠してるかわかるか?」

 「んー、なんだろ、、なんか薄い膜っていうのかな?島全体を覆っている物がある感じかな?」

 「一つ気になったのだが、その見えているアルフヘイムはどれくらいの大きさだ?」

 「今見えてる感じだと、結構小さめかな?50mくらいだと思う!」

 「それは小さ過ぎるな。という事は悪魔の中にそういった力を持つ悪魔がいるという事か、、」


 イズレンディアの予想は的中しているのか。


 「姫那、このアルフヘイムを覆ってる膜を壊せるか?」

 「やってみないとわからないかな!」

 「ちょっとやってみてくれるか?」

 「え?今やるの?一度戻らないの?」

 「試しでいい。1人入れるくらいの隙間でいい」

 「わ、わかった、、やってみるね!」

 「あぁ、、ありがとう」


 そして姫那がその膜のような物に触れると少しヒビが入り、その瞬間人が1人入れるくらいの穴が空いた。


 「よし!壊せたよ!」

 「あぁ、、やっと俺達にも自分の目で見る事ができた」

 「よかった!じゃあ一度下に降りよっか!」

 「そうだな。姫那、お前だけ降りるんだ」

 「え?どういう事?」

 「やっぱりアルフヘイムは俺達エルフで取り戻す。お前ら人間には関係のない事だ。だからお前は下で夏生達と合流して何処か違うところに行くんだ」


 いきなりエルサリオンが意味のわからない事を言い出した。

 それに姫那は混乱する。


 「ちょっと待ってよ!みんなで取り戻すって約束したじゃん!なんで今更そんな事言ってるの?」

 「エルサリオン様、どういう事でしょうか?」


 イズレンディアも何も事前に言われてなく、姫那同様混乱していた。


 「姫那、お前らの力は借りないって言ってるんだ。もう自分のせいで誰かが傷付くのを見るのは嫌なんだ。だからお前らとはここでお別れだ。じゃあな、今までありがとう」

 「ちょっと待ってって!そんな事勝手に決めないで、、きゃっ!」


 姫那が言い終わる前に姫那から手を離し、姫那を落下させた。


 「エリー!」


 エルサリオンは自分に向けて、手を伸ばし落ちていく姫那を冷めた目で見ているだけで、手を差し伸べようとしなかった。

エルサリオンは何を思う?

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