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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE008:北の山攻略②

 悪魔セーレを倒して更に山を登っていて、それももう七合目まで来ていた。

 五合目を越えてから魔物の数も強さもどんどん増してきている。

 だが、それに呼応するように姫那も夏生も強くなっていっていた。

 寧ろ今これだけ実践を積めてる事はいい事なのかもしれない。

 三人の連携がより洗練され、スムーズになってきているからだ。

 そして、姫那もある事に挑戦していた。


 「ちょっとやっぱりこれ私には合ってないかも、、」

 「何言ってんだよ。姫那が俺と一緒のやつ使いたいって言うから渡してやったんだろ」

 「そうだけど〜、、よくよく考えたら剣とか使った事ないし、危ないし、、」


 エルサリオンとセーレの戦いを見て、今のままではいけないと思った姫那は夏生に剣を創造してもらって剣の練習をしていた。

 夏生に関しても二本を自身で使う事はできないが、二本創造して、一本を違う人に渡す事で合計二本を同時に創造する事はできるようになった。


 「私にはこれはちょっと長過ぎるよ〜」

 「だったらこれならどうだ?」


 姫那が持っていた剣を消して、ナイフのような短刀を創造した。


 「これなら扱えるかも!」


 そう言うと、魔物に思考誘導をかけて動きを止め、ナイフで一突き。

 魔物がサラサラと灰になっていった。


 「やった!倒せたよ!」

 「成長したな。これからの戦闘も格段にやり易くなるし、出来る事の幅も増える」

 「手札が多いに越した事はないからな」


 エルサリオンが珍しく褒めてくれた。

 夏生はいつも通りだ。


 頂上に辿り着くまでに少しでも強くならないといけない。

 そして、特にセーレが最後に言っていた言葉が気掛かりだった。


 「あの方、か」


 エルサリオンが呟く。


 「まぁ考えてても仕方ないし、今は目の前の事を片付けていこうよ!」

 「姫那の言う通りだ。今ピリピリしてても何も変わらねぇぞ」


 確かにそうだ。姫那も夏生も確実に強くなってきている。

 どれだけ強くなっても不安は消えないが、強くなる事で自信がつく。

 強くなっても勝てる根拠にはならない。

 だが、根拠のない自信を持つ事で自分の力を存分に発揮できるようになる。


 「すまない、そうだな。全然周りを見てなかったよ」

 「もう少しで頂上だし、楽しく行こうよ!」

 「魔物がうじゃうじゃいるから楽しくは行けないだろうけどな」


 姫那の言葉に間髪入れずにツッコむ夏生であった。

 そんなやり取りにエルサリオンの張り詰めていた空気も少し穏やかになり笑みが溢れていた。


 そしてついに、、、


 「来たね」

 「あぁ。これからが本番だ」

 「・・・・」


 流石の姫那もいつもの陽気さはなく、真剣な表情だ。

 エルサリオンは無言で見渡している。


 「誰もいなくない?」


 セーレが言っていた()()()が見当たらない。


 「長旅ご苦労様」


 後ろから声がして振り返る。

 そこには、真っ赤な長髪で色白の人間のような見た目だが悪魔であろう人物が立っていた。


 「お前があの方か」

 「そうだ。セーレがお世話になったの。あの魔法は実にすごかった」

 「なんで知ってるんだ」

 「見てたんだよ。セーレの目を通して」

 「手の内がバレてるなんて反則じゃない!」

 「すまんな、反則して。でも見てなかったとしても俺にはあれくらいの魔法は効かんよ」

 「だろうな。あのセーレとか言う悪魔とはオーラが違う。段違いの強さだ」


 三人共が圧倒的なオーラを感じ、セーレとはレベルが違う悪魔だと言う事がわかった。


 「今回は最初から三人でやるぞ」

 「わかってるよ」


 エルサリオンもこの相手に一人で特攻するほど馬鹿じゃない。


 「戦う前にまずは名乗っておこうか。俺はザガン。お前らの事はもう知っているから名乗らなくていい」

 「それも部下の目で見てたって事か」

 「そういう事だ。さぁ来るがいい」


 この時、一つだけ姫那達に有利な事があった。それは、姫那と夏生の能力をザガンは知らないという事だ。

 ザガンはセーレの目を通して見ていた。

 でもセーレはエルサリオンとしか戦ってないのだ。

 エルサリオンの魔法とかは知られているが、二人の能力を全く知らない。これが唯一のアドバンテージ。

 特に姫那の能力は相手が知ってるのと知らないのとでは結果が圧倒的に違う。

 更に姫那達はザガンと戦う前に作戦を立てていた。


 ーーザガンと相対す30分前ーー


 「次の相手はただ三人で戦うだけじゃ倒せないと思う」

 「そうだな。作戦を考えよう」

 「どんな作戦にするの?」

 「俺が考えた作戦はこうだ、、」


 夏生の作戦は、

 まず、夏生とエルサリオンが特攻する。

 姫那も出れるところでナイフで攻撃を仕掛ける。

 相手は能力については知らないはずだから、姫那の能力はここぞという時に使う。

 言うなら相手が油断、若しくは倒せそうな展開になるまでとっておくという事だ。

 まだ戦い慣れてない姫那を前線に出すのはリスクが高いが、逆に見てるだけだと怪しまれる恐れがある。

 姫那の能力は必殺の一撃になり得る。

 だが、格上の相手に必ずしも思考誘導をかけれる保証はないし、

 そこの使い所を見誤ってしまったら命取りになる可能性がある。


 「という作戦だ」

 「ちょっと怖いけど、いつも夏生やエルサリオンに頼ってばっかじゃダメだしね!私も頑張る!」

 「よし、戦い方も決まったし行くか」


 ーーそして現在ーー


 「姫那、エルサリオン!いくぞ!」

 「うん!」「あぁ」


 作戦通り、夏生とエルサリオンが前に出る。

 二人とも惜しみなく技を繰り出していく。


暴風矢(ストームアロー)


 「それは俺には効かないと言っただろう」


 ザガンは全ての矢を消し去る。


龍刃(りゅうじん)


 夏生が龍の形を模した直線上に長い斬撃を放った。


 「ほう、少し驚いたぞ。セーレの時に戦っていなかったからただの足手纏いかと思っていたが違ったようだ」


 セーレ戦後、強くなると心に誓った夏生は自分に今何が足りてないかを考えた。

 それは一撃の威力だ。

 エルサリオンの魔法を見てからずっと自分にもあのような技があればと試行錯誤していた。

 且つ、エルサリオンのものとはタイプの違った技。

 それがこの技を生んだ。


 何が違うのかというと、

 エルサリオンの魔法の矢の一本一本はそこまで強くない。

 あの技の真骨頂は数で圧倒するというところだ。

 一方夏生の技は一点集中の斬撃で一撃の威力が絶大なのだ。


 「夏生すごい、、私もやらなきゃ!」


 姫那も呆気にとられるが、夏生の攻撃に少し怯んだところにナイフで斬りかかる。


 「そんな物が俺に通用するわけないだろう。お前は本当に足手纏いだったようだな、女」

 「うるさーい!」

 「姫那!下がれ!」


 夏生とスイッチする。

 このスムーズな連携もここまでの道のりで身に付けた。


 「女はこの為の囮か?お前も酷なことをするな」


 その言葉が癇に障って一瞬表情を曇らせるがザガンには気付かれない程度だった。

 今は姫那は足手纏いだと思わせないといけない。

 出来るだけ姫那から意識を逸らせるかがこの戦いの勝敗を分ける。


 「犠牲はつきものだろ」


 再度エルサリオンと夏生で攻める。

 そして、今まで防御ばかりだったザガンも攻撃を始めた。

 自分の指先を切り、血を出しそれを固めて剣にした。


 「俺は血を操る悪魔だ」


 セーレとは比べ物にならない強さを持ち、血を操るザガンをどう攻略するのだろうか。

西條姫那

能力〈ギフト〉:洗脳系のギフト

意識誘導(ブレインリーディング)

思考誘導(ブレインドミネーション)


石田夏生

能力〈ギフト〉:刃物を自在に創造するギフト

龍刃(りゅうじん)


エルサリオン

魔法

暴風矢(ストームアロー)

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