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この迷宮を攻略するには何が必要ですか?  作者: シュトローム
第一章 迷宮攻略・故郷奪還編
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EpiSodE075:ルーナのギフト

 「なかなかないですね〜、、」

 「家自体が結構膨大にあるからな。3手に分かれて確認する数が少なくなったとは言えど、見つけるのは時間がかかるな」


 夏生と葵も他の2ペアと一緒で一軒一軒しらみ潰しに見ていた。

 この街の構造は家がびっしり詰まっていて、中央の4つの塔から伸びるように大通りがあるような造りをしている。

 大通り以外は人1人通れるくらいの隙間なので、それのせいで捜索の大幅なタイムロスを招いていた。

 そして捜索する事1時間、まず中央の捜索をしていた夏生と葵が何も見つける事が出来ず南の門まで来ていた。


 「中央の住宅には何もなかったですね、、」

 「あぁ。でも俺達のところになかったという事は他のところにあるという事だ。まだどっちも到着してないみたいだし、待っていよう」

 「そうですね!」


 遅れる事15分。


 「夏生ー!葵ちゃーん!」

 「あ!姫那さんの声ですね!それに逆からはエリーさん達も来ましたよ!」


 ほぼ同時に姫那ルーナペアとエルサリオンあかりペアが到着した。


 「どうでした?転移陣、ありました?」

 「ちゃんと全部の家探したけど、こっちはなかったよー!」

 「俺達の方もだ。何もなかったよ」

 「夏生達のところにもなかった?」

 「僕達のところも何もなかったんです!」


 悪魔は確かに南側の家の何処かにあると言っていたが、何もなかった。


 「悪魔が嘘をついていたとか?」


 あかりがそう口にした。


 「その可能性はゼロに等しい。あの時は姫那が洗脳して聞いていた。姫那の洗脳は誰であっても逃れられないんだ。実際今まで嘘をつけた奴なんて1人もいないからな」

 「そ、そんなにすごいの?姫那の洗脳って!」

 「もうチートだよチート。あのブレスレットを破壊していたのも洗脳の恩恵の一つなんだ」

 「物に洗脳ってどういう事?」

 「意味わからないだろ?俺らも意味がわからん。本人すらよくわかってないんだからな」


 あかりが姫那の方を見ると、ニカッと笑っていた。


 「あはは。とりあえず姫那は私が思ってる数倍すごいって事か」

 「そういう事だな」


 あかりは呆れながらも姫那のすごさを再認識した。


 「でも、、だったらなんで転移陣が何処にもなかったんだろう?」


 話は本題に戻り、何故何処にも転移陣がなかったのかの議論に入ろうとしたが、夏生とエルサリオンはなんとなく転移陣の場所をわかっていた。


 「たぶん、あそこだな」


 エルサリオンが指を刺す。


 「そうだな。俺ももうあそこしかないと思う」


 夏生とエルサリオンが予想した場所は葵の拳と夏生の斬撃により家の形をしていない瓦礫の方だった。

 それに全員が納得した。


 「確かにあそこはまだ誰も調べてないもんね!」

 「あるとしたらもうあそこしかないですね!」

 「あそこになかったらまた振り出しに戻るな」


 そして瓦礫の中を全員で探す事になったが、問題があった。


 「こんな瓦礫どうやって持ち上げるの?」


 そう、家はコンクリートできていたので、単純に筋力がいるのだ。

 それに一番適していたのは巨大化できる葵だった。


 「僕が瓦礫を運びます!だから皆さんは転移陣を探して下さい!」

 「そういえば、ルーナは瓦礫を持ったりはできないのか?」


 夏生がふと思いルーナに聞いた。


 「やった事ないけど、、たぶん無理だと思うよ?」

 「一回やってみようよ!なんかルーナならできそうな気がする!」

 「お姉ちゃんがそういうならやってみるけど、、」


 姫那の言葉はいつも通り根拠も何もなかったが、ルーナは姫那の言う事ならなんでも受け入れるのだ。

 そしてルーナが瓦礫を持ち上げられるか試して見ると面白い結果になった。


 「できた!持てたよお姉ちゃん!」


 ルーナは普通では絶対持てない大きな瓦礫を持ち上げていたというよりは浮かせていたのだ。


 「ルーナ、それを門の広場の前で落としてくれるか?」

 「うん?いいけど、、」


 ルーナは何故そんな事をするのかよくわかっていなかったが、夏生に言われた事をそのまま実行した。


 ガシャーン


 ルーナの手から離れた瞬間、瓦礫は勢いよく地面に叩きつけられた。


 「瓦礫を持ってる時は瓦礫の重さを感じたか?」

 「ううん、ほとんど感じなかったよ!」

 「なるほど」


 この状況から夏生は思考を巡らせ、一つの仮説を立てる。


 「ルーナのギフトは飛ぶというそんな単純な能力じゃないんじゃないか?」

 「え?どういう事?」

 「たぶんルーナのギフトの能力は重さを変える。厳密に言うと質量を変えるという事じゃないか?」

 「質量を、、変える?どういう事?」


 夏生はルーナの今までの力を見てルーナのギフトは物体の質量を変える能力だと推測した。


 「確かに質量を変える能力なら姫那さんを抱えて長時間飛んでるのもその瓦礫を浮かせたのも全て説明がつきますね!」

 「そういう事だ」


 葵は夏生が言っている事がわかったみたいだった。


 「ちょっと待ってよ!勝手に話進めてるけど、私全然わかってないんだけど!」

 「簡単に言ったら触れてる物質の重さを変えられるって事だ。さっきの瓦礫も持っていたというよりは触れていたって感じだったろ?」

 「確かにそんな感じったと思う!」

 「だったらそれはお前自身の力で持ったんじゃなくて、その物の重さを変えたんだよ」

 「んー、なんとなくだけどわかった気がする!」

 「それでいいよ。別に詳しく知らないと使えないギフトってわけでもなさそうだし、これからわかっていったらいい」

 「なんかわからないけど、ルーナすごいね!」

 「うん!」


 姫那は何が何だか全く理解していなかった。


 「まぁなんだ、今まで思ってたギフトより更に汎用性が圧倒的に高いギフトだって事だ」

 「みんなの役に立てるならなんでもいいや!」


 ルーナは考えてもあまりわからないので深く考えないようにした。

 そして葵とルーナで瓦礫を運び、他の4人で転移陣を探していた。

 そしてついに、、


 「あった!あったよ転移陣!」


 あかりが転移陣を見つけて大声を上げた。


 「やーっと見たかったー!あかりお手柄ー!」

 「こんなところにあるとはな」


 その場所は異様な空気感を放った空間で、辺り一面は崩れているのにその場所だけは全く崩れておらず、天井に転移陣が書かれていた。


 「これ逆に崩れてなかったらここにあるってわからなかったよね!」

 「確かにそうだな。普通上なんて確認しないからな。不自然にここだけ残っていたから気付けたな」


 夏生と葵がこの辺り一面を破壊していて、転移陣を探すのに手間がかかるかと思ったが、結果的にそれのおかげで見つける事ができたのだ。


 「どうやって印残そっか?」


 姫那が言う印というのはタルブと約束した転移陣の在処を示す印だった。


 「何が一番わかりやすかな〜」

 「ここまでの道を作るとかはどうかな?」

 「道なんてどうやって作るの?」

 「私が建物を砂にする!」


 建物を砂にする?全員が言ってる意味がわからなかった。


 「いやまぁお前だったら建物を砂にはできるんだろうけど、どうやってそれで道を作るんだよ?」

 「言葉で説明するよりやった方がわかりやすいよね!というよりも言葉で説明できない!ルーナ、空飛んで!」

 「え?うん!」


 ルーナは姫那に言われるがまま姫那を抱えて飛んだ。

 そして一番最初に入った門の方へ飛んでいった。

 取り残された4人は言葉すら交わしてなかったが、この後目を疑う光景を目の当たりにする。

 姫那達が飛び去って10分後にそれは起きた。


 サラサラ


 夏生達の前にあった建物が砂になった。

 その景色に全員が驚愕した。

 一体夏生達はどんな景色を見たのか?

ついに転移陣を発見!

次回で4階層も終わりそう!

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